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第一章1話  入学式



 今日が高校の入学式だという事をしっかりと忘れていた伊織は高校の新しい制服に急いで着替えた。


「もう少し早く教えてくれればなぁ…」


「何か言いました?」


「いや、な、何も言ってないぞ…ハハハ」


 壁越しにも伊織の愚痴はしっかりと舞依の耳に通っていた。


「そういえば舞依は、学校いつからなんだ?」


「私は、明日からです」


「いいなぁ…」


「もう一度中学校やり直しますか?」

 

 舞依の容赦のない受け答えに苦笑いを返しながら朝食を食べた。


「父さんたちは、もう仕事か?」


「はい、もうとっくに家を出ていますよ。」


「相変わらず早いな」


「そんな悠長な事を言ってる場合ですか?」


 舞依にそう言われて時計を見るともうほとんど時間がなかった。慌てて靴を履き、急いで急いで家を出ようとする。


「あっ、兄さん」


「ん?どうした?」


「行ってらっしゃい」


「ああ、行ってきます」


 伊織は玄関の扉を大きく開けた。



―――――――――――――――――――――――



 家から高校までは自転車で20分ぐらいの場所にある。家を出て左の道をちょっとした大通りまで行き、その大通りを南にずっと進めば見えてくる。


(この時間なら間に合う)


と思った瞬間…


「よっ!伊織生きてたか?」


 後ろから誰かに声を掛けられた。いや、誰かなんてとうに分かっていた。休み明け早々からこんな安否の確認の仕方をするのは伊織の知る中で一人しかいない。


「ああ、生きてるよ、お前こそ生きてたか優太?」


 声を掛けてきたのは幼稚園からの友人である森優太だった。


「まあな、てか今日入学式だよな」


「そうだな、けどこのままだと説教で終わるぞ…」


 遅刻しそうなことを忘れていた優太は、数秒の沈黙の後に言った。


「急ぐか」


「急ごう」


 凄まじい早さで2台の自転車が自転車専用道路を走っていった。



―――――――――――――――――――――――



 二人は遅刻ギリギリの時間になんとか学校に着くことができた。


「いやぁ~ギリギリだったな」


「確かにな、校門に竹刀持ってた先生いたからな」


 二人は学校で決められた自転車置き場に自転車を止め、急いでクラスを確認した。


「伊織~俺4組だったぞ、お前は?」


「もう見えてるだろ、幼稚園の時から数えてこれで14年目だな」


 4組の上から10番目の欄に黒崎伊織と書かれていた。

 

「クラスも確認したし、そろそろ行くか」


「そうだな、早く行かないと遅刻扱いにされちゃうしな」


 二人は1年4組の教室へと向かった。



―――――――――――――――――――――――



 遅刻ギリギリの二人を教室で待っていたのは...


「あはは、二人して遅刻だ!」


「もう!入学式なのに何してるの!」


 遅刻した二人を笑って見ている夢咲花としっかり叱ってくれる佐々波結衣だった。


「今日は入学式なんだよ!しっかりしないと!」


「すまんすまん、道に迷ってた」


 遅刻ギリギリの事を叱る結衣に優太はバレやすい嘘をついた。


「あはは、そんな複雑な道じゃないでしょ、遅刻する理由がないじゃん」


「そういう花も学校来たの今さっきでしょ」


「それは、言わない約束だ!」


 結衣にカミングアウトされたのを急いで隠し通そうとする花に、伊織は思わず笑ってしまった。


「ハハハ、まあもうすぐ入学式だから早めにいこうか」


「そうね、私まで遅刻ギリギリだと思われるし」


「まあもう少し時間があるから大丈夫だよ」


「まあでもあと5分しかないから早めに行っとこうぜ」


 そんな会話をしながら四人で教室を出ようと扉を開けようとしたその時だった。


「え?何これ?」 


「なんだよこれ!?」


 四人の足元に魔方陣のようなものが浮かび上がった。


「動けない!」


「何これ!?どうなってんの!?」


 四人は突然のごとに驚きを隠せず、慌てるばかりだった。それどころか光だしてどんどん四人の視界を白色に染めていく。


「とりあえず、動くのは危険だ!」


 伊織がそう言い聞かす。


「でも、どうするの!?周りの子達には見えてないみたいだから助けも呼べないし!」


「とりあえず逃げるしかないだろ!」


「どうやって逃げるの!?動けないんだよ!?」


 四人がそんな会話をしているうちに光はどんどん視界を奪っていく、そして今にも弾けそうなくらいになった。 

 

「何がどうなっているかわからないけど、とりあえず目を瞑るんだ!」


 伊織がそう叫び、目を閉じた瞬間四人は感じたことのない眩しさと重力に吸い込まれた。

まだまだ少ないですがこれからも頑張りたいと思います。

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