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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第2話 ファンタジー世界

ファンタジー?


「なんだ。会社に着いていたのか。焦ったのが馬鹿みたいだな。しかし、ウチの会社のビルにこんなフロアなんて、あったか?」


「え?先輩?何言ってるんですか?

ウチの会社、ファンタジーなんて名前じゃないですよ?」


「え?だから、ファンタジーだろ?

俺と同期の佐藤さんは、自分が右利きなのか?左利きなのか?利き腕が分からなくなってたし、1個下の鈴木はひらがなが書けなくなったんだぞ?

『【あ】と【お】ってどう書くんでしたっけ?』ってな。

ひらがなってさ、当たり前過ぎて書き方を口で伝えるのクソ難しいんだな。あの時、初めて知ったよ。

そういえばこの前、日吉と同期の小雅なんて、自分の携帯を何処かに落としたとかで、自分の携帯で電話かけてきやがったんだぞ?

『影井さん。私の携帯知らないですか?』って、お前が今持ってる物はなんなんだ?

な?ファンタジーだろ。」


「違います!それはウチの社員の頭がファンタジーなだけですよ!

ココ、異世界らしいです。」


「異世界?……もしかして、漫画や小説のアレか?」


「うっす!そうらしいです。」


「会社は?」


「当然、無理です。行けません。」


「戻れるの?」


「分からないみたいです。ちなみに戻りたいですか?」


「いや、戻らないと課長や部長にめちゃくちゃ怒られるだろ。俺達のクビが確定になるし。」


「あー。そうですね。

あの人達、ボロクソに言ってきますよね。」


「というか、何でそんな事が分かったんだ?」


「周りの人達から説明があったみたいですね。自分には何言ってるか分からなかったです。

先輩。ここの言語、いつから必修科目になったんでしょうね?」


「知るか。日吉の方が若いだろ。

俺にもさっぱりだ。」


とにかく同じ電車内に居た人達に頼んで事情を話してもらうと、周りのコスプレさん達にも伝わったのか、俺達を生暖かい視線で見るようになった。


戻れるのかも分からないらしい。微妙に濁されてるそうだ。戻れないのかもな。


しかし、それならそれで俺達は生きていけない。ごねまくっていたら、しばらく生活できる仕事と環境をくれるそうだ。ありがたい。


ちなみに、言葉が分からないのは俺と日吉の2人だけだった。


え?

マジで?



その事実に2人で放心していると、俺と日吉だけ隔離されて、何処かに連れていかされる。


まずは服や荷物を剥ぎ取られた。


「まぁ、こんなコスプレさん達が居るんだ。

俺達の服や荷物じゃ目立って仕方がないのかもしれんな。」


「先輩。そうですね。」


ボロボロの服に着替えさせられ、鉄の首輪を付けられた。よく見ると何かが赤く光っている。


「うん。社員証だな。」


「先輩。確かに身分証は必要ですもんね。」


その後、肩に焼印みたいなものも付けられた。

めちゃくちゃ熱くて痛かった。一生残るんじゃないだろうか?


「んー。職場への入館許可証かもしれんな。」


「先輩……。さすがに……。

でも、うちの会社も入館許可証は発行が手間でしたね。」


そうして、どんどんと地下へ案内されつつ俺達の職場へ辿り着いた。


これは……!

漫画で見た事があるぞ?


「先輩……。自分、この光景、漫画で知ってます。」


「ああ。俺もだ。北〇の拳だろ?」


「ええ。〇帝の施設です。これって……。」


「なるほど。これが俺達の職場だな。」


ほとんど最下層なんじゃないかと思う地下室。その中心に大きな円柱の柱がそびえ立っており、その下部から放射上に棒が生えていた。その棒を俺達と同じような格好をした人達が円を描くように延々と棒を押し続けさせられている。


〇帝の施設は100人ぐらいの大規模だったはずだが、こちらは少し小ぶりだった。

20~30人ぐらいで押し続けていた。


天〇の施設は確か電気を発生させて光を産み出させていたが、ここは地下水を組み上げているのかもしれない。

押し続ける度に『ゴゴゴゴッ』と凄い音がしているが、その奥で水の流れる音もしていた。


「……確かに。言葉が分からない俺達にはピッタリな仕事かもしれんな。」


「……先輩!もういい加減に現実逃避は止めましょうよ?

自分達、確実に奴隷にされたんですよ!」


「……ああ。残念ながらそうみたいだな。」


俺達は、奴隷にされた。

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