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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第110話 両腕に花

ミイネを抱っこしつつ、まとめた衣服を背負い、シアラちゃんを連れ立って、王城の職場まで向かう。


その間、色んな話をした。


特にこれから日吉と会うシアラちゃんへミイネが色々とアドバイスをしていた。


俺達の扱い方。


本来、力が強ければそれに合った性格になりがちだけど、俺達は違う。強いのを認識したのが最近だという事もあるが、元々女性への接し方は丁寧らしい。そりゃ前の世界で、セクハラやパワハラ、モラハラ等とすぐに言われそうで、更に実際に言われたら周囲から袋叩きだ。そんな俺達が乱暴をするなんて有り得ない。だから、普通に接している分には割と安全である。


だけどその先……想い人となれば、問題が山積みだ。その想いが暴走してしまうかもしれないのだから。なまじ、普段がマトモだからこそ油断してはいけないらしい。


俺達の扱い方とは、俺達が暴走しないように感情をコントロールする事が重要だそう。ミイネが言うには針に糸を通し続けるよりは簡単らしいのだが、俺もシアラちゃんにもさっぱり分からなかった。


「ええっと。そうね。確か、シアラは危険な食材を料理に使うそうね?その調理中は当然、油断大敵でしょ?」


「はい!あっ、そういう事ですか?

ヨージ君を調理していると思えば良いんですね!」


「ええ。その通りよ。どう?出来そうじゃない?

皆、難しく考え過ぎなのよ。それに、ちゃんと言えば聞いてくれるわ。針や食材とは大違いね。」


「ププッ。ですね!」


などと言って2人は笑っていた。

日吉、すまん。ミイネのせいで、お前はシアラちゃんからミミズと同類にされたぞ。俺もだがな。


あと、ミイネは勘違いしている。

シアラちゃんについて、危険な食材を調理して美味しい料理を作っていると思ってそうだった。フグ職人に近い想像だな。しかし、実際は危険な食材を調理して危険な料理を作っている。後でちゃんと言っておかないとな。「シュン。また食堂へ連れて行ってくれないかしら?今度食べてみたいわね。」なんて言ってるのだ。絶対に勘違いしていた。



更に言うなら、今している変則お姫様抱っこは、俺の感情コントロールにピッタリだった。


イ○シャルD特訓法で培った、波紋すらも起こさせないようにする移動。まだ未完成ではあるが、大分マシになっていた。その成果は色んな副次的効果を生み出していた。


練習中に気づいた。歩き方の工夫で波立たせ無いようにする事もそうだが、まず心が落ち着いて無いとどうしようも無かった。動揺すればすぐに波打ってしまう。日々の練習で次第に心の安定が取れるようになっていた。

だから、今も大好きなミイネを抱っこしているが、彼女を傷つける事無く、平穏に出来ていた。

そしてミイネも、それを頼りに俺の感情を察知して注意してくれる。俺がエロい事を考えるだけで、自身が座っている俺の腕にモロ影響が出ているみたいだ。

イ○シャルD特訓法、様様だった。藤○豆腐店には感謝してもしきれない。


「そんなに違いが分かりますか?」


「ええ。シアラも体験しておく?

ヨージ君にやってもらうにしても練習した方が良いかもしれないわね。」


「いや、あいつはまだまだだからな。俺とは比較出来ないかもしれんぞ?」


「うーん。じゃあ、センパイさん。1度だけお願いできますか?」


日吉との初めてよりも、今後、日吉にされた時の判断基準を選んだシアラちゃん。先がある様で何よりだった。

空いている腕を曲げ、座りやすい位置まで屈むと、シアラちゃんは恐縮しながらも座ってきた。


そのまま立ち上がり、何事も無く歩き始めた。


「うわっ!?本当に全然揺れないんですね!」


と、ビックリしつつも嬉しそうなシアラちゃん。しかし……


「……シュン。シアラを抱っこ出来て嬉しいのかもしれないけれど、もう少し抑えてくれない?私が最初に座った時よりも動揺しているわよ?」


ミイネからジト目をされて怒られた。


仕方ないだろ?

両手に花というより、両腕に花なんだ。

これで浮かれない方がどうかしている。

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