第1話 手紙
拝啓。会社の皆様へ。
ご無沙汰しておりますが、お元気ですか?
私も日吉も、元気に過ごしています。
急に居なくなってしまって、会社に多大なご迷惑をお掛けしたかと思います。
異世界に召喚されてしまい、戻れなくなってしまいました。
右も左も、言葉すらも分からない状況でしたので、とにかく生きる事に必死で、戻る方法の模索が出来ませんでした。
落ち着いてから、他の方に聞いても厳しいようです。
どの道、私達の席はもう無いかと思っております。
こうしてお手紙をしたためておりますが、これが皆様の元へ届く宛も無いでしょう。
改めまして、皆様へ。
大変お世話になりました。
特に部長には、散々教育して頂き大変感謝しております。
当時は、殺してしまいたい、ぶん殴ってやりたいと、いつも考えており、誠に申し訳なく思っています。今では、日吉と一緒に良い笑い話のネタになっております。
日々、部長から刻みこまれた理不尽でありがたいお言葉は、一字一句忘れることなく私達の糧となっております。
ですが、本当に極々稀、限りなく少ない機会に、真面目な助言を頂戴した記憶がございます。そちらの内容について、まったくと言っていい程覚えておりません。
あまり役に立たなかったという事が判明しただけでも、役に立ったのかもしれませんね。
課長。新人の頃から可愛がって頂き、ありがとうございました。
奥様の汚料理に何度も付き合ったので、御恩は返せたと思っています。
私と日吉が居なくなったせいで、身代わりが居らず、課長自身の体調を崩されてないか心配です。
課長のお陰で、こちらの汚料理使いにも対応することが出来ました。
いつか奥様にもお礼がしたく思います。
他のヒラ社員の方々。
もう昇進してヒラじゃなくなりましたか?それとも転職しましたか?
私と日吉は予期せぬ脱出となってしまい、本当に迷惑をかけたと思います。大変申し訳ございませんでした。
私達がこうして元気に過ごしている事を羨んだり妬んだりしているかもしれませんが、結局のところ、毎日仕事でキリキリ働いていますので、何も変わっていませんし、ご一緒ですよ。
ただ単に外の世界へ行けば、素晴らしい未来が待っている……なんて話は夢物語です。
素晴らしい未来は自分の手で掴み取るものだと、私達は外の世界に出て気づきました。
まだ掴みきれてませんので道半ばでありますし、そんなところも皆様と一緒ですね。
世界は違えど、同じ仕事をした同志達でもありますので、今後も一生懸命、与えられた仕事にお互い励んでまいりましょう。
今度とも、宜しくお願い致します。
影井 俊介
2工程目(第2章)、はじめました。
1工程目後半からクロスオーバーが活発化しました。
この2工程目もそのままの流れで行くと思います。
意味が分からない方は中年冒険者、家を買う。も読んでみてね!
この作品を読んだ皆様が、少しでも楽しんで頂けたらと切に思っています。
その為に頑張りますので、またしばらくのお付き合いを宜しくお願いします。




