表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/24

自分で仕掛けた罠に、自分が掛かるっていう意味のことわざ、何?

 この物語はフィクションです。

 前回から暗い話が続くと思いましたが、今話はリリアとヒーが登場するため、暗くなりませんでした。ですので、いつものマイペースで進みます。

「あれ? リーパー? 今日は休みですか?」

 二回目のズル休みを使い、会社の人とは出会わない時間を見計らい、コンビニに来ていた俺に声を掛けたのはリリアだった。

「え? あぁ、リリアか。何でこんな時間にここにいるんだ?」

「今日は午前授業で終わりです。それより、リーパーは休みだったんですね?」

 午前授業? 高校生はいいな~。  

 学生服姿のままのリリアの後ろには、隠れる様にヒーもいた。

「え? あ、あぁ。最近やっと現場終わって、今まで連休とかなかったから、社長が気を使って休みにしてくれた」

 リリア達にはズル休みをした事は知られたくなくて、咄嗟に嘘を付いてしまった。

「そうなんですか? じゃあ、これからどっか連れてって下さいよ!」 

 面倒な相手に見つかってしまった。ただでさえズル休みをしているのに、リリア達と一緒に遊びに行っている事を知られれば、いくら温厚な社長でも怒るだろう。

「やだよ! これからまた、小説の続き書くんだよ!」

 それを聞いて、ヒーがリリアの陰からひょっこり顔を出した。

「リーパー。あれから何か問題でもありましたか?」

「え? いや、大丈夫……」

 今一番会いたくない相手、それはヒーだ。もしヒーに、俺がなろうで毎日投稿するため、今日はズル休みをしたという事を知られれば、ヒーは間違いなく怒るだろう。それに頭の良いヒーは、下手な事を言えばそれに気付く恐れがある。今は一刻も早く離れたい。

「そうですか。日曜日に会って、色々と聞きたい事があったのですが、今日は大丈夫ですか?」

 マズイ。これは非常にマズイ。今日だけは勘弁願いたい。

「い、いや。まだ明日の分も出来てないし。今日も書き溜めしとかないと、寝る時間無くなるから……」

「そうですか。それは残念です」

 ヒーは少し首を傾げたが、俺が言うと素直に諦めた。俺は今まで少しづつ積み重ねた信頼という貯金を、無駄に吐き出している。

「え~! 日曜日は来ないし、LINEもろくに返さないくせに、今日ぐらい良いじゃないですか!」

 リリアは余程遊びに連れて行ってもらいたいのか、ヒー以上に残念がる。

「い、いや。確かに最近忙しくてLINEとか返してないけど、そこは勘弁してくれよ? 俺が忙しいの知ってるだろ?」

 最近では、リリア達からのLINEどころか、今まで連続三百日を超えていた、ゲームアプリのログインすら途切れるほどなろうに熱中していた。

「それに。お前はただ遊びに連れてって欲しいだけだろ!」

「違いますよ。私達だって、あの小説の原作者の一人ですよ? アクセス数くらい見せてくれてもいいじゃないですか? それが嫌なら、いい加減パスワード教えて下さいよ?」

 リリアに俺のログインパスワードを教えれば、とんでもない事態に成りかねない。それだけは絶対に教えられない。

「わ、分かったよ。少しだけだからな」

 リリアは相当嬉しかったのか、肩を小さく上下させ満面の笑みを見せた。

「ではヒー。そういう事なので、リーパーの家で食べるお菓子を買いましょう! もちろんお金はリーパーが払います!」

 なんで俺が払わなければいかんのか? それでも、嬉しそうにするリリアを見て、良いぞと頷いた。

「分かりました。ではリーパー。少し時間を貰います」

 ヒーもリリアが喜ぶのを見て、嬉しそうにお菓子を選びに行った。

 結局二人合わせて三千円ほどの大量のお菓子を買わされた俺は、リリア達を車に乗せ自宅に戻った。 


「おぉ。まるで高レベルのステータスみたいですね?」

 PVアクセス六百以上。ユニークアクセス二百以上。過去一週間のアクセス平均五十のグラフを見て、リリアは歓喜の声を上げた。それでも、その比喩はどうなの?

「凄いだろ。このまま連載を続けて行けば、そのうち本当に企業からスカウト来るかもしんないぞ?」

「おぉ。もしそうなったら、私に掃除機と、オレンジジュースさえも透明にする浄水器を買って下さい!」

 掃除機とオレンジジュースさえ透明にする浄水器? っていうか、リリアそんなもの貰って、一体何をする気なのだろう?

「そんなのどうすんだよ?」

「決まっています! あの執拗なまでの吸引力を用いて、家中に潜む埃とダニに恐怖を与えるんですよ!」

 ダニだって一生懸命生きているのに、リリアは何て事する気だ! ダニにだって家族があり、幸せな生活があるのに!

「そして、オレンジジュースを透明にさえしてしまうろ過装置で、何処まで透明に出来るか戦いを挑むんですよ!」

 開発した人は、まさかそんな争に浄水器を使われるとは思ってもいないだろう。リリアにはシュレッダーが一番ヤバイと思っていたが、こいつには何を与えてもヤバイ気がする。

「そ、そうか……それは将来働き始めたら、自分で買った方がいいわ」

「そうですか? ……そうですね! やはり自分で望むものは、自力で手に入れた方がより楽しいですね!」

 怖いわこの子。今の話でも十分ネジがぶっ飛んでるのに、さらに楽しみを加えようとしてるわ~。

 そんな雑談をしていると、ヒーが口を開いた。

「リーパー。汝は我を何と呼ぶ? の方は、アクセス数に変化はありましたか?」

「え? あぁ……一時期はゼロだったけど、最近じゃ二人くらいはアクセスしてくれるよ」

 一時はゼロ更新が続き、完全に死に作となったと諦めていたが、連載の方で名前を出してから、徐々にではあるが読む人が出始めていた。

「そうですか。そろそろ効果が出始めましたね」

 効果が出始めた? ヒーは何か作戦があるようだ。

「そうなのか? それでもまだ一人二人だぞ?」

「いえ。もうです」

「もう?」

「はい。本来なら千人ほどのユニークアクセス数で効果が出始めると思っていたのですが、どうやらリーパーは、感の良い読者に恵まれているようです」

 感の良い読者? 勘の悪い俺は、ヒーの言っている事の意味が全く理解出来ない。

「ごめん。もっと分かり易く説明して?」

「はい。この連載は、現実とリンクさせているのを敢えてフィクションにしています。そのため、普通の読者はあくまで物語の中の話だと思い読み流してしまいます。ですが、もしかして? と気づいた読者は、こちら側の意図を読み取り、私達が堰を切る前に行動しています。これは製作者としてはとても喜ばしい事ですよ」

 え? 何が喜ばしい事なの? こちら側の意図って、俺こちら側なのに、全く意図を理解出来てないんだけど?

「どういう事ですか? ヒーは一体どんな罠を仕掛けたんですか?」

 罠!? 罠なの? っていうか、それを訊いてるリリアも、それが分からない俺も、ガッツリ罠に掛かってるよね?

「罠というほどのものではありませんよ。私はただ、物語を超え、読者を二次元だけでなく、現実という三次元の空間と、一次元の時間という世界に引き込めないかと考えていました」

 二次元? 空間? あ! リリアがヤバイ! 俺より先に異世界に行きそうだ!

「ちょっと待って! 分かり易く頼むよヒー」

「はい。つまり、ただの本ではなく、今現在いる世界と本を繋げ、読者に自分もこの本の中にいる登場人物だと思わせたかったんです」

 怖いわ~この子。凄いを通り越して、怖いわ~。

「なるほど。つまりリンクですね!」

「そうです! 正確には違うと思いますが、Twitterが現実であるように、フィクションの物語を現実に見せるための手法、とでも思って下さい!」

 リリアに自分の考えが伝わったのが嬉しかったようで、ヒーは今日一番の元気な声を上げた。

「おぉ、流石はヒー! 折角ですから、リンクなどではなく、もっとカッコいい呼び名にしましょう!」

 リリアもヒーの戦略に感銘を受けたのか、嬉しそうに言う。

「でもさ、どうやってこっちの話に引っ張るの?」

 ヒーの考えは伝わったが、ここからどうやって汝は我を何と呼ぶ? に読者を引っ張るのか、俺の頭では想像出来ない。

「それはですね。ここから……」

「チェーン! チェーンというのはどうですか?」

 ぶつぶつ一人で何かを考えていたリリアは、突然ヒーの言葉を遮り言った。

「チェーン? チェーンがどうした?」

「チェーンですよ。ヒーが考えたリンクを、チェーンと呼びましょう!」

 これからが重要な話だと思った矢先にこれだ。リリアは本当に自由人だ。

「それを言うならチェインだろ?」

「おぉ! それはカッコいい! やっぱりチェインにしましょう!」

 リリアはこういう響きのカッコいい言葉が好きだ。当然双子であるヒーも好きで、その響きに「おぉ」と小さく声を上げた。俺としてはどうでもいい話だ。

「それは良いですね。是非そう呼びましょう!」

 良く分からんが、ヒーは喜び是非とまで言い出した。まぁいいか。

「では決まりです! これからはこの作品のリンクを、チェインと呼びましょう!」

「はい!」

 俺には多数決に参加する権利も無いようだ。まぁいつもの事だ。

「それで、今現在何チェインしているんですか?」

 何チェイン? リリアはチェーンを繋げて何をしようとしているんだ?

「はい。現在は、小説家になろうの宣伝と、その中で作者として苦労する現実、リーパーの汝は我を何と呼ぶ? そして、この作品に関わる全ての読者の四チェインです!」

「おぉ! すでに四チェインですか! これだけチェインすれば、相当重厚な作品になっていますね!」

 いや、作品自体は全然ライトだと思う。それに、たった四つしか繋がっていないチェーンなど、輪っかにも出来ないだろう。

「そうですね。これからは勝手に増えると思うので、後は時間の問題です」

 え? 勝手に増えるの? それはヤバくない? 勝手に増えるのは良いけど、そのうちどこかで切れれば、全部繋がってるから大変な事になんない?

「おぉ! 今後の展開が楽しみですね!」

 世紀末にならなければいいが……

「それよりさ。さっきの話なんだけど……」

「リーパー! それよりとは何ですか! 四チェインですよ四チェイン! 七チェインまで行けば暗黒コンボが完成するんですよ!」

 暗黒コンボ!? これ以上こいつに付き合うのはマズイ! また要らぬ設定を増やされ、ロビンソンの事をツッコまれるのは面倒だ。

「分かってる、分かってるよ。だからこれから、それをどうやって増やすかヒーに聞くの」

「そうでしたか、それは失礼。私とした事が、たった四チェインで取り乱すとは……私もまだまだです」

 こいつには土場からチェーンでも持って来て、くれてやろう。

「それでさヒー、さっきの話なんだけど?」

「はい。説明します。実は他にも仕込みがあって……」

 ヒーの策略は偶発的に発生したものもあり、その説明に俺達は驚かされた。

 

   


  

    

  

 作品の主導権は完全に捕らえたと思ったのですが、リリア達相手ではそうは行きませんでした。一度転げ落ちると、何処まででも行ってしまう性格のリーパーを描写して、あと数話で完結を目指そうと考えていたのですが、そこはリリアが卸さなかったです。私のシナリオでは、コンビニで出会ったリリアとヒーは、ちょっとした疑惑を抱き帰る筈だったのですが、まさかの家に連れて行けが出て、それをまさかリーパーが承諾するとは思ってもいませんでした。ここからは、作者である私とリリア達との戦いでもあるので、想像以上に拗れそうです。私としては途中で投げ出したい作品ですが、それをするとリリア達が怒り、今後の作品には登場してくれなくなるので、これからも頑張って行きます。応援下さる読者様、お読み頂き誠にありがとうございます。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ