コント 「悪役令嬢になりたい」
初めて悪役令嬢ものなんて書いたが、大丈夫だろうか(震え)
令嬢 「執事! 執事は何処に居るのかしら!?」
執事 「ここでございます、お嬢様。」
令嬢 「あら、すぐそばにいたのね? 存在感が薄いから気付かなかったわ、オーッホッホッホッ…」
執事 「さようでございますか、大変申し訳ありません」
令嬢 「相変わらず動じないわね…まあいいわ、それで、あの小賢しい田舎娘を陥れる算段はついたのかしら?」
執事 「いま調査中です、お嬢様はあの娘と同じ魔術学院の最高位クラスにご在籍ですが、なんと貴族のご子息とあの娘がお付き合いしているとの噂がありました。」
令嬢 「なぁんですってえ! あの麗しの殿方が、あーんな芋娘と!? 」
執事 「落ち着いて下さい、あくまで噂にございます。」
令嬢 「そ、そうね…フン! 噂が立つという事は、それなりに関係は良好という事かしら?」
執事 「左様でございますな、していかがいたしましょうか?」
令嬢 「フン! いくら身分の差が関係なく、魔術の才能が有れば入学できるとはいえ、分不相応には違いありませんわ、知り合いの貴族達に立場を弁えぬ小娘を、あの殿方から遠ざけるように働きかけなさい、必要な書類はお父様に頼んでおきます。」
執事 「御意にござります、あ、それともう一つ。」
令嬢 「まだ何か?」
執事 「後日行われる晩餐会は例年と違い平民も参加できるようにと、国王陛下からのお達しで、恐らくあの娘も参加するかと思われますが、こちらはいかがいたしましょう?」
令嬢 「放っておきなさい、いくら国王陛下が慈悲深いお方でも貴族の反感を買うような真似は出来ませんもの、先程申した策を予め打っておけば、周りの貴族たちが勝手に動いてくれます。」
執事 「さすがはお嬢様、見事な采配でございますな。」
令嬢 「これくらいは当然よ、オーッホッホッホッホッ…!」
執事 「では、私はこれで失礼いたします。」
令嬢 「ご苦労でした、下がってよいですよ。」
執事 「あ、うっかりしておりました、通信用の魔法の手鏡が届いております、こちらをどうぞ。」
令嬢 「あら、やっと来たのね? 工房の製造が追いつかないのに平民の分まで作って与えるなどと無理をするからいけないのですわ、まあ入学して直ぐに届かず、2週間も遅れたのはこの際目を瞑りましょう。」
執事 「主はなんと仰せに?」
令嬢 「そもそも人員が不足しているのだから、金だけでなんとかなるものでも無い、多少は大目に見よ、だそうよ、お父様も甘いですわね。」
執事 「左様でございますか。」
令嬢 「それよりも、お茶の時間が近づいているわ、さっさと支度をなさい。」
執事 「これは申し訳ありません、では失礼いたします。」
令嬢 「因みに今回のお菓子は何かしら?」
執事 「マカロンと隣国より取り寄せた焼き菓子でございます。」
令嬢 「まあ、それは楽しみね。」
執事 「では支度がありますので、失礼いたします。」
令嬢 「さてと、この手鏡は魔力を流せば、一度会った事のある者の手鏡とつながってお話が出来るんでしたわね、…ふふふ、これで良し。」
令嬢 「あ、娘ちゃん?やったーっ! ようやくつながりましたわね? もう! あなたの方の手鏡が先に届くなんてずるいですわっ! でも、これでいつでもお話しできますわね? あそうそう、執事から聞きましたわよ? あの殿方とお付き合いしてるんですって? キャー! うらやましいですわっ! あ、それで先に謝っておきたいんだけど、また貴族たちの子が嫌がらせをすると思うけど、気にしないでね? 私も立場上あなたの動きをけん制しておかないといけないから仕方なくやっているけど、危なくなったら言ってね?大丈夫気にしないで私は平気だから…」
執事 「お嬢様、お茶の用意が出来ました」
令嬢 「わーーー!!! しし執事! いつからそこに!?」
執事 「先程参ったところです、おや? 早速手鏡を使っておられるのですな?」
令嬢 「こ・こここれは、そ、そう!あの職人が怠けていないか確かめるために魔力を注いで動作を確認していたのよ?」
執事 「なるほど、さようでございましたか、ん? なにか手鏡から声が聞こえますが、どちらとお話を?」
令嬢 「あっ、こここれは……フッ、流石ね執事。」
執事 「え? 何がでございましょう?」
令嬢 「私があの小娘の部屋を手鏡を通じて探ろうとしていたのを止めに来るとは…本来ならば余計なことをと叱るつもりでしたが、私としたことが、戻れなくなるリスクを考慮に入れておりませんでした、早まった行為を止めて下さって感謝いたしますわ。」
執事 「なんと!お嬢様がご無事で何よりでした、万が一という事もあります一旦工房にお返しいたしましょ」
令嬢 「い、いいのよ! 私が気を付ければ済む事ですもの!」
執事 「左様でございますか、ではそのように。」
令嬢 「…ありがとう、ではお茶の用意を」
執事 「かしこまりました」
令嬢 「さて、楽しいお茶の時間になりそうね」
執事 「あの娘と仲がよろしいようで、喜ばしい事でございます。」
令嬢 「見てたの?」
執事 「はい」
令嬢 「他言無用よ!」
執事 「御意にござります」
ヤバイ、落ちてない気がする(滝汗