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60話 わたしたちの運命

 武の団長ビエニカを自身の運命の登場人物に加えると、レイは再び結果予知を始めた。


「――うん。神の家っぽいところから、コリーっぽい強そうなやつと一緒に外に出る結果が見えた。ミュウの視界画面には、どこか……見たこと無い街並みとコリーっぽいコリーな後ろ姿が見えた」

「お互いの無事はわかったけど……レイ、くれぐれも気を付けてね?」

「うん。まぁ、まだ明日のことなんだけどね。取り敢えず、もっと念入りに予知しておくよ」


 本当に、そんなに頭を酷使しても大丈夫なのかと思ってしまう。

 そもそも、予知出来る結果が二十四時間後までに限るというだけで、レイの力にはその他の制約が無いのだ。

 一日に何回でも、生命力を使わなくても予知することが出来る。

 とは言え、結果という数秒間の映像を何度も見るのだし――第一、その結果はいつも自身の無事を見るとは限らないのだ。

 さすがに神経だけは擦り減るに違いない。


「レイは……嫌な結果が見えるかもしれないのに、怖くないの?」

「――? まぁ、出来れば自分が死ぬ結果は見たくないけど。でも、結果を知りたいって望んで得た力だし、それに、嫌な結果ほど覆せたときに達成感があるんだよね。まぁ、覆せない悪い結果が出たら終わりだから、それだけはちょっと怖いかな……」


 わたしに出来ることは、レイの手となり足となることだけだろう。

 まだ出会ってから数日しか共にしていない筈なのに、まるで姉のように慕うことすら出来ている。

 痛い思いをするのは嫌だが、レイのためになら、何度死んでも構わないと……それはさすがにまだ無理だが。

 それが生き延びる唯一の方法であると言われたら、その言葉を信じることくらいは出来る。



 結局、レイは先ほどの結果を選択した。

 城下町に到着したら、コリーからそのビエニカという人物に、『レイの護衛』をお願いしてもらうというもの。

 条件はただそれだけだという。


 レイ曰く、どうせその結果に至るのなら、条件は少ければ少ないほど望ましいのだという。

 例えばここに『ゴロウに触れない』という条件を付すと、ゴロウに触れないことに意識を注がなければいけないのだ。


 逆に今回のように条件を付さない場合。

 ゴロウに触れてしまった場合、そこには何らかのイベントが発生するだろうから、その結果が見える筈なのだ。

 何も見えずにその先の結果が見えたということは――何も意識をしなくとも、結果、ゴロウには触れないということ。

 『自分から触れる』という、結果を覆す行動を取らない限り、その結果は変わらないのだ。



 念のため、レイはタコロスと一緒に、先ほど予知した映像を確認するようだ。

 自身の視界画面の共有をも要求したのは、このため。過去の視界も再生可能だというタコロスの力で、一度予知した映像の詳細を確認するためだったのだ。


 レイの思い人、そしてヤンチャ少年の視界には、道を歩くゴロウの背中が映っているらしい。

 おじいさんの視界には、ウッホ車の荷車でお尻を押さえて苦い顔をするタコロスの姿。

 わたしも、おそらくはキュリーの町にコリーといるらしいから、それは誰にとっても問題の無い結果と言えるだろう。


「ところでタコロスは、何でお尻を押さえてるわけ?」


 一見独り言のようだが、実は視界画面を共有することで、レイとタコロスは離れていても会話が出来ることに気付いたのだ。

 とは言え、今のところはレイの暇潰しの道具として使われているだけなのだが。


「――ぶっ……あははっ! 引きこもりで、ニートで、って! ……あっはっは! 何あんた、結局ウッホ旅も苦行じゃん!」


 意外にも、タコロスという存在はレイの気分を転換させる役割を果たしているらしい。

 コリーも何事かと目を見開いて振り返っているから、この世界にやって来て以来最大のツボにはまってしまったようだ。



 しかし――こんな世界になどやって来なければ、わたしたちの運命は決して交わることなど無かっただろう。

 そもそも引きこもりニートだったというタコロスに至っては、よくもまぁ部屋の外に出て、パワースポットツアーになど参加したものだと思う。

 それほど、異世界への憧れが強かったということなのだろうが。

 実際に蓋を開けてみて、この異世界に如何なる感想を持ったのか。落ち着いたら聞かせてもらうとしよう――




 ―――また、あの夢を見た。

 白髪の若い女性が、優しく微笑んでいる。おしゃべりが好きなのか、相手の反応など気にせずに、取り留めの無い話を楽しそうに続けている。


 女性の目に誰が映っているのか。誰に向かって話をしているのか。

 その誰かの目と耳を借りて、この夢を見ているだけの自分にはわかりようが無かった。

 少なくとも、わたしはこの女性のことを全く知らないのだ。


 今回のそのおしゃべりも、終盤にさしかかった。

 決まって、女性はこう言ってこの夢を終わらせた。


「愛してる」

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