羨ましい
ご飯を食べ終わると、することがなくなり、僕は本を読みカズキはそれを眺める。
見られるのはあまり好きじゃないんだけどなぁ...
少し目線を下にして、前髪で顔を隠すようにする。
視界の端に白と黒がちらつく。
「なあ...
なんでお前の髪は真っ白なんだ」
その言葉に少し体を震わせる。
顔を上げるとカズキがこちらを見ている。
こちらからはカズキの顔は見えないが、きっと僕の目をまっすぐ見ながらいっている。
「なんで?」
笑顔で誤魔化しながら、目を泳がせる。
目を逸らしたい。でも、今ここで目を逸らしちゃダメだ。
少し深呼吸をして、真っ直ぐカズキを見つめ、少し微笑みながら
「それは僕がアルビノだからだよ...」
と答えた。
「あるびの?」
眉間にシワをよせ、首を少し傾げながら聞いてくる。
「アルビノっていうのは、色素の関係で髪とかが白だったり、目が赤色みたいな色の人のことだよ。
本当はこんなに目は真っ赤になるはずはないんだけどね...」
「ふーん...
なんか...」
気持ち悪い。
そんな言葉が聞こえた気がした。
もちろんカズキが言った訳では無い。ただの幻聴だろう。それでも...
「...気持ち悪いよな。ごめん。」
カズキの言葉を遮って答える。
「そんなことない。羨ましいくらいだ」
その声が聞こえ、「え?」といった声を漏らす。
「俺の毛は、お前みたいに光を通さない。真っ黒だ。だからお前みたいな色が羨ましい...」
カズキは真っ直ぐ僕を見て言った。
生まれて初めて...羨ましいって言われた...
喜びの感情とともに涙が出てきて
「ありがとう...」
といった。
その時の僕の顔と言ったら涙や鼻水で酷いものだっただろう。