表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出会いは殺されかけました  作者: unknown
第1章
9/17

ご飯はおにぎり


家のドアを開け、リビングに行くとソファーでカズキが転がっていた。

横から顔をのぞき込むとすやすやと気持ちよさそうに寝ていた。


やっぱり子供なんだなぁ...


顔が隠れる長い髪から少し顔が見えた。あどけない、子どもの顔だ。


そっと前髪を横にずらすように頭を撫でると、手に擦り寄ってきた。


なんだか、野良猫が懐いてくるみたいだな


微笑みながらゆっくり優しく、起こさないように頭を撫で、シーツを被せる。

本をとり、向かいのソファーへ座る。



暫らくすると「んんっ...」と向かい側から聞こえた。

目が覚めたのだろう。体を起こし、目を擦っている。


「....」


「おはよう」


少し微笑んで言った。


「...おはよう」


少し寝ぼけながら返事を返してくれた。


「ご飯を買ってきたから食べようか。お腹減ってるだろう?」


そう言うとカズキはこくんと目を擦りながらソファーに座りなおす。


「アレルギーはある?」


「あれるぎー?」とカズキは首を傾げた。


あれっなんだろ、すごいデジャヴ感...


「ご飯を食べた時に、体に何か反応が出るものとか…あ、あと嫌いなものとかは?」


「...今までいろんなもの、食べたけど何にもなかった。嫌いなものもない。」


少し安心した。


それならもっと美味しそうなのを買ってくれば良かったかな


次からは、いろいろ買ってあげよう。


コンビニの袋から梅のおにぎりと昆布のおにぎり、サラダ2つに烏龍茶2本、そして最後に残ったプリンは冷蔵庫に入れる。


「どれでも好きなのを取っていいよ」


そう言うとカズキは昆布のおにぎりと烏龍茶をとった。


「サラダはあまり好きじゃない?」


「...そういうわけじゃない、今は要らないだけ。」


そう言っておにぎりを手に取り、開けようとする...が、



「...?」


どうやら開け方がわからないらしい。

両手でおにぎりを持って、くるくると動かしているいる。


「これはまずここを剥がして、それから両側を引っ張るんだ。」


そう自分のおにぎりで開け方を教える。


僕がやったんじゃ、身につかないしね


やり方を見て、カズキは器用に外袋を開けていく。


そして味見をするように、控えめに1口噛じった。

昆布のおにぎりは口にあったらしく、2口目は大きく口を開けておにぎりを噛じった。

それはもうガブリと。


口いっぱいにおにぎりを詰め込み、烏龍茶で流すように飲み込んだ。


ものの数分でおにぎりはなくなり、カズキは満足そうな顔をした。


「...これも食べる?」


カズキの食べっぷりに呆気にとられて、まだ1口も食べてないおにぎりを差し出す。


カズキは首を縦に大きく振った。


おにぎりを手渡すとまた大きく口を開けて食べようとした。


「あっ...それ梅だからすっぱい...」


手遅れだったようだ。


カズキは目をつむり、口をむすぶ。


烏龍茶を手渡すと勢いよく飲んだ。

少し涙目になっている。


そんなカズキを微笑ましく感じた瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ