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ヘブン-Heaven  作者: 中野八郎
ルミナスヘブン
3/12

参 契約結成

 精衛は部屋の床の真ん中に何かを描いている。

「精衛さん、これは?」

 祈は目の前に水性ペンで書かれた魔法陣模様の図様を見ながら、精衛に聞いた。

「これは術陣、神通力を集中とか使い方とかを決める補助するものだ。術陣があれば、術が確実に成功にできるということなのだ。」

 精衛は祈に詳しく説明する、

「契約できれば、お互い助けることができる。まあ、少なくとも私が祈を救うつもりだけどね。」

「精衛さんが天界の人間だと言っても女の子だし、しかも怪我してるんだから、守られることにいられない。この契約でお互い助けることができるならば、僕が何言っても、精衛さんを守るんだ。」

 祈は改めて自分の決意を確認した。

「ありがとう。やっぱり祈さんといると心強くなった。」


「よし、これで完成。」

 精衛は術陣を描き終わって、中に入り、祈を誘う、

「祈さんも中に入って。」

 祈は術陣に入ってから精衛は呪文を唱え始めた。

「天火懲霸、万悪尽燃、炎帝の娘の名を持って、妾が今、封印解除、真の力を呼び覚ます。(なんじ)、名を乗れ!」

となると、床に書かれた術陣が光り始めた。

「あっ、林祈です!」

 祈は慌てて自分の名を乗り上げた。

「妾精衛、今爾林祈と、契約の成立を誓い合う!」

 精衛は右手を上げ、祈は示した意思を得て、左手を上げて、2人の手を合わせた。祈は左手の中指が熱くなり、光っている指輪がだんだん現れているのを見た。向こうの精衛も、右手の中指には同じく指輪が現れている。

「之を持って懲悪揚善、悪と闇に天罰を下す!妾は林祈と誓う。」

 精衛は続けて呪文を唱えた。

 光が一層輝くなり、目が開けないほど強く。次の瞬間、術陣や光など一瞬で消え、二人の指輪だけが残っている。指輪も光がだんだん消えていく。


「これで契約が完了。もし危険に晒されたら、私の名前を唱えたら、すぐ祈さんの側に転移できるのよ。」

 精衛は説明する。

「逆に精衛さんも僕を呼べるよな。」

 お互いに助けることができると言ったから、逆にもできると祈は思う。

「うん、ありがとう。」

 精衛も祈の好意を受け止めた。



「ところで、服はどうするの?」

 まだ自分の服を着ている精衛を見て、祈は聞いた。

「ごめんね。そうよね、一応あるけど、祈さんがいるから、着替えができなかった。」

 精衛は頬を染めながら言い出した。

「あっ、ごめん、一旦出るから。着替えたら言ってくれて。」

 こう言いながら、祈は部屋から出た。


「もういいよ。」

 数分後、精衛はドアを開け、祈に着替えが終わったことを伝えた。

 精衛の服は古風で洗練されている。赤色がメインイメージで、裾が動きやすくなるために短いのが捉えられる。

 目の前の華やかな服を着る美少女を見て、祈は見惚れた。

「綺麗な服だな。」

 祈は思わず褒めた。

「あ、ありがとう。」

 褒められた精衛はまた照れてしまった。

「でも、精衛さんはどこからこの服を?精衛さんの荷物とか全然見てない。」

「ああ、それはね、術で変わったの。召喚みたいな感じ。」

「便利だな…。」

 祈は感心した、

「いやしかし、この服で外に出られないよ。目立てだし、冬で寒いだし。」

 祈は肝心なことに気づいた。

「そうかも。でも、私元々不本意でここに来たから、何も用意しなかった。」

 精衛も気づいた。

「じゃあ、明日の放課後、服買いに行こう。」

「いいの?」

「いいよ。気にしなくていい。」



 翌朝、祈はいつも通りの時間に起きた。

 ベッドで寝ている精衛の安らかな寝顔を見て、まだ現実を感じられない。こんな美少女が部屋にいるなんて、夢にも思わなかった。

 祈は地面に敷いた布団を巻いて、押し入れに戻して、部屋の鍵もかかった。もし姉の願に見られたら、どんな大騒ぎをするのか、想像するだけでも怖くなった。


 1階に降りると、願はいつものように朝ニュースを見ている。

「おはよう、姉」

 祈は先に挨拶をした。

「おお、朝ご飯は電子レンジで温めたらいいよ。」

 願は開放式台所を指しながら言う。

 祈は言われた通り朝ご飯を温める。

「参ったな、先日買った株がなかなか伸びないな。一応売ろうかな。」

 願は22歳で若いながら、既に富裕階級になるほど有能だ。かつてマスコミは彼女のこと『ビジネスの天才美少女』と呼んだこともあり、2年前この別荘敷地を買って、祈と2人で住み込んだ。彼女は敏感な商人直感でいつも株で資産をどんどん増やせて、会社でもいつも建設的なアドバイスを提出して、売り上げを高く得ることができた。

「いいえ、もしかしたら、これから増えるかもよ。」

 祈はビジネスの才能はないが、意外と直感が強い。願はそれをふざけと思わず、いつも真に受けるのだ。

「祈はそう言うなら、一旦持っておこう。」


 食卓で、願は祈の顔を見ている。

「ねぇ、祈。」

 願は急に祈に声をかけた。

「えっ、な、何?」

「いっそう、姉ちゃんと一緒に商売をやろう?」

「けほけほ、何言ってんの?僕はビジネスとか全然理解できないって言ったのに。」

 祈は突然の提案にびっくりさせられた。

「平気平気、姉ちゃんはやさしく教えてあげるから。」

「いいのよ。いずれ姉が結婚したら、僕は邪魔だから、その提案は将来の旦那さんと話しよう。」

 祈は早く願と離れて、いずれ来るかもしれない災厄に願を巻き込みたくないのだ。

「へえ、しょんぼり。」

願はしょんぼりだった。

「まあ、僕のことはいい、姉は幸せになればいいよ。」

 食事が終わって、祈は迎えに来る薫と行ってしまった。



 放課後、祈は薫を誘い出す。

「ちょっと百貨に付き合ってもらえるか?」

「いいですけど、急にどうしたんですか?」

 祈は百貨に行く感じがない人なので、薫はこの誘いをちょっと不思議に思った。

「まあ、なんとなく。早速行こう。」


「で、祈くんはどこに行きますか?」

 2人が百貨に着いた後、薫は祈の考え事全く掴めない。

「服の売り場。」

「服…ですか?」

 薫はもっと困惑してきた。

「ええと、何と言えばいいか…。その女性の服を選んでほしい。」

 祈はもじもじしながら言う。

「あっ、もしかして…祈くんはいつこういう趣味を生み出しましたの?」

薫は悲しそうに口を塞ぎながら言う。

「は?」

祈は勘違いされたことに気づいて、

「違ぇよ!僕が着るんじゃなくて、女の子だよ!女の子よ!」

「女の子?やっぱり私が年増えたから、若い子に惚れたね。」

 薫は熟年夫婦が浮気疑惑のように芝居をし始めた。

「何でそんなことに?」

 祈はツッコんだ。

「ふふっ、冗談ですよ。」

 薫はドヤとした顔。

「もう、勘弁してよ。僕は本気で悩んでるよ。」

 薫は大人しい子だが、たまにこのような小悪魔のからかいをするのだ。祈がなされたままだった。

「ごめんなさい。祈くんの顔が浮かんでないですから、笑わせたいだけです。」

 薫はずっと祈の心を癒やしてあげたいと思っている。

「ありがとう。でも、本当に真剣な話だから、お願い、教えて、どんな服がいい?下着までお願いします。」

「下着まで?祈くん、さすがに私でもドン引きですよ。他の人だったら、変質者に扱われますよ?」

 薫はやはり祈のことを理解できない。

「詳しいことは後で説明するから、とりあえず今普通の女子高生が普段着ている服を選んでほしい。」

 祈は手を合わせて、薫にお願いをした。

「分かりました。こっちに来てください。」

 薫は仕方なく、祈を連れて服を選びに行った。



「ただいま。」

「お邪魔します。」

 薫は祈と一緒に家に戻った。

「あら、薫ちゃんも来たのか。上がって上がって。」

 願は親切に薫を居間に誘った、

「いつもごめんね、うちの祈はぼっちだから、いて世話してくれてありがとうね。」

「いいえ、私こそ祈くんに世話されていますから。それに祈くんは確か他の人とあんまり話をしないですが、ぼっちと言ったら可哀想と思いますよ。」

 薫は祈のことを庇って言った。

「そうよ!ぼっちってどういう意味だよ。僕は別に他の人と関わりたくないだけだよ。」

 祈も不満に反論した。

「はいはい、分かった分かった。」

 願は祈の抗議を聞き流し、

「姉ちゃんは晩ご飯を作るから、薫は好きにしていいよ。」

 と台所に行った。

「じゃあ、僕たちは部屋に上がろう。」

 祈は服が入っている紙袋を薫に示して、階段を上がり始めた。

「うん。」

 薫もついて上がった。



「入るよ。」

 祈はまずいタイミングを避けるため、ドアを開ける前に声をあげた。

「あっ、お帰り。」

 精衛はベッドの上で座禅していたようだ。

「座禅しているの?」

「心の修行も大事なことだから、一応、ね。」

「でも怪我してるのが大丈夫なのか?」

 祈は精衛の怪我を心配している。

「ちゃんと祈くん言った通り薬を交換したから。怪我を理由にして、修行を怠けるのができない。」

 精衛は自分が元気だということを祈にアピールして、心配させたくない思惑が原因である。

「そうなのか。無理にしないで。」

 そう言っても、祈はやはり心配だ。

「はい、ありがとう。そういえば、こちらは?」

 精衛は薫のこともさっきから気づいたのだ。

「ああ、姜衛薫というの。僕の幼馴染だ。」

「姜衛薫と言います。よろしくお願いします。」

「精衛です。しばらく林祈さんにお世話になるのですので、よろしくお願いします。」

 そこで、薫は祈と精衛から事情を聞かされた。


「そうですか。大変ですね。ではこれからも祈くんの家に住むのですか?」

 薫はちょっと不安になった。言うまでもなく、祈は薫のことをただの幼馴染だと思っているが、薫はこれ以上の気持ちを抱いているのだから。

「そうですけど、ずっとここにいるとやっぱり祈さんにも想像つかない迷惑を書けるかもしれないから、できれば早く解決したいと思っています。」

 精衛もなんとなく薫の女心に気づいて、こう言った。正直、彼女もいつ帰れるかは分からない。

「まあ、迷惑かけるなんて考えなくていい、まずは怪我を治すこと。あっ、その前に…。」

 祈は紙袋から服を取り出した、

「これを着替えてみて。」

「これは私のために?」

 服を受け取った精衛は。

「そうよ。やっぱりちゃんと服を何着か持って行った方がいいと思うから。ずっと部屋に取り込められてつまらないだろう?」

 祈は爽やかな笑顔で言う。

 隣で見た薫は更に不安になった。


 精衛は服を着た。ピンク色の長いコートに白いマフラー、黒いタイツに褐色の長靴。長いサラサラな黒髪もサイドポニーテールに束ねた。

 馬子にも衣装。こんな美少女が洒落た服を着ると、一層愛しくなっている。自分が比べられないと思って、薫の顔が益々暗くなった。

「この服がかわいい!林祈が選んでくれたの?」

 精衛はこの服をとても気に入ったようだ。

「違うよ。薫に選んでくれたから。」

 祈は薫の肩を叩きながら、精衛に解明すると。

「ありがとうございます!薫ちゃん!」

 精衛は薫にお礼を言うと、やっぱりこの娘は良い子だと思って、さっき自分は何故勝手に自分の中でヤキモチを焼いたのかのをバカに見えた、

「いいえ、とんでもないことです。気に入ってくれて何よりです。」


 この時、ドアが開けられた。

「ご飯ができたのよ、早く…。」

 願が入ってきた。

「あっ…。」

「あっ…。」

「あっ…。」

「あっ…。」

 4人が同時に声を出した。

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