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出会いは殺されかけました  作者: unknown
第1章
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悪夢物語ー2ー

目を覚ますと家の天井、父と母の心配そうな顔が見えた。


「っ!」


母が僕の名前を呼びながら抱きついてきた。


「ちゃんと...見ていてあげられなくてごめんなさい...もう大丈夫だから」


嗚咽混じりに聞こえる謝罪の言葉。


違う...僕が勝手に公園を出た事が悪いんだよ。お母さんは謝らないで。


そんな気持ちを込めながら、僕は泣きながら父と母を抱きしめ返した。


少しの間抱きしめあった後に聞いた話は耳を疑うものだった。



僕はあの男の人に売られかけたらしい。


僕を攫った男の人は莫大な借金を抱え込んでいて、その借金を返すためにアルビノである僕を闇市に売り渡したらしい。


アルビノは希少種であり、臓器だけでも高く売れる。見世物でも売れるという。


僕を売った男は、僕を買う予定だった女と警察に捕まったらしい。父と母が警察に捜索願いを届け、僕はその3日後に見つけられた。

闇市で僕は売られ、それから1度目玉商品として出され、女の元へ行く予定だったそうだ。

もし数日でも遅かったら手遅れだった。


最初はそんな話信じられるわけがなかった、だが腰あたりに焼きつけられたバーコードと数字が事を語っていた。


僕はその話を聞き、外に出れるようになるまで5年は掛かった。


記憶がないほうが早く立ちなおれると思ったが、自分の記憶のないところで何が行われた分からない事は何よりも恐ろしいことだった。


ーーーーー


「今まで家でお休みしていた雪月くんです。みんな、仲良くしてあげてね!」


教師になったら1度は使ったことがあるだろうセリフが紡がれる。


そんなこと本気で思ってもないんだろうな。


「はーい!」


クラスにいる自分と同い年くらいの男女が口を揃えてこれまた適当な言葉をだす。


「よろしくお願いします」

人間、第一印象で下に見られるか上に見られるかが決まる。

決して暗いイメージを出さず、かと言って派手過ぎないように笑顔で挨拶をする。


当たり障りのない、普通でなく、平均を演じるのだ。


攫われてから月日は流れ5年後、僕は8歳になり、小学2年になった。

数日後に控えていた幼稚園は1回も行く事はなく、小学校は入学届だけ提出した形になった。


「えーっと...雪月くんの席は...九条さんの隣ね!九条さん、手挙げてー」


「はーい!」


そう言って髪の長い女の子が手を挙げた。

僕はその子の隣の席に座り「よろしく」と声をかけた。


僕は、平均を完璧に演じられていたようで、特に何もなく月日が流れた。


だが、ある時担任の先生に「放課後、少し時間いいかしら?」と告げられた。


特に悪いことなどをした記憶はなかったので、少し不思議に思いながらも「はい」と答えた。


放課後になり職員室に行くと先生に連れられ用具室へ連れてこられた。もしかしたらティーチャーズルームだったのかもしれない。


「何のようですか?」


そう笑顔で問いかけると返ってきたのは想像もできない言葉だった。


「ねえ...私のこと覚えてない?」


「...え?」


「無理もないわよね。貴方とっても小さかったもの」


「...どう言うことですか。」


何?小さい頃に僕とあった?父は家に人をあげたことはないし、母もせいぜい近所の方と玄関ではなすくらい。もちろん先生は学校に行くまで見たことがない。


「...相変わらず綺麗な髪と目、あともう少しで私のモノだったのに...」


先生は憂いを帯びた顔に、目はトロンとさせて言った。


耳を疑った。


『私のモノ...?』


最初は何を言っているのか分からなかったが、徐々に血の気が引いていくのがわかった。


「知ってる?人身売買はね、永くて7年もあれば解放してもらえるの。さあ...こっちにおいで?5年も待ったのよ。あなたのために整形して戸籍も変えたのよ?」



不気味な笑みを浮かべながらこちらに近づいてくる。


こいつが、僕を買った人...


逃げだそうとドアにいくとドアには鍵がかかっていた。


ここは用具室なので内側からではなく外側から鍵を閉めるようになっている、そして放課後になると先生が鍵を閉めに来る。



完全に閉じ込められた。


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