第28話 管理者の苦労
今日も今日とて棒を押す。
俺と日吉は手慣れたものだ。
休日の為、1人でこなす準備も着々と進んでいる。
交代で休憩している訳ではない。
要するに1人で動かせるだけの力を必要とする場所まで行けばいいだけだ。
この計画を発案した時点から、俺と日吉は慣れてくれば少しずつ中央の円柱に近づいていた。こうすれば押す力が必要になってくるし、2人で仕事をしつつも、1人でもやれそうな気がしてくる。
夕食時に日吉、ガイ部長と3人で話したことがあったが、この仕事の重要な部分は、継続性と安定性だ。
継続性については、ガイ部長も言っていたが、10人も居れば押すことは出来るらしい。ただそれをどのくらい続けれるか?1時間持てば良い方と言っていた。
さりげなく、俺達が化け物のようにディスってきた。俺達は仕方ないだろ?文句ならサボっていたオサイ達に言ってくれ。
そして安定性。
この仕事特有のものだ。棒を押して装置を回す速度が速くても遅くてもダメだからだ。
これは主に慣れだ。鞭の味で十分知っている。今ならケツバットもされるし。
そして、俺と日吉しか居ないから、力を合わせるのが楽である。もし、10人や20人も人が居たら力を合わせる為に、速度の安定感を出すのが逆に大変だっただろう。ある意味、怪我の功名だった。
「確かにそうだな。
お前達が2人になってからの方が、速度についてはほとんど狂わなくなったからな。
お前達が来る前までは、本当に酷かった。短い時間だったが、仲間の奴らが終わった後によく愚痴っていたな。」
なるほど。
管理する側にも管理する側の苦労があったのか。
イカつい監視員の事を一時期ドSと呼んでいたが、悪い事をしたな。
ちょっとだけ反省を込めて、俺と日吉は手を合わせた。
そうして、数日が経ち、俺達は待ちに待った報告を受けることになった。
「クソッ。良かったな。お前達。
めでたく休日と外出が許可されたぞ。
俺の休日は全然連絡が無いがな。後任の連絡すら皆無だ。」
「先輩!やりましたね!」
「ああ。日吉。あとは外出する準備だな。」
「といっても何もないですけどね。」
「そうだな。ま、大丈夫だろ?」
「いや、待て!ちょっと待て!
お前達、まさかそのまま外に出るつもりか?」
「ガイ部長。そのままも何も、俺達はコレしか無いですよ?」
そう言って、Tバックの紐パンのみを見せびらかす。
「馬鹿共が!そんな恰好で外に出たら、騒ぎになるだろ!
上に着る服もオサイ達のが沢山あっただろ?」
「えー!アレはなんか縁起が悪いじゃないですか。」
「縁起?馬鹿にそんなもの必要無いだろ。
だいたい半分ぐらいは、雑巾にして使っているのを知っているからな?
そんなもの関係ないのは分かっているぞ!」
「ガイ部長。でも、アレもかなりボロボロですよ?」
「そうですよ!ガイ部長!服を貸してください!!」
「チッ。本当に俺はどうかしてるぜ。
その上から羽織るマントぐらいは貸してやる。それなら良いだろ?
その代わりちゃんと服は着ろ!俺のマントを絶対に破くなよ?」
なんかフラグめいたことを念押ししてくるな。
これは破けってことなんだろうか?




