◆第21話◆ 申請Ⅱ
重厚な扉を前にして、身なりと精神と呼吸を整える。仕事終わりに急いでここまで来たのだ。
そして、意を決してノックする。
「ガイ・マートンで……」
「入れ!今すぐに入れ!」
名前を言っただけで、即座に入室許可が降りた。未だにアノ光景から完全回復しきれてないようだった。
部屋に入ると、ヒューメル大隊長は備え付けのソファーに横になって寝込んでいた。
「ガイ!あれは……、あれは一体どういう事だ!?」
「以前からご報告した通りです。」
「あんなものっ!信じれる訳が無いだろ!!
……いや、確かに真実だったのだな。すまん。」
「いえ。私も当然だと思います。」
「それで、化け物共のあの様子は何故だ?」
「アレは、彼らなりの大隊長へのアピールですよ。朝に来る事は伝えておりましたから。」
「なるほど。ならば普段はもっと必死なのだな?」
カゲイとヒヨシが死に物狂いで棒を押しているのを想像していたのか、少しホッとした様子を見せた。しかし、それは間違いだ。
「いえ。大隊長。昨日私が言った事は覚えておいででしょうか?」
「うん?」
「彼らは休日を欲しています。
勿論どうやって?となりますので彼らも考えたのでしょう。
自分達の仕事に影響が出ないよう心掛ける。他の場面であれば、とても素晴らしい発想です。
しかし、アノ彼らです。1人が休むなら、残った1人で仕事が出来るようになれば良い。狂気の沙汰の計画ですが、すでに達成間近なのです。」
「まさか……。嘘だろ?」
「ええ。そのまさかです。
現状ですと、半日程度なら彼らは1人でもこなせます。
なので、2人の時は仕事終わり間際だろうが楽々こなしています。」
「正真正銘、化け物じゃないか!!」
酷い言われようだが、事実であり、仕方がないことだった。
「一体、どこのどいつだ?あんな化け物。俺は知らんぞ?」
「私があそこに配属されて直ぐに来た2人ですよ。召喚に巻き込まれた者達です。大隊長もご存じのはずですよね?」
「ああ。あいつらがそうなのか。如何にも数日で死にそうな顔していたあの2人か。」
「ええ。彼らの話を聞けば、元の世界では、あの仕事をこなすよりも、もっと酷い仕事をやらされていたそうです。ですから最初は死にそうに見えたのでしょうね。
だからこそ、今の仕事を楽しんでいます。」
「なるほどな。そういう事だったのか。」
納得したのか、大隊長はやっと少しだけ落ち着いてくれた。




