第104話 野獣と野犬Ⅱ
ロン様とミラ様が大体の内容を把握する頃には俺達はチンピラ共の案内のもと、路地裏の入り組んだ先のちょっとした広場に到着した。
元々ここに連込む予定だったのか、待機組も居て、奴らの人数が40人ぐらいに増えてしまった。
おいおい。たった1人を相手に人数揃え過ぎだろ?
日吉。お前、どれだけこいつらの仲間を酷い目に合わせたんだ?
増えた人数にミイネとシアラちゃんは恐怖の色を顔に宿していたのだが、ロン様とミラ様はいつも通りのほほんとしたままだった。
「フォッフォッ。シュンよ。ワシらの手助けは本当に要らんのじゃな?」
「うーん。日吉のように実感が無いので、分かりませんが、お2人の手を煩わせたら、彼らは再び来ませんかね?俺や日吉は良いのですが、ミイネやシアラちゃんに危険が及ぶのは避けたいのです。」
「ヒッヒッ。そうかもしれんねぇ。
じゃが決して殺すでないぞ?一度でもその力で殺してしまえば、おぬしらは戻れなくなるからねぇ?」
「フォッフォッ。奴らがある程度強いと良いのぅ。実力差も分からぬ阿呆共じゃ、可能性は低いかのぅ。
シュンよ。初めは手加減するのじゃぞ?」
「この人数を相手にですか?無茶苦茶な事を言いますね?」
「ヒッヒッ。良いから言われた通りにするんだねぇ。」
「……シュン。気を付けてね。」
「……センパイさん。」
「ミイネ。シアラちゃん。ちょっと男を魅せてくるよ。ロン様。ミラ様。2人をどうかお願いします。」
抱っこから降ろしたミイネとシアラちゃんを中心に、ロン様とミラ様は囲むように位置取り、そこから俺だけ前に出る。すると奴らは目標である俺を扇上に囲む。
俺達の会話中、俺を殺した後の予定やゲスい笑いで騒がしかったのだが、悪党の定番っぽく、会話が終わるのを律儀に待ってくれていた。なので、1人ゆっくりと前に出た訳なんだが、奴らも俺を囲んでいる奴らとは別に5人程、前に出てきた。
日吉にやられた奴らかな?でも骨を折りまくったようだし、数日で復帰は無理だろう。あっ。この世界には魔法があるのか?なら彼らがそうなのかな?
っと、思ったが、どうやら違った。
この一団の代表だった。周りから「兄貴達!やっちまえ!!」などと歓声が上がっていたからだ。
大剣を背負った大男。
レイピアっぽい刺突武器を持ったパチモン臭のする優男。
全身鎧を纏った、多分男。
身軽そうな恰好で両手にナイフを持ったガリ男。
悪魔崇拝してそうなローブ姿の恐らく魔法使いであろう男。
この5人が代表格なのだろう。
5人の統一感はまるでないが、他の取り巻きに比べてそれぞれの装備は良さそうに見えたから、多分強いのだろうな。
本当に手加減していて良いのだろうか?
その中でもリーダーっぽい大剣を背負った大男が俺に一声掛けてきた。
「俺達の世界では、舐められたら終わりだ。
奴隷なんかにやられるとは、あいつらの弱さに失望した。死で償ってもらったが、それで終わりじゃあ、あいつらも浮かばれない。
……悪いが、お前も死ね!!」
それが、戦いの合図になった。




