第26話 汚料理Ⅱ
……人が死んでいた。
皿の上に。
小人サイズの人がカラッと焼かれて皿の上に転がっていた。まるで生きたまま高温にさらされ泣き叫び、悶え苦しむように、悲痛な表情をしたまま死んだ。そんな物がゴロゴロと転がっていた。熱を通し過ぎたのか、焦げ付いた奴まで居てリアリティがヤバい。
奥様は、「今日のテーマは『小人の焼死体』よ。」とサラッと言いやがった。
無駄に再現度が高すぎて食欲がまったく湧かない。課長なんて涙を流して震えていた。
小人なんて架空な存在は居ない、何か別の肉だろうとその時は思っていた。しかし、このファンタジーな世界へ来た今、そのことを考えると本当に小人だったのかもしれないと寒気を覚える。
社内の勇者も引いていたが、席に着くなり奥様へ説教しだした。
「奥様。流石にコレはやり過ぎですよー?
こんなの食べる奴は普通じゃないです。
寧ろ、コレを何事も無く食べる奴が居たら、奥様も困りませんか?ねぇ。先輩!
あっ!でもコレ、旨いですよ!」
と言いながら、何事も無く、その焼死体へかぶりつく日吉。
日吉の口の間から、小人の悲痛な表情が見える頭や足が飛び出ている。絵面が最悪だ。
まぁ旨いなら良いかと俺も食べることにした。確かに普通の唐揚げの味だった。課長は箸すら持てていなかった。
そして、日吉と俺がもりもり焼死体を食べてる光景を目にした奥様は……トイレに駆け込んだ。
戻ってくるなり、課長に謝っていた。
「ごめんなさい。貴方。
料理の見た目は食べる時の見た目も重要なのね。」
「いや。俺が何も言わなかったんだ。俺が悪い。」
と、2人で涙を流しながら抱き合っていた。
なんかよく分からないが、課長と奥様は正気?を取り戻していた。俺と日吉も沢山焼死体を食べて満足していた。
そんな奥様の汚料理がココに?
いや、日吉が今持っているスープは見た目が普通だ。ということは、凄く不味い方か。
日吉にとっては何でも無いが、俺は日吉程、化け物じゃない。今日は、トイレに篭ることになりそうだな。
まぁ日吉が1人でこなす練習にもなるかと諦め、朝食を完食した日吉と交代して、俺も食べた。
うわっ。
本当に懐かしい味だな。
課長や奥様達は向こうで元気に仕事しているだろうか?
俺や日吉が居なくなって寂しい思いをしていないといいな。
部長?部長は知らん。どの道、こっちにも部長は居るからな。
そして今日もただただ棒を押す。
ちょっとトイレの回数が増えたけど、そこまで日吉に迷惑はかけなかった。




