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【5th anniversary!】アデリーン・ジ・アブソリュートゼロ  作者: SAI-X
【第3話】大魔人トータスが破壊部隊を呼ぶ
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FILE016:ラン、ライノ!ラン!


「あなたはホーネット!」


「ボーッと見てないで我々を助けろ!」


 突如として現れた乱入者に、カチ合っていたアデリーンとジャガーガイストがそれぞれ反応。しかし当のホーネット――蜂須賀は意に介さず笑い、柵の上で腕を組む。


「そういうのはフェアじゃないからダメーッ。どうせ殺しをやるならフェアなほうがいい、それがワタシなりの矜持というやつだ。じゃあの」


 背中を向けるとジングバズショットを撃って火花を散らし、ホーネットは退散。地団駄を踏むジャガーをアデリーンが容赦なく張り倒し、叩き斬る。凍らせて動きも止めた。


「ヨコダーッ!? おのれ~~」


「叩き潰してくれる! ブゥアー!!」


 敵の反撃をかいくぐって、アデリーンはまた専用バイクのブリザーディアに乗り、トータスとライノセラスをぶっ飛ばす。そのまま、3大怪人をダム近辺の道路に落として追い討ちをかけようというわけだ。


「ちょこざいな! 2連バズーカを食らえ! ガメーッ!」


「ふんっ!!」


 今更この程度でやられてやるつもりはない。アデリーンがバズーカ砲の弾をブリザードエッジで両断、更にもう1発はキックで弾き返す。そのままトータスに命中して甲羅の鎧が砕けた。


「お、オレの甲羅! ガメエエエエ!?」


「進歩が無いわねトータス! ハーッ!!」


 予想外の出来事に狂ったトータスを見て勝機と判断したアデリーンは、いったんブリザードエッジを置いて、トータスにジャイアントスイングをしかける! そのトータスは延々回され続けた挙句に、ジャガーめがけて投げ飛ばされて仲良く大爆発。


「ガメェェェェ――――!!」


「ヒョ……ヒョオオオオオオオオ!?」


 先ほどまでジャガーやカメのジーンスフィアだったものは辺り一面に散らばったし、変身していたヨコダもマツモトも死んだ。死んだのだ! ――アデリーンは、仮面の下に強い覚悟を秘めた表情を浮かべたとともにブリザードエッジを再び手にする。


「リュウヘイ・ウラワをさらっていたぶり、罪なき人々を苦しめ、あまつさえジャガーやトータスと組んで大量虐殺を楽しんだライノセラスガイスト――! このアデリーン容赦せん!!」


「うぐぐぐ……! うるさい! よくもワシの同期を! こうなればもはや手段は選ばぬ」


 いよいよ残るはライノセラス=関根のみ。どれほど咎められようと自身の非を認めないライノセラスガイストは、その身勝手な怒りのままに蛮刀と盾を持ち出して暴れ出す!


「ブゥア――!」


「ッ! まさに鬼に金棒ね……」


 思わず圧倒されるほどの気迫。交互にくる打撃と斬撃を躱して防ぐも、このままでは負けてしまいそうだ。何せアデリーンからの攻撃は、ビームソードだろうとほとんど盾で弾かれてしまう。当てたところで鎧のごとく分厚い表皮が攻撃を受け付けない。なんとかして、隙を突いて逆転を狙うが、なかなかそうもいかない。互いに激しく動き回りながら剣戟と殴り合いを続け、光線銃ブリザラスターから撃った渾身のアイスビームがライノセラスが持つ厄介な盾や両肩のツノを凍らせたところで、アデリーンはあることに気付く――。


(なぜ盾を左胸を守るようにして持っている? なぜ左胸への攻撃だけは頑なに防ごうとしている?……そうか!)


 そうこうしているうちにライノセラスが蛮刀を振りかぶった。横薙ぎに切り払って、弾き返したところで敵の胸部装甲を狙う。火花が散り、確かに手応えはあった。


「お前の弱点は左胸よ!!」


「それがどうした!」


 アデリーンから指摘されるも、ライノセラスガイストは構わずにツノからビーム発射! その時の爆破の衝撃が、アデリーンをダム近辺から付近の廃墟へと吹っ飛ばす。すぐにライノセラスも追いつき、転倒しているアデリーンに対して一気に畳みかけようとする。


「ブゥオオオァァァァアア――ッ!!」


 雄叫びを上げるライノセラス。マウントを取られたが、アデリーンは間一髪転がって脱出。そのまま相手を蹴り上げて反撃開始。フルパワーでアイスビームを撃つ。


「凍れ!」


「そんな冷気ィーっ!」


 アデリーンが完全に凍らせたのは敵本体ではなく、盾だ。ブリザードエッジで刺突されると盾は砕け散った。ライノセラスガイストは、その衝撃で大きくのけぞる。アデリーンはそのままじわじわと詰め寄り、追い込んで行く。


「これであなたの弱点はさらけ出されたも同然」


「こいつ、やはりできる……! 死ねい!!」


 頭突きが繰り出された、だが見てからでも回避は間に合った。その次は両腕に仕込んだ機銃を掃射、これも氷のシールドで防いだ。スライディングで足元を狙って反撃。ライノセラスガイストはすっころんだが、すぐに復帰して持っていた蛮刀を激しく振り回す。


「言ったでしょう。私は死なない!!」


 やがて、鍔迫り合いがはじまった。どちらも負けるわけにはいかない。怪力にモノを言わせて押し切ろうとするライノセラスに、激しい闘志を燃やして抵抗するアデリーンが――勝った。隙を突いてアデリーンは蛮刀をブリザードエッジで両断し、敵を丸腰にする。今度こそ、勝機。


「グオオオオ……」


 いくら重装甲を誇るライノセラスガイストも、もう疲れを見せ始めている。潮時だ。この機を逃さず、アデリーンはブリザードエッジに全身全霊を込めてその目を光らせた。そして助走をつけてライノセラスガイストをぶった切る。


「フリージングストラッシュ!!」


「ブゥオオオオオアアアアアアアアアアアアアアア―――――――――――――――――――ッ」


 廃墟内に吹雪くほどの冷凍エネルギーを乗せた必殺剣が炸裂し、ライノセラスはついに爆発四散! サイのジーンスフィアも粉々に砕け散り、爆発の残り火も吹雪にかき消された中で既に満身創痍の関根が横たわる。その関根に、ブリザードエッジを背中のスロットに差してメタルコンバットスーツのメットを脱いだアデリーンが近寄る。その表情は自然と和らいでいた。


「そ、そうか……、お前の信念がワシのパワーを上回ったというのだな。完敗だ……」


 その時、関根は敗北を認めて気を失った。思うところがないわけではないが、戦いも終わったのでアデリーンは一息つく。


「長く苦しい戦いだった。敵ながらあっぱれだったわ。けれど、犯した罪は償ってもらう」


 そう言って、アデリーンはアブソリュートゼロのエンブレム入りのカードを取り出すと何か書き始める。ちなみにそのエンブレムは雪の結晶と王冠をかけあわせたものだ。そして、関根の罪状を記したカードをこの廃墟に置いて行く。


【この者、ダム破壊テロ未遂犯! 大量破壊と殺人ほか余罪多数!】


「アデリーンはCOOLに去るわ」


 【氷晶】を解除してメタルコンバットスーツを脱いで私服姿に戻ると、アデリーンは専用バイク・ブリザーディアに乗っていずこへと去って行く。清々しいほどのやりきった笑顔だった。

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