第七章-悲しみの果てに
前書き異世界トーク
獣人の少女「大変な事になったずら…これからおら達はどうしたらいいずら…」
白髪の少女「気を強く持つのですよ~きっとなんとかなるのです」
獣人の少女「だっ誰ずらっ!?」
白髪の少女「シナノはシナノですよー獣人の少女モケミさん」
モケミ「シナノちゃん?…!?何でおらの名前を知ってるずら!!?」
シナノ「シナノだからですよー、ほらほらそろそろ始まるのです」
モケミ「納得いかないずら!説明するずらっ!!」
シナノ「第七章~悲しみの果てに」
モケミ「全部言われたずら…」
何とか反乱軍を退けたタナオウ達と親衛隊、しかし一人の少年が犠牲になってしまった…ウェノンの弟分のリゼルである、リゼルを失ったウェノンは怒り狂い、撤退した反乱軍を殲滅するべく後を追った
「俺様達も追おうぜ」
タナオウの様子がいつもと違う流石に事の深刻さに気付いたらしい、そこに一人の女性が近づいて来た
「…リゼル…何で…こんな事に………」
リゼルの姉であるロゼット・アルフィンである、彼女はリゼルがとてもウェノンを信頼し尊敬していた事を教えてくれた
「あの子は、ウェノン君のように強くなりたいと…よく言っていました」
お姉ちゃんを守る騎士になる…ウェノンからも同じような事を聞いた
「そういえばあの子、剣に何か彫っていたような気がします、ちょっとよろしいですか?」
そう言うと折れた木の剣を手に取る
「…やっぱり、何か字を彫っていますね」
木の剣には【目指せ強くて優しい騎士】と彫ってあった
「…これ持って行ってウェノンに見せないとな、弟さんの形見少しの間お借りします」
ヒカルは折れた木の剣を預かった
「木の剣は俺様が…」
「お前は前衛だろう、私が持っておくのが一番安全だ」
三人でウェノンの後を追おうとするが肝心の道が分からない、どうするか悩んでいると親衛隊長が獣人の少女を連れて来た
「道が分からず困っているようだな、こいつを連れて行くといい」
すると獣人の少女が前に出てきた
「おらは隊長の娘のモケミずら、おらは鼻がいいからイパラカディゾイ様の匂いを追って行けるずら!」
頼もしい助っ人のモケミが仲間に加わった!
「戦闘は俺様達に任せて後ろにいていいぜ!」
タナオウがかっこつけるがモケミはムッと頬を膨らませて
「おらをバカにするでねぇ!おらは自分の倍以上でっけぇ戦斧使って戦って来たずら!」
モケミはそう言うと少し離れたテントから三メートルはあるであろう巨大な戦斧を担いで来た
「うぉー!スゲー!マジやばくね!?」
「…あの小さな体の何処からあんな力が出てくるんだ?」
「ワイも元の体やったら…」
どうやら今の所一番強いのはモケミであろう、あの時戦った親衛隊にモケミがいなくてよかったと心底思うタナオウ達〔ヒカル〕であった
「くんくん…こっちずら!」
そう言うとモケミは北西の山の方を指さした
「急ごう、ウェノン一人だと心配だ!」
「せやな、一秒でも早くいくで!」
「全速前進だ!!!…の前に俺様トイレ行ってくる」
「心配なのです…どちらがとは言いませんが」
モケミを入れた四人で北西の山に向かう
「うっ…これは………」
所々に反乱兵と思わしき死体が散乱している…
「イパラカディゾイ様は…こんな事する方じゃないずら…何かの…間違いずら…」
「ふふふっ…そうだといいですねー」
「…っ!?」
モケミはすぐさま後ろを向くが…誰も居ない
「どしたんモケたん俺たんに恋したん?」
激しく気持ち悪い…ただでさえ死臭で具合が悪いのに、いつの間にか元の空気の読めないやつに戻っている
「おいタナオウ!ええ加減にせんとワイが後ろから風穴空けんで!」
リアンもいつも以上にピリピリしている…
「リアン激コワス俺様チビりそう」
「タナオウ!察しろ今はバカやってる場合じゃないだろ」
タナオウがこれ以上変な事を言わないようにヒカルが釘を刺す
「くんくん…この辺りずら」
どうやら反乱軍の拠点近くまで来たようだ、しかし…
「グルルルル…」
獣の鳴き声が聞こえる、それも複数全方向から…囲まれてしまっている
「マズイずら…魔物ずらー…」
暴走するウェノンを止めるため北西の山にあるであろう反乱軍の拠点へ向かうタナオウ達、拠点近くまで来た所で周囲から魔物の声が…
果たしてたった四人で魔物の群を倒しきれるのか?
第八章-者失う者と者失い得る者