第11話 兆し
ここに来てから結構な日が経っていた。
奴隷達のメンツも日が経つにつれて、コロコロと入れ替わっている。
特に老人やまだ子供みたいな年齢は数日もしない内に【涙のリタイア】していく。
そんなのが仕事中に前の列や隣でいきなりリタイアされると、邪魔でしょうがなく、俺も日吉も結構イラついていた。なので、早々にリタイアしてもらった方が少し嬉しい。
彼らに何も恨みは無い。むしろ、彼らにこの仕事を振った人間の頭がおかしいと思っている。老人や子供がするような仕事じゃない。
ちなみに、若い奴らの中にはガラの悪いヤンキーやチンピラみたいなのも居る。
そんな奴がお山の大将を気取るのか?そういった事も無い。
何故なら更にイカつい監視員達が居る。
少しでも態度が悪いと、初日からボッコボコにされるのだ。
ぶっちゃけ、老人や子供よりもリタイア迄の時間が早かった。
俺達が来てから、3回ぐらい奴隷の追加補充がされていたにも関わらず、大体25人前後で日々推移していた。その中で生き残ったメンツは、俺達のような従順な奴ばかりだった。
そういったこともあり、俺、日吉、オサイはベテラン組になりつつあった。
そんな中、オサイが変わってしまった。
俺達が教えた、耳栓やストレッチ&マッサージを他の奴隷にも教えており、奴隷の皆から絶大な信頼を得ていた。
そのせいで、俺達と食事をする機会も減り、俺と日吉は未だに言葉を覚えきれていなかった。
「先輩。どうします?自分達、まだカタコトでしか話せないですよ?」
「うーん。まさかこうなるとは思わなかったな。」
「他の人に教えてもらおうにも、ほぼほぼオサイさんの影響下ですもんね。なんか拉致るのは、悪い気がしますね。」
「確かにな。オサイ組じゃない奴らは数日もしない内にリタイアしそうだし、オサイが落ち着くまで俺達はのんびりするか?」
「そうですね。オサイさんの時間が出来たら、また教えてもらいましょう。もしくは、オサイさんから紹介してもらいましょうね。」
「そうだな。そうしよう。」
そう決めた翌日、何故か棒がやたら重くなった。
なんとかその日をこなしたが、久々にぐったりしてしまった。
「日吉。今日調子悪かったのか?」
「いえ?先輩こそ、怪我でもしたのですか?」
「いんや。万全のつもりだった。しかし、今日は重かったな。」
オサイにも聞いたが、分からないとそっけなく返された。
そりゃそうか。
「先輩。この施設って、地上まで地下水をくみ上げたりとか、他の何かの動力になったりする装置ですよね?」
「ああ。恐らくな。」
「なら、もしかして地上が発展したらドンドン重くなるんじゃないですか?」
「なるほど。それは盲点だったな。その可能性が高そうだな。」
「といっても、自分達のやる事は変わらないのですがね。」
「そうだな。俺達は棒を押すだけだ。」
「うっす。」




