娘に会いたい
テレビのスイッチを付けると、魔法少女のアニメがやっていた。娘がよく観てる番組だった。
娘は今、嫁と一緒に実家に戻ってる。まだなにも知らない3歳だったと思う。俺はテーブルの上のワインをグラスに注ぎながら一人、取り残された部屋の中で考えに拭ける。
思えば、お父ちゃんと呼ばれた事がない。俺の名前は
丸美なのだが、よく丸ちゃんと呼ばれていた。それは
嫁の影響で、普段嫁が俺をどのように見ているのかの
フィルターにもなっていた。
だらしがない、身だしなみが悪い。甲斐性なし。まあ、そんなところだろう。
俺の事なんて金を運んでくる都合の良い召し使いなどと思ってるのだろうし、ハゲ始めた頭を見て、宇宙人だと思ってるのかもしれない。、、しかし、かまわない。
俺は寝る前に、そんな泥々になった女の事を考えるよりも、純粋なものに頭を一杯にしたいのだ。そう、娘だ。愛らしく屈託のない笑顔。俺に似たほっぺのえくぼが、その気持ちを増幅される。
愛らしい、娘に会いたい。
そんな、気持ちに寄り添いながら、ソファーの上で気がつくと、横になっていた。そして、悟った。
終わりなのだと、、。
新入社員も育ち始めた、今日この頃、仕事の効率は上がっていた。その中でも異彩を放つ存在がいた。
竹倉信長
奴は東大出のエリートだった。こんなど田舎の小さな会社に配属になったのも、おかしな話しだった。そのおかしさに最初気付いていれば、こんな事にはならなかっただろう。
奴はコミュニケーション能力にも優れた。上司である俺の話しは聞くし、三流大学の落ちこぼれである事を
述べれば、学歴がすべてではないと、言ってくれた。仕事も丁寧で早く、ヒラとは思えない有能っぷりだった。
気がつけば社風は、信長中心に回っていて、皆が彼を頼り、様々な難しい案件を彼にお願いした。俺もその一人で、さすが信長君 が口癖になっていた。
そんなある日、俺は会社に忘れ物を取りに行った。すると、そこに声がする事に気がつくと。男性と女性の
声だった。
そのシチュエーションを考えれば、経験が成せるのは
密会以外にない。だけど、なぜ会社の中なのかは疑問に思った。