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チェインはもういいんだよ!

 今話はリリア達も出てきます。しかし今話のリリアは、全く相手にされません。いつもなら誰かが構うのですが、今話は真面目な話のためほっときました。

 今朝、連載のアクセス数を確認しようとページを開くと、ブックマーク登録者が一人増えていた。

 あり得ない!  昨日の今日で、もうチェインの効果が出た! ヒーは本当に凄い!

 評価ポイントも四となり、よもうで確認しても、そこそこ面白いと思ってもらえるステータスになっている事に、俺は歓喜した。

 仲間。まるで新たな仲間が加わった気分だ。

 その事にすでに気付いていたリリアは、LINEに、暗黒コンボの完成が近づいていますね。と書いていた。あいつはファンタジー小説の世界に生まれていれば、さぞいい仕事をしただろう。

 そんな喜びに、秋が深まり冬の匂いがする白い吐息を見ても清々しさを感じた。

 その新たな仲間が俺に力を与えたのか、その日は昨日のズル休みをした罪を償うように仕事に集中出来た。しかし、世というものには常に危険が伴い、俺は逆に、これから増え続ける読者のお陰で、勝手に名を使っているなろうが気付き、連載を止められ訴えられるかもしれないという恐怖に襲われた。

 そこで俺は、いざとなったら連載中止も覚悟して、なろう問い合わせにメールを送る事にした。


”勝手になろうを題材に、なろうの名を使い投稿しています。問題ありませんか? もし問題があれば、いつでも削除しますから、返答願います“


今まで応援してくれた、たった一人のファンへ勝手にした約束も、今日ブックマーク登録してくれた新たな仲間も、置き去りにするような考え方だったが、心の何処かでは、寝る間も惜しみ仕事にまで影響している連載を、止められる正当な理由が欲しい気持ちがあった。

そんな俺の弱さを咎めるように、二日してなろうから返答のメールが届く。


”ご連絡頂きました後、確認させて頂きましたが、現時点では問題となる点を確認できませんでした。その為、運営より何らかの対応を行う予定は御座いません“


 まさかの返答に俺は驚いた。少なくとも、何かしらの文句のようなものがあり、それなりに制約を加えられると思っていた。それなのに、問題無い!? 返信自体でも驚かされるのに、確認までしてくれて問題無い!? 運営はどんだけ寛大なんだ。俺だったら、こいつは頭がおかしいと思い、問題を起こす前にお帰り願うだろう。それに、そんな返事をされれば、余計にプレッシャーになる。本当に運営は……あざーすっ!

 本当なら止めてくれと言われたかったのだが、丁寧な返答に最大の難関とも言える問題が解決し、重荷が一つ無くなった気分だった。

 怖いくらい順調。俺は本当になろうでプロデビューしてしまうのではないのか? そう思ってしまうくらい作家としての俺には勢いがあった。だが、そこから二日でその自信は揺らいでいく。

 


 新たな登録者を獲得し、ここからさらにファンが増えると意気込んだ次の日。その日は真面目に仕事に従事し、今日ももしかしたら、誰か登録してくれてるのでは? と期待しながら仕事終わりになろうにログインした。すると、いつもは十時ごろからあるPVアクセスが今日はほとんどなく、まさかの十一を示していた。

 何があった!? まさか昨日の投稿に問題があったのか!?

 慌てて昨日の投稿を確認するが、自分では特に問題があるようには思えない。

 今日はきっとみんな忙しくて、夜になったら増えるだろう。一瞬動揺したが、昨日まで平均五十を叩き出していた自信が、咄嗟にそう思わせた。しかし次話を投稿してもアクセス数は伸びず、結局寝るまで眺めていたが、その日のアクセス数は三十二で止まった。

 その次の日には、昨日のはたまたまだと思っていた俺の予想を裏切り、終日記録は四十に届かなかった。

 まさかメッキが剥げた? 長々しいタイトルで興味を惹いていただけで、内容を知った人が離れだした? そんなはずは無い! 俺の作品は面白い!

 現実を受け止められない俺は、リリアとヒーが力を貸してくれている事も忘れ、怒りにも似た感情を抱いていた。そして、このままでは折角獲得したファンも離れてしまうと思い、すぐさまリリア達に連絡を取った。



「そうですか。流石に暗黒コンボを完成させるには、一筋縄では行きませんか」

 急遽相談があるとLINEを送ると、リリアはいつでもどうぞと快諾してくれた。俺はそれに甘え、土産のお菓子を持参しリリア達の家へ来ていた。だがリリアには悪いが、今はこいつに構っていられない。

「暗黒コンボはいんだよ! オメーは何をする気なんだよ!」

「ふっふっふ。それを知ってどうするんですか? まぁ、言ったところでリーパーには止められませんけど」

 リリアが邪魔くさい。アクセス解析を見て思案しているヒーと比べ、リリアは高ステータスのような数字を見て、俺の心配などお構い無しだ。これはこういうゲームじゃないの!

「ヒー、何でだと思う? 何でいきなりこんな事になんの?」

「それはすでに、私たちの暗黒コンボに気付いた何者かの陰謀です。ボス出現で、やっと面白くなってきましたね!」

 あれ? リリアって小説家になろうに登録してたよね? このサイトこういうサイトじゃないの知ってるよね?

「恐らく、リリアの言っている事は違うと思います」

 ヒーはあっさり否定したが、当のリリアはすでに戦いに向かうためチャンバラをしている。自由過ぎない?

「じゃあ、何で?」

 リリアはほっておいても大丈夫だろう。俺達が目の届く範囲にいれば、安心して一人遊び出来る子だ。

「はい。これはたまたまだと思いますよ? 読者の方も毎日読んでいるわけでもないので、特に気にする事は無いですよ。それに、投稿時間も影響しているのかもしれませんね?」

「投稿時間?」

「はい。リーパーの場合、毎日話を作り、確認が終了した後投稿していますよね?」

 書き溜めがあるから、今までのように余裕が無く投稿してはいないが、それでも毎日続きは書いている。

「うん」

「でしたら、ゴールデンタイムに当たらなければ、アクセス数は伸びないのは当然です」

「ゴールデンタイム? テレビとかで言う、視聴率が一番稼げる時間の事か?」 

「はい。なろうでも、必ずアクセス数の伸びる時間帯が存在します。それは何時なのかは私には分かりませんが、今まで、一時間の伸びが大きい事はありませんでしたか?」

 ヒーの言う通り、確かに数回、一時間で二十を超える事があった。

「あぁ、あった。投稿した時間に、物凄いアクセス数記録した事ある」

「それは何曜日の何時か覚えていますか?」

 曜日まで聞かれると正直覚えていないが、時間だけははっきり覚えている。

「曜日は忘れたけど、時間は夜の七時」

「そうですか。しかしそれは、あまり効果のある伸びではないので、気にしなくて良いです」

 効果のある伸び? たくさんの人が読んでくれているのに、効果が無い? ヒーはやはり、俺達とは違う次元で物事を考えているようだ。すっかり自分の世界で興奮しているリリアも、ある意味違う次元で物事を考えているが。っていうか、さっきから横で、新たな敵が‼ とか五月蠅いんですけど!

「どういう事?」

「はい。投稿した時間がゴールデンタイムに当たれば、当然新着で多くの人の目に止まります。ですが、そこで獲得出来る新規の読者は、ほとんどが居つく事はありません」

「そうなの?」

「はい。確かに数が多ければ、その分確率は上がりますが、それを追い求めているようでは、今ある本命を逃してしまいます」

 本命‼ 競馬? ヒーは確かに動物好きだけど、競馬の話じゃないよね?

「本命? 今残ってるファンの事?」

「いえ。この時間帯のアクセス解析を見て下さい」

 ヒーは少数ではあるが、満遍なく青く伸びたグラフを指さした。

「リーパーが毎日見るグラフは、いつもこのような形をしていますか?」

「え? あぁ。いつもこんな感じ」

 俺としては、一時間当たり一人や二人しかいないグラフより、一時間でドカッと伸びているグラフの方が好きだ。しかしヒーは、俺の答えを聞いて嬉しそうな表情をした。

「そうですか。どうやらリーパーは、小説家として次の段階に入ったようです。ですので、そう焦る事はありませんよ」

 小説家として次の段階? 小説家に段階なんてあるの? 

「どういう事?」

「はい。この一番伸びているグラフは、リーパーが新たに投稿した時間ですよね?」

「うん。昨日はこの時間に投稿した」

「でしたら、この伸びは一番目に止まる場所に掲載されていた為、当然と言えば当然です。ですが、それから一時間二時間と時間が進むにつれ、その新着は新たな新着に押され、徐々に後ろへ回されます。そうなると、リーパーの作品を探すには検索が必要になります。分かりますよね?」

 何故かヒーは、今日は回りくどい言い方をする。それは俺でも分かる。もしかして、ここ最近の言動から、俺って馬鹿だと思われだした? あ、それは最初からか……

「あ、うん」

「その検索が重要なんです」

 ああ、なるほど。ヒーは余程重要な話をしているんだ。だから親切丁寧に説明している訳か。俺はてっきり、俺の肩をゆすり、構ってよアピールするリリアを無視し続けているのを見て、仲間だと思われているのかと思った。

「そうなのか。俺はてっきり、面白くないのが広がったのかと思った」

「それはボーダーラインを下回らなければ、分からない事ですよ」

「ボーダーラインって?」

「はい。簡単に説明すれば、人が離れだしたという合図です。これを下回れば、その作品は辞め時という事です」

 そんなラインあるの? それ分かったら、誰も無駄に連載しないよね?

「知り方は、まずユニークアクセス数割る、今までの連載話数で数字を出します。例えば、百人のユニークアクセスに対して、十話投稿していたとします。すると、百割る十で十となります。次に、一日のアクセス数とそれを見比べ、一日のアクセス数が十以下になる日が続けば、それは人が離れた証拠になります。こうなると、修正を加えていくより、一度完結させた方が良いでしょう」

 それは酷くね!? もしかしたら、それでも一人は面白いって思ってたら……それは酷くね?

「誰か一人でも、面白いって思っててもか?」

「私が言っている事が正しいわけではありませんが、私個人としては、そう思います。何故なら、一度ついたファンでさえ離れる作品なら、新たに面白いと思う読者の方が少ないからだと思うからです。確かに人にはそれぞれ好みがあるため、一概にそうだとは言い切れませんが、人間である以上、必ず共通の思想は持っています。それを覆そうとするならば、その作者は、芥川賞や直木賞を受賞するだけの力量を持っていなければならないでしょう」

 それはほとんどの人が無理じゃね? というか、それだけの力がある人は、そんな作品作らないよね?

「ですので、リーパーの現状では、まだその段階にすら達していないという事です」

 本当に? 疲れが溜まっているせいか、小難しい事を言うヒーがうさん臭く感じる。本当はこんな事思っては駄目だけど。

「う~ん。何となくだけど、それは分かった。でも、今の状況を気にしなくて良いていうのは、良く分かんない」

 辞め時を知る方法は分かったが、今の状況をほって置いたら、いずれそうなる気がする。それに、俺にコップをやたら持たせたがるリリアは、一体何がしたいのだろう?

「そうでした。では、話を戻しましょう」

 それは助かる。ついでにリリアもなんとかしてくれれば、なお助かる。

「あぁ、頼む」

「はい。先ほども話しましたが、リーパーのグラフは数こそ少ないですが、一日通して、ほとんどの時間でアクセスがあります」

 確かに。朝の三時とかにもアクセスしてくれている人は、一体何の仕事をしているのだろう?

「投稿した時間以外でアクセスがあるという事は、その人物は、リーパーの作品を目的に検索したか、たまたま検索していた結果として読んだ事になります」

 あ! そういう事か。ヒーの言いたい事が何となく分かって来た。

「つまり、後者の方は色々な作品を読む、俗に言うヘビーユーザーです」 

 なるほど。ヘビーユーザーであれば、様々な作品を読み、厳しく評価して読むか読まないかを決める筈だ。

「そうか! つまりヒーが言いたいのは、そのヘビーユーザーを捕まえろって事か?」

「いえ、違います」

 あー違った! ……今日は疲れも溜まってるし、しょうがないよね。

「ヘビーユーザーを捕まえられるなら、誰も苦労はしませんよ。私が言いたいのは、ヘビーユーザーとは読みのプロだと言っているんです」

 確かにそうだ。ヘビーだよ。めちゃめちゃ読んでるよね。俺の指で新たな関節技を考えている、リリア並みにヤバイ連中だよね。

「なるほど……」

「そのプロが、リーパーの作品に興味を持つという事は、リーパーの作品は例えるなら、出荷前の製品のように篩いに掛けられている状態なんです」

 おぉ! つまり、それをクリアすれば、俺はプロレベルという事か!

「ですから、不純のアクセス数より、現在のように、一日中アクセスがある状況が続けば、いずれは飛躍的にアクセス数が伸びる可能性があります」

「マジでか! まさかこれもヒーの作戦の内か!?」

「いえ。これはチェインとは関係ありません。たまたま……」

「チェインですか! また一つチェインが増えたのですか!」

 リリアはどんだけ暗黒コンボを完成させたいのか? チェインに食いつき過ぎじゃね?

「いえ。残念ながらチェインは増えてはいません」

「‼ ……」

 そんなに? そんな顔になるほどショックなの? ビックリするわこの子。

「期待を裏切るような事を言って、すみません」

 え? 何この重々しい空気。そんなに重大な事が起こったの?

「……いえ。別にヒーが悪いわけではありませんよ。……気にしなくて結構です……」

 結局その後、ヒーは無理矢理新たなチェイン増加案を提案し、リリアの機嫌を直した。

 

 




  

  

  

 


 

 

 

 

 


 今回の話は、まさに作者の私とリリア達との主導権争いです。前半で私がペースを取りに行きましたが、リリア達が登場すると、徐々に主導権を奪われ始めました。さらに言えば、ヒーが言っている小難しい事が私自身完ぺきに理解出来なくなりました。ですので、ヒーの言っている事はどうなのか分かりません。あの子頭良すぎじゃね?

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