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異世界に行っても、社畜。  作者: 小雅 たかみ
1工程目
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第103話 野獣と野犬

俺じゃない可能性を考え周囲を見渡したが、周りに奴隷が俺以外居なかった。


がっつり俺を見ている事から確実に用があるのだろう。

ディアナさんの時と同じようにスルーしたいが、ミイネとシアラちゃんが居る。

下手にスルーして、彼女達に危険が及んだら洒落にならない。


この間、世話した覚えもないし、月に1回しか外出してない。

俺が最初に外出した時の奴らかとも思ったが、結構な時が経っているから違うはずだ。

恐らく、数日前に休みで外出した日吉と俺を間違えているのだろう。見た目だけは一緒だもんな。


俺を呼び止めた者達は如何にもチンピラのようなガラの悪い感じの男達だった。

ただ問題は数が多かった。それっぽい奴らが20人ぐらいも居た。なので、食堂の常連やシアラちゃんの両親達から救援が来ることはなかった。


怖いっちゃ怖いが、ミイネを抱えている事だし、俺の後ろにはシアラちゃんも居る。

なるほど。日吉はこうやって男を魅せたのか。俺も逃げる訳にはいかないなと震える心を燃やした。


「俺に何か用ですか?月に1回しか外出しないから、恐らく人違いだと思うのですが?」


「嘘言ってんじゃねぇよ!?つい数日前に俺達の仲間に怪我を負わせやがって!!」


ああ。やっぱり日吉の事か。


「他人の女を奪おうとして、返り討ちにあっただけじゃないですか?」


抱っこ中のミイネを庇いつつ、煽ってみると簡単にノッてきた。


「てめぇ!!ぶっ殺す!」


「はぁ……。わかりました。ですが、こんなところでおっぱじめるのですか?すぐに捕まりませんかね?」


食堂の目の前でやり合っても、警察っぽい人達がすぐに来るだろう。

ぶっちゃけ、今ですら通行人から目立ちまくっているし、何人かは何処かへ走って呼びに行ってる感もあった。

そんな周りの雰囲気を察したのか、奴らの中でも若干頭が回りそうな男性から路地裏の広場へ行くように案内された。


そこが俺の処刑場となるのか。それについては何の不満も無い。

何故なら今回の件で彼らに対して、俺だって怒っているのだから。

可愛い後輩が落ち込む原因となり、後輩の彼女を泣かせた者達。他の誰が許しても先輩である俺だけは絶対に許してはいけない。


ミイネとシアラちゃんは食堂に残ってもらうように2人にお願いしようとしたが、全方位から拒否されてしまった。

奴らは俺を殺した後、2人をどうにかしたいのだろう。シアラちゃんだけじゃなく、フードを深々と被っているミイネにも、ゲスい視線を送っていた。万死に値するな。

そして、ミイネとシアラちゃんも俺が心配だと一緒に行くと言ってきかなかった。

嬉しい言葉ではあるが、2人を絶対に守らなきゃいけないから、ちょっと面倒になった。

この人数が居ては2人を守り切れる自信が無い。戦ったことも無いのだから。

しかし、奴らも逃がしてくれなさそうなので、連れていくしかない。


路地裏の広場へと連行されつつも、どうしたら良いのか困惑していたら、人込み中から神の声が聞こえてきた。


「フォッフォッ。何やら騒がしいのぅ。」


「ヒッヒッ。おや?シュンじゃないかぃ?この騒ぎはお前さんが原因かねぇ?」


ロン様とミラ様がチンピラ共に囲まれ連行されている俺達に、のほほんと歩いて合流してきた。


「なんだぁ?この老いぼれ共は??」


「待て!待ってくれ!この人達は俺の知り合いだ。お前らの相手は俺だろ?」


ロン様とミラ様は凄い人達とガイ部長から聞いている。しかし、雰囲気的に何かあったらこの人達が暴走しそうだ。2人を止める役は出来そうに無い。でも丁度良いので巻き込んでおこう。

というか、ロン様とミラ様は有名人じゃないのか?せっかく知人アピールしたというのに、チンピラ共は知らないのか?ちくしょう。アテが外れた。使えねぇ。


とりあえず、ロン様とミラ様に内緒話でミイネとシアラちゃんを守ってもらうようにお願いした。これで俺は自由に動けそうだ。

自分の足で歩くシアラちゃんからもヒソヒソと2人は事情を聞いており、大体の内容を把握すると、とても悪い笑顔で承諾してくれた。

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