06 戦利部品
戦闘が終わり、自分の脚、思い切り金属を殴った手などの部分もしっかりと見つめるが、やはり目立った外傷は見当たらない。
予想していた通りではあったものの、実際にこうして実践してみると、この身体は相当に頑丈で、随分と性能が良いのだという事を改めて実感する。
目覚めてから、現実離れした状況を経ての最初の戦闘。
動揺はしていないが、どこか満ち足りたように、顔が火照り、熱を帯びた。
それが、この身体の機動によって発生した熱を排出し、戦闘による熱気を逃がして、この身体をクールダウンしていく。
どうやら最初にこの部屋に存在していた無数の屍は、この戦闘の余波で粉々に吹き飛んでしまったようだった。
あちこちにまだ損傷が激しい残骸の破片が転がっているが、もはや元々の原型は見る影もない。
このまま放っておくのも死者に対して悪い気がしたけれど、今この場所でしっかりと弔う方法も無い上、そもそもそういった感情自体、今はほとんど湧かかった。
一応手短に手を合わせるだけで現状を済ませ、ムカデの廃品に使えそうなものが見つからないかと、回収を優先させる。
部屋にあったムカデの残骸を一度部屋の中央に集め、取捨選択を開始した。
【亜空間】の要領的に、あまりゴミばかり抱え込む開けにも行かない。
そんな理由で、無事な部品はそのまま流用し、自身の機能に組み込めるか試してみる。
情報機能であった【機械成長】については、既にほとんどのデータが飛んでいたので入手出来なかったが、【投擲技術】については戦闘中に見る事が出来たので、見よう見まねで使用可能だ。
ただ、ピッチングマシーンの様な方法で投げるだけなので、使う利点はなさそうだ。
あとは部品機能の【部分剣化】【部分分裂】の2つだけれど、これらはその名の通り部品的な機能なので、そのまま自身の身体自体には応用できない。
一応機能の詳細解析を行いつつ、なにか便利な道具が出来ないかと【内部工場】の内部で模索することにした。
※誤字や文章に違和感などがあったら教えて下さい。