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夢に必要なもの! あれ? でも、話進んでなくない? 

 今回は物語としては話は進んでいません。無駄話が多すぎて困っています。なので、読もうと思う方は期待しないで下さい。

 三人で共同作品を作るという事が決まり、早速構成を考え始めたのだが、リリアが邪魔をして全く話が進まない。

「ですから、ジェニファーを主人公にしても、問題無いんじゃないんですか?」

「だから! この話にそんな主人公要らねーんだよ!」

 リリアは、自分で作ったジェニファーをどうしても使いたいらしく、紅い目には真実を見通す力があり、蒼い目には未来を見通す力があるなど、余計なスペックをどんどん増やし手が付けられなくなり始めた。

「オメー、この話にそんな主人公使ってどうすんだよ! 大体そんな力あれば、一発で小説家になってるだろ!」

 馬鹿なの? この子馬鹿なの?

「分かっていませんね。蒼い瞳は、実物が無いものには使用出来ないんですよ。だから、いくら未来が見えても、先ず小説自体を完成させなければならないんですよ。ですから、必ず人気が出る小説を書くために努力するんですよ」

「それだったら意味ねーだろ!」

「ありますよ。色々な真実を紅い瞳で見て、そこから題材を選び、小説を完成させていくんですよ」

今考えている物語の内容は、すでにリリアも分かっているはずなのに、何故にジェニファーを薦めるのかが、全く理解出来ない。もしそんなファンタジーの主人公のようなジェニファーを使えば、もう色々と訳が分からなくなってしまう。ヒーも楽しそうに自分のキャラクターを宣伝するリリアを見て、先ほどとは打って変わってのほほんとしている。

「大体よ、この話にファンタジー要素は要らねーんだよ! お前小説読んだ事あんのか!」

 俺の言葉にリリアは、得意気にチッチッチっと立てた人差し指を振り、憎たらしい事を言い始めた。

「そんな事だからリーパーは凡人なんですよ」

 この子は本当に凄い。小説など書いた事も無いのに、さながら売れっ子作家のような事を言う。俺だって努力してんだよ!

「こうでなければいけない。こうじゃなきゃ駄目。そんなの誰が決めたんですか? 勇者は魔王を剣や魔法で倒さなければ駄目なんですか? そんな常識に拘っていると、誰かの作った作品の二番煎じしか作れませんよ?」

 リリアの言っている事は分かる。だが、こいつの言う常識自体が狂っているため、説得力に欠ける。

「オメーが言うな! これは誰かに役立ててもらおうって作品だろ! オメーの作った主人公じゃ、全然役に立たねーだろ!」

「立ちますよ。誰だから話になんないとかは関係ないんですよ。大切なのは、その人が何をするかじゃないんですか? 夢を追いかけるにしろ、誰かと恋に落ちるにしろ、苦難に立ち向かうのに人選は関係ないんですよ」

 くそ! 屁理屈だけは一丁前だ! リリアはただ単に、自分の作ったキャラクターを使いたいだけだ!

「関係あるわ! こんなハイスペックのキャラ使って、何が困難だ! これなら、いざとなればいくらでもチート使えるだろ!」

「なら、こっちの暗黒魔剣士ロビンソンを使いますか?」

 暗黒魔剣士ロビンソン? リリアにはネーミングセンスも無いのか?

「同じじゃねーか! 結局『この力は使いたくなかった』とか言って、暗黒の力使って簡単にケリ着けれるべや!」

「あ、良く分かりましたね? ロビンソンの必殺技は、悪魔との契約で得た暗黒の力を使い、強烈な斬撃を飛ばすんですよ。でも、その力を使うには……」

「もう暗黒魔剣士ロビンソンの説明は要らねーよ! 俺が言いたいのは、現実世界をモチーフにした話なのに、そんな反則出来るキャラ要らねーだろって言ってんの!」

 本当に困った。こうなると、もうリリアの作ったキャラクターを使用しないと、ずっと話が進まない。

「もうリーパーは。本当に我がままですね? 魔法や剣を使える主人公が、敢えてそれをペンに持ち替えて戦うんですよ? 普通の人が小説家になるために頑張るより、ずっと面白そうだと思いませんか?」

 ため息しか出ない。もういっそ諦めて、ジェニファーだけでも使用するしかない。

「分かったよ。もうそれでいいよ。ジェニファーが主人公で良いよ!」

「あらら。もう諦めたんですか? そんな事では、小説家になる夢など、夢のまた夢ですよ?」

 出た。リリアお得意の本気かどうか分からない冗談。リリアは、俺を試すときに良くこの手を使う。リリアの中では俺を想ってやっている行為だと思うが、こんな調子で試す為、本題に入るまでかなり時間を要する。

「うるせーよ! オメーは人生の成功者か!」

「そうです!」

 そうなの!? 俺から見てもただのしがない女子高生にしか見えないんですけど? それなのに、何故リリアはこんなにも自信満々なのだろう? そう思う俺に、リリアは何故? と聞いて欲しそうにチラチラこちらを見ている。本当にため息しか出ない。

「そうなの? 俺にはそうは見えないけど……?」

 当然そう俺が訊くと、リリアは瞳を輝かせ、嬉しそうに語る。

「今まだ、そう見えなくて当たり前です! 何故なら、私は将来、自分がなりたい夢を見つけたとき、必ずその夢を叶えられるからです!」

 根拠は全くないが、何やら物凄い自信だ。そんな事が出来る人間が存在するのなら、それはある意味神の領域にいる人間だろう。確かにリリアは、ある意味神の領域にいるのかもしれない。

「さぁヒー。どんな風に作っていく?」

 無駄話はこの辺にして、さっさと打合せして帰ろう。

「リーパー! 何でって聞いて?」

 本当に世話の掛かる妹だ。今現在、全く役に立たない話で時間を浪費している。

「何で?」

「それはですね……」

 小説みたく、あっという間に場面転換出来れば、この世の中に無駄という言葉は無くなるだろう。しかし現実はそうもいかない。

「私は絶対に諦めないからです!」

 リリアは基本的に、純粋で素直な子だ。だからこういう綺麗ごとを信じてしまう。今はまだ高校生だから良いかもしれないが、社会に出ればそれは嘘だと知るだろう。それでも、今のうちに社会の厳しさを教えておかなければ、将来辛い人生を送るかもしれない。

「リリア。努力すれば夢は叶うとか報われるとか、そんなもんで夢が叶うなら、誰もやりたく無い仕事なんかしてないんだぞ?」

 リリアが言う事が間違っている訳ではない。それでも、ほとんどは事実とは異なる。リリアが信じているものを否定するのは心苦しいが、これもリリアの為である。

「全く、リーパーは本当に社会人ですか? 努力すれば夢は叶うというのは、努力さえ惜しまなければ、必ず神はその努力を認めてくれる。という意味ではないんですよ? 夢を叶えるには、必ず努力というものが必要になる。という意味なんですよ? まぁ私の場合、努力なんて言われるような精進はしませんけどね」

 リリアなりに色々と考えていはいるようだが、それでもやっぱり、人生というものをまだ理解出来ていないようだ。

「そうかもな。本人が努力と思わなければ、それは努力じゃないからな。楽しんで勉強していれば、他人が頑張っているって言っても、ピンとこないもんな? それでも、やっぱり夢を叶えるには、運とか、才能とか、そう言うものが必要になるんだよ」

 小説の打合せも始めたいが、それよりも先に、リリアに社会というものを教える事が先決になってきた。

「才能? 運は確かに必要だと思いますが、それは夢が叶うのが、早くなるか遅くなるかくらいじゃないですか? それに、才能なんてものは、基礎能力を極めてから初めて差となり現れるものですよ? みんなが言う才能なんてものは、物覚えが早いとか、周りより少し要領を得るのが上手かっただけの話しですよ? どんな夢でも、叶わないという事などあり得ませんよ?」

「あるよ。将棋は年齢制限あるし、師匠とか必要になる夢だってあるんだぞ?」

「そんなの、なければ自分で作ればいいじゃないですか?」

「はぁ?」

「リーパーは勘違いしてますよ。夢が叶わないのは、諦めたときか、自分が死んだときしかありませんよ?」

「何?」

「いいですか。自分がなりたい夢があるのなら、夢が叶うまで続ければいいんですよ。年齢制限だろうが、誰に無理だと言われようが、死ぬまで続ければいいんですよ。それでも叶わないなら、生まれ変わっても続ければいいんですよ。だから成功者は、夢は叶うと言うんですよ」

 確かに。生まれ変わってまで夢を追い続ければ、いずれは必ず叶う。一年二年で夢は叶わないとぼやけば、大抵の人は「そんなの当たり前だ!」と言うだろうし、十年二十年やって夢が叶わないとぼやけば「ここまでやったなら、もう少し頑張ろう!」と励ますかもしれない。しかしリリアは、そんな常識の範疇を遥かに超えた域で夢を追いかけるつもりだ。

 天才。神童。第一人者。神。と呼ばれる人物は、そういう思考という才能を持つ人間の事を言うのかもしれない。

「そうですね。 同じ人間がその職業にいるのなら、当然同じ人間である、私達が叶えられないはずはありませんね?」

 ヒーもそう言うが、いざそれをすると心に決めても、なかなか出来る事じゃない。夢は挫折する方が多いのだから。

「ですよね。有名なアイドルになるのと、鳥やイルカになるの、どっちが難しいと思います?」

 そう言われればそうだ。同じ人間がなれる職業なら、死ぬまで努力すればどこかで叶うかもしれない。だが、鳥のように肉体一つで空を飛ぶ事や、あり得ないほどの水圧の中でも、長時間潜水していられるイルカになろうと思っても、死ぬまで努力しても叶う気がしない。しかしそれだと、鳥やイルカになりたい人は、一生夢が叶わないんじゃないの? あ、そうか、生まれ変わればいいのか? ん? やっぱり無理じゃね?

「そりゃ、鳥やイルカになる方だろうな? でも、鳥やイルカになりたい人は、かなりきつくね?」

「ふっふっふ。そこが(ふる)いなんですよ。無理! と思うか、いつになるか分からない! という境界が、成功するかしないかの分かれ目なんですよ? 無理と思えばそこで終わりです。しかし! いつになるか分からない! なら、そこから一生掛かる、何十年掛かる、五年は掛かる、と少しづつ縮めていけばいいんです! リーパーは今、自分が小説家になるのに何年掛かると思いますか?」

 そんな事急に言われても、考えた事も無い。そこで、今考えてみた。

「う~ん……十年以上かな?」

「だったらリーパーの夢は、続けていれば生きているうちに叶いますよ。今自分でそう思うのなら、そこから次は後五年、と言えるまで続ければ、叶わない夢だとは思わないでしょう?」

 何か、めっちゃ小説家になれる気がして来た。リリアの言う通り、努力すれば夢は叶うと言う言葉は、真理を衝いているような気がする。

「そうだな。リリアって本当は凄いんだな?」

「でしょう?」

 てっきり、「今頃気付いたんですか?」と返ってくるかと思っていたが、リリアはにっこり笑い返すだけだった。

 小説家になるために、小説家になろうでアドバイスを貰って力を付けようと思う前に、先ず俺は、生まれ変わってでも小説家になってやる! という気概が足りなかった自分に気付かされた。リリア達に相談した事は、俺にとっては正解だったのかもしれない。俺は本当に良い妹たちを持った。

「よし! 気合も入った事だし、早速話考えようぜ!」

「はい」

 俺だけでなく、ヒーにも気合が入ったらしく、リリアより先に返事をした。それを見て、リリアは満足そうな表情を見せた。

「では早速、ジェニファーとロビンソンの配役を決めましょう!」

「もうそこは良いんだよ!」  

 

 



 リリアはこういう子です。ヒーとは違う意味で頭が良いです。しかし無駄が大好きというか、何というか、こういう性格です。こちらとしては話を進ませることを優先させたいのですが、全く言う事を聞きません。会話文ばかりで小説としては疑問を感じているので、思いっきり話を飛ばす気で書いて行こうと思います。それとも、リリア達の無駄話の方が面白いですか?

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