真夜中の降り方
真夜中には
降り方がある
闇
月
春
嘘
朧げなぜんぶに
降り方がある
途方もなく
なつかしむように
はたらかないあたまで
季節を描こうとしている
記憶にないものがあるのなら
桜の樹の下に埋めやう
そうだ桜の樹の下に埋めてしまおう
桜の花びらにも
降り方がある
まさか
すべてがうつつのことで
このまどろみに幻影がないと言い張るのではあるまいな
どこにも実体のない
闇の中には
たしかに夢幻が在る
迷いこんでいらっしゃい
わたしにさようならをしにきなさい
壊れそうな真夜中にも
降り方がある