闇
今回はリーパーだけしか出てきません。ですので、リリアとヒーはお休みなのでご了承ください。
ここからは作者である私が話を組み立てて行きます。組み立てると言っても、リーパー達にちょっとした転機を与えるだけです。これにより話が拗れ始め、リーパー達がそれを解決させようとします。今まで散々好き放題されて来たので、少しお灸を据えた感じです。
リリアのお陰で、萎み掛けていた俺の気力は前以上に膨らみ、一日半分の書き溜めに成功した。しかしその書き溜めがあるという余裕が、二日目には仇となって現れ、結局三日目には寝る間を惜しむ事となり、仕事も始まっていない朝一から、早く帰りたいと思う始末になってしまった。
それでもなろうの方は順調で、ヒーの読み通り、日曜日には過去最高の八十一のPVアクセスを獲得し、月曜日には初のブックマーク登録者が現れた。
初めてのファン! 評価が二ポイント付いた! 俺の実力は通用する!
突然の追い風に俺は一気に舞い上がり、さらに寝る間を削って、少しでも多くの文章を書くようになっていき、次第に仕事よりなろうを優先させようと考える様になっていった。
「最近の優君はとくに頑張ってくれるから、ジュース一杯飲んで良いよ」
少しでも早く帰宅して、出来るだけ多く小説を書く時間を確保したい俺は、ただ早く今日の仕事を終わらせたいだけなのに、一服の時間にジュースを持って様子を見に来た社長は、褒める様にみんなの前で言った。
「ありがとうございます」
本来なら嬉しい言葉だが、本心を知らない社長には、そう返す以外の言葉が見つからなかった。
このままではいけない。自分の中では分かっているのだが、僅かでも思考を巡らせる時間があれば、小説の続きを考えてしまう。俺の中では、これではただ一日現場にいて金を貰っているだけだと分かっていた。
そんな葛藤を抱えながら仕事となろうを両立させる日々は、それほど長くは続かなかった。
「すみません。風を引いたみたいなんで、今日は休ませてもらっていいですか?」
前日、小説の続きを一時過ぎまで書いていた俺は、とうとう眠気に負け、仕事をズル休みする事を選んでしまった。
「うん、分かった。今日はゆっくり休んで、明日からまた元気に頑張ってね」
俺の勤める会社は、作業員六名ほどの田舎の小さな土木会社だ。社長も作業員想いの優しい性格をしており、今まで一回もズル休みをした事がない俺の嘘に、社長は快く承諾してくれた。
「すみません。明日は必ず出るんで、今日は休ませてもらいます」
「そうだね。うん、分かった。じゃあ、ゆっくり休むんだよ」
「はい」
今まで積み重ねた徳とでもいうのか、社長は全く疑う様子も無く、電話を切った。
やった! これで明日の分も一気に書ける!
俺を信用し、気遣うように言葉を残した社長に対し、罪悪感を感じていたが、それを遥かに上回る喜びの気持ちが俺に笑みを零させた。
これで一安心。もう少し寝て、ゆっくりしたら続きを書こう。
すでに自身の行動が常軌を逸脱し始めている事にさえ気づかず、最大の難関である仕事を克服した安堵感が、俺を二度寝させた。しかし、九時過ぎに目を覚まし、しばらくぼーっとした後小説を書き始めると、全く手が進まない。
赤や黄色に色づき始めた山に、寒そうな秋の空。遠くからは町道を走る車の音が寂しさを呼び、時折聞こえる雀の鳴き声が、俺に罪の意識を自覚させていた。
会社の仲間たちは、俺がこうして暖かい部屋でのんびりパソコンに向かって寛いでいるのに、外で汚れながら仕事をしている。
すでに俺の作品を楽しみにしているファンの為ではなく、自分の為だけに小説を書いている。
その思いが、俺の集中力を削いでいた。
ヒーは、この作品で見返りを求めてはいけない! と俺に釘を刺していた。しかし今現在、俺はその約束を破り、何かを求めている。俺は小説家には向いていない。
結局その日は、ほとんど話を作ることが出来ず、何とか今日の分だけは投稿し、無駄な休日を過ごした。
俺がズル休みをして投稿した翌日、何食わぬ顔で出勤すると、社長は「大丈夫なの?」と未だに俺の嘘を信じ心配してくれた。
もうズル休みはしない! そう心を入れ替え仕事に専念すると誓っていた。だが、その誓いもあっという間に破られ、今日の作業内容を教えられるまでの僅かな時間でも、小説の事を考えていた。
そんな俺の心とは裏腹に、連載を重ねる度にアクセス数は伸び続け、PVアクセスは五百を超えていた。そして、週別ユニークアクセスは百四十以上を示し、他者の作品と比べ、自分の作品と優劣を勝手に付け始めていた。
しかしまだそれは自分で自覚している。気を付けて行けば大丈夫。
狂いだした歯車は些細なもので、いくらでも修正が効くと楽観していたが、その狂いは徐々に大きくなり始め、日曜日にはリリア達との打ち合わせの約束も、「今日は小説を書くのに専念したいから、来週にしようぜ?」と言い一方的に破棄し、増え続けるアクセス数に、なろうにのめり込んでいった。そして俺は、二週連続でズル休みを使ってしまう。
今までリリア達を怒らせた事は無いので、これから私の考えるシナリオに、リリア達の反感を買わないか心配です。とくにヒーは怒らせると怖いので、この先どうなるか心配です。この物語のせいで三人が仲違いしないと信じ続けていくつもりです。そして、出来るだけなろうで私が学んだ事、疑問に思う事を取り上げていくつもりなので、ただの小説にならないよう気を付けます。今回は暗い話ですが、基本は明るい三人なので、この先少し暗い話が続きますが、最後は笑って終われると思います。




