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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第113話 選択肢Ⅱ

騙される?俺達が?


この場合は境遇という意味なのだろうな。

ガイ部長にも聞こえたのか、ミイネの言葉にギョッとしていた。

しかし、ミイネから言われるとはな……。


「ハッ……アハハハッ!」


「ちょっ、ちょっと!シュン。いきなり笑い出すなんて……そんなに変な事を聞いたのかしら?」


「いや、ゴメン。いつか言われるだろうなとは俺達も思っていたんだが、まさかミイネから言われるとは思わなかったんだ。

君が1番理解してくれると思っていたんだがな。」


「それは、どういう事よ?」


「ミイネ。君がもし今から体が強くなっていたら、明日はどうすると思う?」


「え?……そうね。これからは自由に自分の足で出歩けるのよね?」


「ああ。だけど、明日の事を聞いているんだ。」


「仮定の話だから、自信は無いけど色々出歩くと思うわ。」


「そうか。君は凄いな。

俺がミイネなら、明日もそれ以降も同じ仕事をしていると思う。」


「あー。そうかもしれないわね。生きる為には仕事は必要だものね。」


「そうだ。

俺も日吉も体は強いが、ミイネと同じなんだ。元々の選択肢がコレしか無かった。今更、選択肢が増えたところで、新しい世界を見ようとは思わないんだ。俺はミイネに、日吉はシアラちゃんに会えたからな。今の環境でも満足なんだよ。」


「そうね。体が良くなっても確かに私も他の仕事が出来るとは思えないわね。色々勉強もしなきゃいけないし。

なんだか、シュンの言う通りになりそうね。」


「だろ?でもそんなものだと思うよ。

だからこそ……騙されている?俺も日吉も当然気づいているさ。

ガイ部長やハーシャ奥様、ヒューメル大隊長達の申し訳なさそうな顔をする度に、ロン様やミラ様、ディアナさんやキエナさんが可哀想な視線を送る度に、俺達の境遇を知った皆がそう思っている事も知っている。

だけど、彼らは元々の選択肢が多い人達だ。誰もが色んな選択が出来るからこそ、俺達に同情しているんだろうな。

ミイネ。君ならこの気持ちが分かるだろ?」


「ええ。そうね。

でも騙されているのを知っていながら、変えようとは思わないの?」


「変える必要が何処にあるんだ?

俺達は今こうして生きている。

この世界に来た時は、言葉を知らず読めず話せず、常識すらも無かったんだ。この仕事に振られなかったら、どうなっていたと思う?俺が上役なら、すぐに殺すか、適当に放り出して無かった事にするだろうな。仕事と同じだ。残酷だが、使えない社員はすぐクビに、いや採用すらしないのは普通だろう?

だから、俺達はこの境遇を当然だと思ってるし、不満なんて無いんだ。数日で死んでいてもおかしくない状況だったんだから。」


「それで貴方達が変わったのね。」


「いいや、変えたのはガイ部長だ。」


「おい!何故、俺が出てくるんだ!?」


「ガイ部長は俺達の事を散々馬鹿と言いますが、大体の事は気づいてますよ?

この仕事を最初と同じ人数でやっていれば、ここまで化け物にならなかったでしょうね。

確認ですが、オサイ達がサボっていた事、ガイ部長は気づいていたのでしょう?」


「うぐっ……いや、何人かは知っていたが、速度は正常だったからな。まさか最終的に2人でこなしているとは思えないだろ!」


「そうですね。俺達も分からなかったので責めるつもりは無いですよ。

ですが、ガイ部長も注意せずサボっていた事には変わりません。だから、俺と日吉の2人になった時、俺達はガイ部長に遠慮しなくしました。

3人で仕事する日々も楽しかったですし、言葉も教えてもらいましたから、凄く感謝もしていますがね。」


「だけど、俺の怠慢は忘れるな……という事か。」


「そこまでは言ってませんよ。

ですが、更に言うなら休日申請した後、俺達を毒で殺そうとしましたよね?

食べ慣れていたので、何事も無く終わりましたが、あのタイミングで気づかない方がどうかしてますよ。」


「チッ。それもか……。

確かにそうだな。お前らは馬鹿だが、頭が悪い訳では無かったな。」


「勿論、ガイ部長の独断では無い事も気づいてます。その後に会ったヒューメル大隊長の雰囲気での予想ですが、もっと上からの命令だったのでしょうね。どうしようも無かったんでしょう?」


「ああ。その通りだ。」


「そのお陰で休日は貰えるようになったんだよ。

ミイネ。十分、変わったとは思わないか?

仕事自体を変えた方が良いのかもしれないが、俺達には相変わらず選択肢が少ない。今度は化け物になってしまったからな。

でも、この仕事は上が負い目を感じているのか、色々改善してくれているんだ。わざわざ変わる必要なんて無いと思わないか?」

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