第108話 美女と野獣Ⅳ
全員を失神させ戦闘不能になったので、これにて終了かな?
服が弾け飛んでTバック1枚だったので、近場の失神しているチンピラ達の中からサイズと良さそうな服を探してひん剥く。
そういえば日吉も外出用の服がボロボロになっていたな。
あいつの場合は自殺しようとして飛び降りたせいか。ここには沢山の服があるから、日吉の分も貰っておこう。
亀仙人モードを解除して、元の姿に戻り、ひん剥いた服を着てから、ミイネ達へ振り返った。
ロン様の何の効果か分からない魔法のお陰なのか、ミイネもシアラちゃんもかなり驚いていたが失神することなく無事だった。
その魔法陣が掻き消え、外部から見たらリンチにあっていた俺の身を心配してなのか、ミイネが慌ててこちらに向かってきた。
叫んで止めた。
「ミイネ!来るな!俺は大丈夫なんだ。傷1つ付けられてない。
な?これで分かっただろ。俺は正真正銘の化け物なんだ。
君が駆け寄ってきても、ただ受け止めるだけで君を傷つけてしまうかもしれない。
俺が君の元へ駆け寄ろうにも、仕事のせいで真っ直ぐに走ることも出来ないんだ。
どうしようもない化け物なんだ。こんな俺の元になんて来ない方が良い。」
そうだ。こんな俺では今まで通りは絶対に無理だ。
ミイネが好きだ。その想いは今ですら強い。これからも一緒に居たら更に強くなってしまう。
今すぐにでも抱きしめたい。キスがしたい。その先も……。
想いが強くなればなるほど、力が入ってしまう。そしてミイネを傷つけるだろう。
そうならない為には距離を置いた方が良い。
俺は目を閉じ、顔を俯かせて、ミイネを拒絶した。
「フフッ。本当にシュンは馬鹿ね。
駆け寄るだなんて。走れないのはお互い様よ?なら簡単な事じゃない?」
ミイネは笑いつつも俺に語りかける。
「例え離れたとしても、お互いの距離をゆっくり歩いて縮めれば良いのよ。何も急ぐ必要は無いわ。シュンも私も急げないのだから、尚更ね。
ねぇ?シュン。顔を上げて?目を開いて?」
ミイネの言う通りに、顔を上げ、閉じた目を開けると、すぐ目の前に彼女が居た。
「ほら。私がココまで来たら距離なんて無いわ。それから私が抱きつけば良いだけじゃない。何も力は要らないわ。こうやってね。」
ミイネは俺を優しく包み込むように抱きしめてくれた。
「ミイネ。俺も君を抱きしめたい。」
「フフッ。シュンはダメよ。今は我慢して頂戴。
でも、シュンが無事で本当に良かったわ。」
「俺もだ。ミイネに危険が及ばなくて本当に良かった。
だけど、この俺が一番危険なんだ。分かってくれ。」
「嫌よ。まだこれからじゃない。
私をここまで連れて来たのはシュンのお陰よ。あの方法は相当な努力をしたのでしょう?
なら、これからももっと色んな事が出来るはずよ!その為の努力をしなさい。
時間が掛かっても良い、少しずつでも良いわ。私は待ってるから。月に1回、私の店でね。」
「……ミイネ。……ありがとう。」




