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灰色の
「―――――山を抜けるよ」
あの男の声で現実に戻された。
私は窓の外を見る。
緑一面の世界が一転した。
「人が・・・・・・」
今、私の目に映っているものは、家、だ。
住宅地。
山の上から見ると、家が群れを成して、あった。みんな、ここに住んでいるのだ。
「人口3万人って・・・」
私の口は勝手に喋りだしていた。
「ん?」
「人口3万人って、多いと思いますか?」
男はハハハと豪快に笑った。
「少ないでしょ、そんなの。これから住む場所は、71万人いるんだから」
71万人。そこで人々はどう暮らしているのだろうか。
でも、確かにここに人はいる。
少なくても、人がいる。
あの日の雪を、私は今でもはっきりと覚えている。
雪を冷たいと感じたあの日、私は思った。
「生きてる」
雪も、木も、土も、花も、虫も生きていた。
私は生き物に囲まれていた。
私はそのときと同じ感覚に今、包まれていた。




