第15話 進化
「ガイ部長!今日の朝食は何ですかー?」
「いつも通りに決まっているだろ。馬鹿共が。」
「えー!たまには美味しい物を食べさせてくださいよー!ねぇ?先輩。」
「そうだ!そうだ!多数決ならこちらが有利ですよ?ガイ部長!」
「阿呆な事言ってないで、さっさと食え。そして食ったら仕事だ。」
「「へいへーい。」」
俺、日吉、部長。
あれから結構な時間が経過したが、結局3人のままだった。
こっちの言葉は部長に教えてもらえた。
この世界の部長、めちゃくちゃ優しかった。
俺達の仕事終わりに律儀に残って、灯りも強制的に消されることもなくなった。
しかも教え方も上手く、オサイにカタコトまでは教えてもらっていたのもあったかもしれないが、そう日が掛からずに俺と日吉はこの世界の言葉を覚えた。
そして、部長。
名前をガイ・マートンと言う。なんと元貴族だった。
しかも、以前は騎士団に所属するエリートでもあった。
なるほど。だから、あんなに強かったんだな。
しかし、身内のやらかしが原因で家の爵位をはく奪され、騎士団からも外され、俺達が来る少し前にココに左遷されてきていた。
可哀想なので、俺達は『ガイ部長』と呼んでいる。
最初は嫌がっていたが、途中で諦めたのか気にしなくなった。
そして、3人のままなのにも理由があった。
オサイ達の反乱が原因だ。
監視員達がリタイアしたことの責任をとらされ、ガイ部長は独りで監視の仕事を続けることになった。
補充のし過ぎが反乱の原因なんじゃないか?とも言われ、かつその説教タイム中も俺と日吉が普通に仕事してしまっていた為、人員不足に思われなかったそうだ。
「まさかコレをたった2人で動かせているとは、俺の上司は全然理解してくれなかった。」
と、ガイ部長は愚痴ってきた。
知らんがな。
よって、奴隷の補充も当分無くなってしまった。
それが俺達にはある意味で良かった。
ガイ部長は優しいし、俺達への対応も慣れたのか気さくだ。
そして何より、俺と日吉の気楽な関係の2人だけだ。
下手に補充して、またオサイ達や3人のようにサボられたら、たまったものじゃない。
食事も2人前だと信じて貰えなかったらしく、いつも多めに持ってきてくれる。
ただ仕事中のトイレだけが問題だったが、それもなんとか解消した。
勿論なるべく行かないように事前に済ませておくこともしているが、要するに1人でも押せるようになれば良いと、日吉と話して結論に至った。
「お前達、脳筋過ぎるだろ……。」
と、ガイ部長に呆れられたが、ぶっちゃけそこまで苦じゃない。
止まっている状態から動かそうとすると、1人じゃ厳しいが、惰性で動いているのを続けさせるのだけなら、トイレ休憩の時間ぐらいは簡単に出来た。
こうして俺達好みの、新たな生活環境を手に入れ、今日も仕事に励む。
いつものようにただただ棒を押すだけ。




