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第2話 登場人物紹介◆王宮編

 わらわだってやれば出来る、やれば出来る子なのじゃ!

 そ、そうじゃ、ジョフィに教わった緊張をほぐすOMAJINAI、うむ、確か、手に人って字を書いて飲み込む、うむ。


「どうしたんですか?どこが具合が悪いのですか?」

「うひゃぁ!?」


 うおっ、このこわっぱ何時のまにわらわの元へ!

 くっ、せっかく尾行しておったのが台無しじゃ!


「ぐぐぐ、愚民!わらわを誰と心得る!この国の皇帝、ヘリデリック陛下の妹姫、スフィアーネであるぞ!図が高いぃ!」

「えっ、は、ハハァッ!」


 こわっぱが跪く、まずい、まずいぞ、こんな事をしたいのではないのじゃ。

 わらわは友好的に、そう友好的にこわっぱに取り入らねばならぬのじゃ!


「良い、無礼を許そう、面を上げるのじゃ」

「はい」


 ど、どうすれば、このあとどう話をすればよいのじゃ!?

 まずい、まずいぞ、だんだん訝しげな目になってきておる!


「愚民よ!そなたの無礼に大層傷ついた!親御に謝罪と賠償を申し入れる!」

「えっ、さっき許そうって…」


 あわわわ、わらわなんということを!

 違うのじゃ!わらわはただ、ただ…ジョフィに会いたくて…


◇◆◇◆◇◆◇◆


「やあジョフィ久しぶりだね。もっと王宮に顔を出してもらわないと困るよ」


 いやだって、なんかビッツの顔見るの怖いし。


「大丈夫だって、ビッツもなんだかんだいって、共和国の元元首といい仲になっているよ。まだ独り身のリンよりましじゃないかな」


 リンとビッツとはこの王子、おっと、こないだ皇帝陛下になったんだっけかな、その友人であり、それぞれ剣の天才、魔術の天才と噂されてた麒麟児だ。

 リンは未だに独り身を貫いている。

 なんか回りの夫婦仲を見て気後れして、ちょっと女性不審気味?


 ビッツは共和国の元トップのお方と結婚して、今じゃ4児の父親となっている。頑張るなあ。


「それより今日は、王国の人が来てるんだって」

「…ジョフィ、フォンヘルケンが王様となったのは知ってるよね。実はその王様からたってのお願いでね」

「ふむ」


「ジョフィ様、暫く見ない間に…あんまりお変わりありませんね」


 ん、なんかイケメンな男性が話しかけてくる。

 誰だ、ん、なんか誰かに似てるような気も…


「シノリスでございます」

「えっ!?」


 えっ、シノさん?シノさんといえば、聖教会の神徒の人だよね?

 そして女性だったよね?

 なんかお胸がなくなって…さらしでも巻いてんの?


「此度、私も男性に変身する魔法を身につけたのです!」

「………………」


 あっ、なんかヘルケン様の相談内容が予想ついたぞ。


「じゃ、オレはこれで」

「なに帰ろうとしてるのかな?」


 オレはガシッと両脇を固められる。


「よう、久しぶりだなジョフィ」

「ハハハ、自分だけ逃げようだなんて…怒るよ?」


 いやあ、リンにビッツじゃありませんかぁ、いやあ、お久しぶりです。その節はどうも…


「まあ、冗談だよ。今じゃ子供達と妻に囲まれて幸せな家庭を築いているよ」


 そう言ってビッツは笑う。

 いやあ、それは良かった、本当に良かった。


「まあ、逃がさないのは冗談じゃないけどね」


 でしょうね。

 そこへヘルケン陛下とその妹君、マリアージュ嬢が入ってきた。


「さあ、マリアージュ様、私とあなたとの新たな門出をここに居るジョフィに祝ってもらいましょう!」


 ああ、そうなったかあ…

 ヘルケン陛下は額に手を当ててフルフルとかぶりを振っている。


「何とかしていただきたい」


 そしてそう言ってくる。

 オレにどうしろと?

 もういいんじゃないかな?本人達がよければ?


「ヘルケン様、清き心、清き心ですよ」

「同性愛は全然清くないと思うのだが」


 まあ、その情熱は、真っ直ぐで清い心なのではないですかねえ。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「陛下、あんなサプライズはやめてくださいよ」


 せめて会見前に言ってよ。

 どうにかお兄様をなだめすかして、シノさんとマリア嬢の仲を認めてもらえた。

 後の事はご家族でなんとかしてください。


 子供が生まれない?そんなこと言いに来るなよ?

 変身したって無理なものは無理なんだから。


「先に言ったら来ないだろ?」


 ごもっともで。


「それにしても、今日は一人なのか?」

「ああ、ティアが隣国に旅行中でして」


 ティア嬢は現在、以前ここの夜会で知り合ったホフラ嬢の所へ行っている。

 なんでも、胸を大きくする方法を相談するとかなんとか。

 お二人ともちょっとそこらへんが残念なお方で、随分意気投合されている。


 それにネイリスさんが護衛で付いて行ってるので今回は一人で来る事になった。

 えっ、アホ猫はどうしたって?丸くなって寝てるよ。

 猫の姿をとってる事が長いせいか、すっかり夜行性に。ほんと夜中に運動会するのは勘弁してください。


「いや、一人じゃないな、ハグウィックを連れて来たはず…あいつどこ行ったんだ?」

「…放任主義にも程があるんじゃないかなぁ?王宮ではぐれっぱなしって」


 そこへドアをノックする音がする。


「オーホッホッホぉ、全ての愚民はわらわの元に跪くべくして生まれたのよぉ!」


 扉を開けてみるといつかのお姫様が、いつかと同じセリフを…

 オレはそっと扉を閉めようと…


「ちょっ、ちょっと待つのじゃ!こっちには人質がおるのじゃぞ!」

「…何やってんだハグウィック?」


 姫様の後ろにはうちの息子が蓑虫のようにロープにグルグル巻きにされていた。

 何があったのぉ?


「ち、違うのじゃ!ちょっとばかり意思の疎通がじゃな!」


 未だにコミュ症なんだろうかこのお姫様。


「そ、そんな事よりこれを見てみよ!」


 お姫様が紙切れを差し出してくる。

 何々、請求書?

 なんかいっぱいゼロが並んでいるんですが…


「これなんの請求書?」

「ふっ、そなたわらわの家庭教師として雇われておっただろう。前金を貰った上で!だというのにほとんど授業をしておらん!よってそれは前金の返金額じゃあ!あ、利息はといちです」


 えっ!?


 いや確かに、家庭教師として雇われたな、前金も貰った、そしてほとんど授業せずに色々あって…


 えっ!?


 いや、その利息なに?えっ、そんな話聞いてませんよ?


「さあさあ、どうする!早く払わぬとどんどん利息が上がっていくのじゃ!」

「お、これはスフィア、グッジョブだな」


 グッジョブだな、じゃねえよ!


「しかーし、これを解消する唯一の手段があるのじゃ!」

「…なんとなく予想はつきますが、聞きましょう」

「わらわも今や18歳、結婚できるお年頃。そう!わらわを嫁にすれば、この借金は全てなくなるのじゃぁ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「どうすんの父ちゃん、母ちゃん達になんて話するの?」

「…ハグウィック、このままどっか遠くへ出かけないか?」

「いい加減逃げ癖なくそうよ」


 まったく父ちゃんはほんとダメ人間なんだから。

 そもそも奥さんが複数いる時点で人間としちゃダメだと思う。


「お前もそのうち判る日がくる…きっとな」


 変な予言しないでよ!

 それでなくともあの日からなんか嫌な予感がしてるんだから。


 それにしても今日は尾行される日だなあ。

 ボク達の少し後を小さな子供がこっそりつけてきている。

 お姫様もそうだけど、王宮の人って尾行するの下手だなあ。

 クロエさんくらいとはいわないけど、もっとばれないようにしなきゃ。


 あっ、つまづいて転んだ、なんか泣きそうだ…


「父ちゃん」

「ん、あっ、ヒメちゃんじゃないか。どうしたんだい」


 父ちゃんがそう声を掛けたとたん、パッと嬉しそうな顔になって駆け寄ってくる。


「うちの娘達もこれくらい可愛げあったらなあ、せめてパパ大好きぐらいは言ってもらえないだろうか?」


 駆け寄って来たその子は父ちゃんのズボンをギュッと握り締めて上目遣いで見てくる。

 父ちゃんはその子を抱き上げる。

 するとうれしそうにキャッキャと声をあげる。


「誰か知り合いの子なの?」

「何言ってんだお前、ん、そういや初顔合わせなのか?この子はな、ここの皇帝様のお子さんで、お前の婚約者だぞ」


 えっ!?そんな話、聞いてないよぉ!?

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