魔姫への謁見
-- 部屋から出て歩いている途中、窓の外を蝙蝠の翼を持つ蜥蜴が飛んで行くのを見て、ここが元いた世界と全く違うことを改めて突きつけられた。
魔王は一つの扉の前で足を止めノックをした。
「エレナ、入るぞ」
中からの返事を待たず勢いよく扉を開け、中へ入って行った魔王だが、アイゼンは躊躇し空いた扉の前に立ち止まった。
「入ってきて構いませんよ」
綺麗な微笑みを浮かべて中へ通してくれたのは魔王やアイゼンと同じ銀の髪、肩より少し長いストレートヘアーの少女であった。年齢の割に気品にみちているが、やはりどこかあどけなく見る。「どうだ、ようやく成功した! 今回はちゃんと生きてるーーしかも魔族だ」
「御初に御目にかかります。アイゼンと申します」
今回はという言葉と魔族という言葉に疑問はあったが、それらしく挨拶をした。
「初めまして。エレナ・オウロ・ラデラスタ・ロードと申します。三人だけなのでエレナとお呼びください」
成る程、魔王自ら城の案内してるし、来る途中誰ともすれ違いにならなかったから大体想像ついてたが……こんな馬鹿みたいに広い城に今まで二人で暮らしてたのか。
「そういえば名乗って無かったな、デルス・オウロ・ヴィル・ロデロスタ・ロードだ! 魔王もしくはデルス様と呼べ!組織の役職による上下関係は大事だからな 」
「よろしくお願い致します」
アイゼンは、頭を下げた。