お出かけ-1-
昨日と同じようにご飯を食べた後は二人とも自由に過ごした。
僕は昨日読んでいた本の続きを読み、カズキはテレビのニュースを見ていた。
いつものようにどこかで事故があった、誰かが捕まった、今の経済はといったように特に珍しいものもなかった。
あたりまえなんて思って見てるけど、ほぼ毎日のように人が死んだりしてるんだな...
改めて思うと少し悲しい気持ちになった。まあ、こんな気持ちになったところで何が変わるということもないのだが。
時間が流れ、今は12時である。
ご飯を食べる時間だが、ついさっき食べたばかりだからか、お腹はすいてない。
...そういえば、カズキの日用品、買わなきゃ
この家に僕以外の人が住む予定などなかったわけだから、当然自分のものしかない。
歯ブラシなどはストックなどがあるからいいとして、問題は服だ。
カズキはだいたい10~12歳くらいだろう。
そして僕は21だ。
これだけ歳が開いてると貸せる服もない。僕の小さい時のものは実家にあるかもしれないが、遠い。
数少ない知り合いに頼むという手もあったが、さすがに迷惑はかけられない。とゆうか絶対面倒なことになるだろう。
よし
「カズキ」
声をかければすぐこちらを向く。
無表情ではあるがきっと「なんだ」といった顔だ。
「今から君の服を買いにいこう」
そう言い終わるか否かというとこで言葉をさえぎるように首を横に振る。
「でも、今日買いに行かないと君の服とかがないよ」
「いらない、これがある」
といい、今着ているだぼだぼの服を引っ張る。
確かに昨日あげたもので、新品でもあるがそれをずっと着るにはいささか問題はあるだろう。
どうしたものか
きっとカズキは何を言ってもついてきてはくれないだろう。
だが、本人がいないと服が買えない。それと靴も。
「...どうしてついてきてくれないんだ?」
きっとちゃんとした理由があるのだろうと聞いてみる。
「...が...わ...」
ぼそぼそと小さい声で話した。
「もう一回行って?」
すると今度はこっちを向いてはっきりとこう言った。
「人が信じられない、怖い」
と。
カズキと初めてあったとき殺されかけたことについて少し納得がいった。
この子は、初めて出会うものが怖いのだろう。
人に限らず、食べ物などについても。
人一倍警戒心が強いものだから、僕たちより、他の子たちよりもいろいろなことに敏感なんだろう。
でも、ここで人が怖いからという理由で甘やかしていくのはだめだ。
そう思いカズキに近づく。
カズキの目の前へ行き、目線を合わせるようにしゃがむ。
カズキは逃げなかった。
「僕も一緒だから、大丈夫。怖くない」
まっすぐカズキのきれいな目を見て言う。
カズキは少しうつむいて「わかった」といってくれた。
そうと決まれば、出かける準備をしよう。
「カズキはそこで待っていて」
そう言って自分の部屋へ戻る。
着替えをして、財布やらなんやらをバックへ詰める。もちろんサングラスも入っている。
バックを持って降り、カズキの手を取り洗面所へ向かう。
今度は「なんだ1」と驚いた顔で僕に問いかける。
洗面所につき、僕は顔を洗い、髪を梳かす。寝癖のつきずらい髪だから、梳かすだけで十分。
そして今度はカズキに向き合う。
「顔洗って」
カズキは僕がさっきやったように顔を洗おうとしたが、洗面台が高いのか少し洗いずらそうだ。
台も買っておかなとな。
カズキが顔を洗い終わると僕はカズキの髪に手を伸ばした。
髪が長いので、手ぐしで髪を軽く梳かしていると、カズキは気持ちよさそうに目を細めている。
あらかた梳かし終わると櫛で梳き、髪を上にあげ、ポニーテールにする。
頭の上のほうで小さい馬のしっぽが揺れている。
「こうした法が涼しいでしょ?」
カズキの準備も終わったところで、僕は日焼け止めを塗って、二人で玄関へ向かう。
カズキが裸足のままで外に出ようとしたので、仕方ないから背負う。カズキはあーだーこーだいってじたばたしているが無視。そしたら疲れたのか大人しくなった。
「じゃあ行こうか」
少し跳んでカズキの体制を整えてから家のドアを開ける。
眩しい日差しが差し込んでいる。