表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/41

第10話

 あの狼が姿を現した…だと!?

 まさかそのような手が…ふっふっふ、さすが吾輩の弟だけあるわ!

 うむ、よい邪神になりそうじゃわい。


 あの姿であれば、攻撃のしようもある。

 水晶がどこにあるか分からぬから迂闊に攻撃も出来なかった先ほどまでとは大違いじゃわい。


「姉ちゃん、大丈夫?」

「まさかハグウィックに助けられる日がくるとはなあ、思いもよらなんだわ」

「もう、姉ちゃんったら」


 そう言いながら吾輩に回復魔法を掛けてくる。

 力は未だ戻らぬが、多少なら吾輩も動けるようになった。


「フェン介、補助魔法を掛けてやる、思う存分暴れてくるがよい」

「おう!」

「アッコよ、おぬしも行くが良い、イリュージョン・コネクトは吾輩が引き継ごう」

「はい、お願い致します」


 吾輩はアッコからフェンリルを実体化している変身魔法を引き継ぎ、さらにアッコに補助魔法を掛ける。

 うむ、今の吾輩ができるのはここまでか。

 ほんに、猫のこの身がこれほど恨めしく思ったことはないわい。


「お姉ちゃん、ボク、いつもお姉ちゃんに守られてばかりだった」


 ハグウィックが吾輩を抱き上げならそう言ってくる。


「だけど、今度からはボクがお姉ちゃんを守るんだ!」


 ふふふ、そうか。そうであるか。

 守られる、というのも悪くはないな。まあ、猫になっても悪い事ばかりではなかったしな。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「うぉっ、どうしたフェン介、丸焦げじゃねえか。なんか新しい遊びでも始めたのか?」

「助け出された第一声がそれかよ。ほんと暢気なやつだぜ」


 おおぅ…我がマイホームが…無残な姿になっておる。


「何があったのぉ?なんでオレこんなとこに居る訳?さっきまでの酒池肉林はどこいったのぉ?」

「父ちゃん…酒池肉林って、向こうで何やってたんだよ…」


 と、地面を揺るがすような衝撃があたりに響き渡る。

 なんだこりゃ、なんでこんなとこに毛むくじゃらの木が?

 オレのすぐ横にけむくじゃらの木が生えておる。

 オレはゆっくりを空を見上げ…


「おいフェン介、うちじゃもうペットを飼う余裕はないぞ…」

「この状況で言うセリフがそれかよ?」


 そこには見上げるばかりの巨大な狼が!

 あっ、目があった。

 瞬間地面に埋まっていた巨大な前足を引っこ抜き振り上げてきた。


「あぶねっ、連れてくる前に躾ぐらいしとけよ!」

「知るかよっ、向こうが勝手にやってきたんだよ!」


 オレとフェン介はわたわたと逃げ出す。

 上空ではアッコさんが真っ赤な鎌を振り上げてフェンリルの首を狙っている。

 フェンリルも負けてなく、かわしながら無数のカマイタチを発生させていた。


「ジョフィ、とにかくあいつをおとなしくさせる方法を考えろや」

「そんな急に言われてもな」


 フェン介が言うには、獣の神であるフェンリルが急に襲ってきたと。

 理由は良く分からないが、俺達一家があの体から生えてる水晶に封印されかけてたそうな。

 フェン介はそれを解除すべく、ペンダントに宿っている魔人さんと共にフェンリルに張り付き、一番手近にあったオレの封印を解除したらしい。

 体が焦げてるのはその際に雷を纏ったフェンリルにビリビリされたようである。


「父ちゃん!」


 ハグウィックが手招きしている。

 どうやらあそこで魔法の防御壁を展開しているようだ。

 オレ達は命からがらそこに逃げ込んだ。


「今どんな状況?」


 ハグウィックが言うには、フェンリルを抑えるためにルーンウルフ達に回りを囲んで魔法を連発させている。

 敵が撃つ雷についてはセバスチャン達がミスリルのロープを利用して避雷針を作り出して威力を弱めてるらしい。


「なかなかやるなハグウィック!見直したぞ」

「そ、そうかな?」


 照れたようにモジモジしている。


「父ちゃんがいつも話してくれてたラノベ知識が役に立ったよ」


 そしてそう言ってくる。

 いやだってですね、子供にお話を聞かせるのにですね、オレこっちの話なんて知らないし、向こうの昔話は役にたたないしですね。


「それじゃどんどん封印解除していくか」『ヒールエクステント!』


 オレはフェン介の傷を回復させる。


「おい、次はクルーカとか頼むわ」

「相変わらず人使いの荒い奴だなあ」

「いけんだろ?」

「おうよ!」


 回復は任しとけ!おっとその前に。


「ハグウィック、ルーンウルフとセバスチャン達を退却させてくれ」

「えっ、どうして?」

「攻守交替だ。派手にぶちかますからな、味方がいると逆にあぶない」


「分かった、カリス、みんなに伝えてきて」

「はっ」


 ハグウィックはカリスを伝令としてルーンウルフ達を下がらせていく。


「アルフィーラ、この防御壁、水の防壁にかえてくれないか」

「ふむ、良いぞ。あれか、雷を水で受け流すのか?」

「それもあるがな、その水をな…」

「なるほどっ!」


 オレは秘策をアルフィーラに授ける。


「じゃんじゃん回復魔法掛けていくぞ。ハグウィックはアッコさんを頼む、オレはフェン介をサポートする」

「はいっ!」


 さてと、それじゃあ狼退治といきますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ