畏怖
久しぶりに五人で集まったのが仇となり、結局日曜日は書き溜めはほとんど出来ず終わってしまった。それでもアクセス数は七十を突破し、過去最高に迫る勢いだった。
日に日に増えるアクセス数にブックマーク登録者。なろうではまだまだ無名に近い作品だが、少しづつ増える読者に、このまま行けばいずれは千人を超える! そんな予感を感じていた。
そんな俺の期待に応える様に、月曜日には突然PVアクセスが七十を超えた。日曜日でもないのに前日の記録を上回り、一気に勢いづいたように伸び始めた。
なんだこれ!? ……いや、たまたまだ。
日曜日の投稿で新規の読者が目にして、新たに読者が増えたかと思ったが、今まで読んでいた人が、たまたま昨日読めなくて、今日読んでくれたに違いないと淡い期待を捨てた。
本来なら両手を上げて喜ぶ数だが、所詮は俺が書いた作品。突然人気が出ることなどあり得ない。今までは増える一方の読者に、もしかして? と舞い上がっていたが、いい加減三週間以上続けていると、それなりに自分の作品の力も分かってくる。
仮にもし本当にこの話が面白く、認知さえされればあっという間に広がるとしても、週間ユニークアクセス数一万を超える人気作品を見ると、その作者が時間をかけやっと掴んだ栄光を、一か月も経たない新参者の俺如きがそれを上回れるとは、とても思えなかった。それでも次の日にもアクセス数は七十を超え、完全に勢いづいたのが分かった。
しかし俺はそれを見て、喜ぶより、何かがおかしい? と思った。
もしかしたらブックマーク登録者が宣伝してくれたのかもしれない。もしくは、総合評価とブックマーク登録者の数を見て、これは読んでみようと思う読者が増えたのかもしれない。そう考えられなくはなかったが、突然増えたアクセス数に不安を覚えた俺は、もしかしてリリア達の悪戯? それともなろうが気を利かせて操作したのではないのか? という思いの方が先立ってしまった。しかし、リリア達は悪戯こそすれど、そこまでは性根は腐ってないし、第一、ブックマークに登録して、宣伝効果を出して手助けするほど俺を甘やかさない。なろうにしてもそうだ。わざわざ俺なんかの為にアクセス数を増やすような労力を割くとは思えない。それでもさらに次の日には八十を超えた。
怖い
この確信的なアクセス数の伸びに、俺が強く感じたのはこれだった。
今まで俺にとってのアクセス数は、作品の人気度を表すパラメーターでしかなかった。しかし、ここまで来ると、もはやただの数字ではなく、ブックマーク登録者と同じ”人“にしか見えなくなっていた。
ブックマークに登録してくれた人の為にも、この勢いは絶やしてはならないと分かっていたが、すでに俺は、自分の力を超える力を持った連載に、恐怖を抱くようになっていた。
ヒーが「いずれ飛躍的にアクセス数は伸びるかもしれません」と言ったとき、俺はなろうに登録した目的も忘れ、もしそうなったら小説家になれる! と期待してしまった。
俺としてもヒーの言葉を聞いてから、なかなか増えはしないが減りはしない読者数に、この連載に鼓動のようなものを感じ始めていた。それが突然孵化し姿を現した途端、俺は喜びより、喰われるという恐怖に飲まれてしまった。
この恐怖は次の日の九十近いアクセス数に、畏怖へと変わり、俺は初めて連日続けた連載を止めてしまった。




