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ガントリップ・リリィジョン

作者: 狐金百合

遅くなりましたが習作第三弾です

 爆撃により荒れ果て、火の手が上がる街。

 この街に住んでいた半数の人は空から降り注いだ無慈悲な爆撃によりその命を散らした。

 残りの半数は着の身着のまま、何も持たずに逃げ去った。

 今この街にいるのは、多くの人を逃がす為に足止めを行う者とそんな彼らを狩る者だけ。


「この悪魔め」


 その街のとあるビルの屋上で2人の男が相対する。

 1人は手足が千切れ、もはや生きているのが不思議な様子の男。

 もう1人は白と黒のモノトーンのコートを着込み、顔の上半分をゴーグルで覆った男だ。ソイツはゴーグル越しに、なんの感情も持たない冷徹な瞳で男を見下ろす。

 ソイツに向かって、倒れた男が血反吐とともに吐き出したのは、ソイツが今まで何度言われたかわからない程に聞き慣れた言葉だった。


「……」


 しかし、それに対してソイツが応える事などない。

 代わりに人差し指に少し力を入れる。

 瞬間、手の中の大口径銃から轟音と共に弾丸が吐き出され、男の頭は木端微塵に吹き飛んだ。


「……任務完了」


 反撃がないか数秒待ち、念のためにゴーグルで生体反応も調査して完全な死亡が確認されるとともにソイツ――アルマは呟いた。



 瞬間、アルマの身体が宙を舞う。



 超長距離狙撃による銃弾が彼の身体を貫き、体液が宙に舞う。

 右肩の肩甲骨部分を粉々に打ち砕いた銃弾はすでに体を貫通しているが、着弾のインパクトはそのまま残り、彼の体を錐揉みに回転させた。

 しかしアルマは痛みに呻くことも、のたうち回ることもせず、ただただ冷静に自分の身体を動かす回転運動に対処する。タイミングを見計らい地面を蹴りつけるようにして勢いを止め、それを利用して踏切り、体を遮蔽物である貯水タンクの陰へと運んだ。


「チッ、隠れられた」


 アルマから約5㎞離れたビルの屋上から銃弾を放った女性がスコープを覗きこみつつ憎々しげに舌打ちをする。


「て言うか、なんで頭狙ったのに肩に当たんのよ。この距離からの狙撃を咄嗟に察して身を捩った? 化物かっての」


 自分も人類史上最長記録を大幅に更新する狙撃をした"化物"だという事実には目を向けず、燃えるように真っ赤な髪を振り乱しつつ腹ばいの狙撃姿勢から起き上がる彼女。

 しかし、色々とぼやきつつではあるがその手はテキパキと撤収準備を始めている。


「早くしないとアイツが来ちゃうからね。もうこっちの位置はバレてるだろうし」


 彼女の予測ではアルマがここに到着するまでにかかる時間は8分45秒。

 あの殺戮機械に近・中距離戦では勝ち目がないことは彼女も十分理解している。だから接近されるまでに逃げなければならず、1秒だって無駄にしている余裕はない。

 けれど、不安要素もあった。


(もしもアイツが私が予想しているよりもヤバい奴だった場合、大幅に時間を短縮できる最短ルートが存在する)


 その不安を抱えつつ、撤収準備をしていた彼女の視界の端に白黒のモノトーンの影が遠くの方で小さく映った。


「ちょ! 嘘でしょホントに来たっていうの!?」


 人間離れした視力でアルマの動きを察知した彼女は、撤収準備を途中放棄し再び超電磁(レール)ライフルを構える。

 スコープを覗きこみ、照準を合わせようと試みるも――


「くっそ、早すぎるっての」


 燃え盛るビルの屋上をジグザグに駆け、ビルとビルとを跳び移りながら(・・・・・)迫りくるアルマをスコープの中に収めることは叶わない。


「まさか本当に跳んで来るなんて思わなかったっての!」


 地上を行かず、並び立つビル群を足場にしてまっすぐ向かってくる。

 それこそが危惧していた最短ルート。

 だが、出来る出来ないに関わらず実行するとは思っていなかった。一歩間違えば命取りになる危険な道なのは間違いない。

 それを平然とした顔で駆けてくるアルマ。

 予想外の行動に苛つきつつ、彼女は超電磁(レール)ライフルのスリング(吊り紐)を肩にかけ、脇にあった別の武器を手に取る。

 手にとったそれを肩に担ぎアルマへと向ける。覗き込んだスコープ上で自動ロックのマーカーが電子音と共にアルマの姿を捉えた。


「砕け散りなさいよっ!」


 肩に担いだ小型携行用ロケットランチャーから尾を引いてロケット弾が勢いよく飛び出し、反動で少女の体が後ろに僅かに下がる。

 モノトーンの影をロックした弾頭は自動追尾でアルマの元へと一直線に飛ぶ。

 その弾頭に気付いたアルマがビルを跳び移り避けようとするも、そのたびに軌道を修正して距離を詰めてくる弾頭。


「……」


 避けきれないと悟ったのか、徐に立ち止まったアルマは無言のまま無事な方の手で銃を構える。

 そのまま真正面から目前まで迫りきていた弾頭に向かって引き金を引いた。

 銃声が一発、二発と連続して轟く。

 銃声のたびに弾頭に穴が開き、その穴が4つほど開いた時点で弾頭が空中で爆散した。

 周囲から上がっている火の手とはまた違った、火薬による爆炎がアルマの姿を覆い隠す。

 しかしそれも一瞬。

 直後には爆炎の中を突っ切ってアルマはその姿を現した。電磁コーティングされたコートは熱も爆炎も寄せ付けず、彼の体を守り抜く。

 飛び出してきたアルマは空中を飛びながら片手で器用に弾倉を輩出し、新しいものと入れ替える。それが終わると同時に彼の足裏は再び燃え盛るビルの屋上を捉えた。そのまま止まらずに、アルマは人間離れした脚力で駆け抜け、彼女を目指してビルの間を跳ぶ。


「これもダメぇ~? だったらこれ使うしかないじゃない。ヤダな~」


 携行性を追求したために単発の使い捨てであるロケットランチャーを投げ捨て、懐から1つの無線式スイッチを取り出した。

 スイッチカバーを外し、いつでも押せる状態にしながらじっとアルマの様子を窺う。

 既に彼は2km先まで迫っていた。

 人間とは思えない脚力で以って、燃え盛るビル群を足場にして空中を進むアルマは自動車以上の速度を出していた。

 このペースだと1分も経たないうちに彼女の元へたどり着くのは確実。

 けれども彼女の顔に焦りは無い。

 ただただ冷静に、慎重に、アルマの動きを観察する。

 ――まるで何かを待っているかのように。

 実際、彼女は待っていた。アルマが自分の仕掛けた”罠”の範囲に入るのを。


「――今だ」


 その時はすぐに訪れ、彼女は親指でスイッチを勢いよく押し込む。

 アルマが彼女まであと1kmと迫った時だった。

 瞬間――アルマの足元を振動が奔り、崩れ落ちていく。

 アルマが足場にしていたビル、その支柱に備え付けられていたダイナマイトが爆発し、ビルが倒壊したのだ。

 しかもそれは発破解体で使われる技術を使い計算して設置されていたため、効率よく折り畳まれるように爆縮していく。


「……」


 しかし、そんな状況に落とされてもアルマは顔色1つ変えず身体を動かす。

 重力に引かれ落ちていく瓦礫の上を、まるで飛び石を渡るかの様な軽やかさで高度を落とさずに駆け抜けていく。

 そうしてビルだったものの上を駆け抜け、次のビルへと飛び移ろうとした所でアルマの表情が初めて歪む。


「……」


 眉を顰めたアルマの目前で、悲鳴のような軋みを上げるビル群。

 目指すべき敵に至るまでの足場ビル

 それらから連続的な炸裂音が響いたと思ったら、僅かな振動とともに瓦解し始めた。

 ビル1棟分は瓦礫を足場に駆け抜けることは出来た。

 しかし、残り約1kmを足場もないまま走破することはいくらアルマであっても不可能。それは他の誰よりアルマ自身が理解している。

 自分のスペックは完全に把握していた。

 自身に出来ること、出来ないことを把握する。それが常に戦場に身をおきながらここまでアルマを生かし続けてきた最たるものだから。


 僅かな逡巡。


 このまま重力に引かれ落ちた所で、アルマは死ぬことはない。しかしそうした場合、敵である狙撃手には手が届かないのは確実。

 だがそれはこのまま突き進んだ所で同じ。

 敵に届くより先に足場が無くなるだろう。

 ならば手は1つだけ。


「――E(エレクトリック)コート"Over Drive"」


 アルマは不可能を可能にするための言語符号コードを唱える。

 瞬間、白と黒のモノトーンだったコートが白一色に染まりあがった。

 電磁フィールドを形成し、防壁としてアルマの身を守っていたコートがその防御を消し、代わりに蓄えていた電気をリミッターを外して限界以上に放出していく。

 アルマの周囲に電撃が迸る。

 だが、その電撃など副次的な物。

 真の変化はアルマの体内でこそ起こっていた。

 リミッターを外して放出された電気エネルギーがアルマの体を限界以上に強化する。

 体の大部分を構成する人工筋肉が膨大なエネルギーを注ぎ込まれ、限界以上に駆動していく。

 そうして強化された体で以って、アルマは再び落下し続ける瓦礫を蹴って飛び出す。その勢いは先程までとは比べ物にならなかった。

 足場にした瓦礫はアルマの踏み切りに耐えきれず消し飛び、あまりのスピードに大気が焦げる。

 その踏切によって爆発的な加速を生み出したアルマはまるで稲妻のように宙を駆ける。

 幸いにもビルの崩壊には時間差があったようで、未だ全てが崩れ切っているわけではない。

 落ち切っていない、空中で落下途中の瓦礫を足場にして進む。それらの足場は運よく狙撃手の元まで続いている。

 あまりの速さにそれらをほとんど同時に踏抜きつつ、距離を詰めていく。

 1kmなどという距離は、今のアルマにとっては目と鼻の先と同等だ。

 一瞬で距離は詰まる。

 敵に至るまでの最後の足場を踏み抜く。

 あとはまっすぐ敵へと突き進むのみ。

 銃は構えない。

 構える必要がない。

 銃を構えて引き金を引くよりも、このまま突っ込む方が早いからだ。

 身に纏った電撃と亜音速の速度だけで、人を殺すことなど容易い。


 油断。

 この時、アルマは確かに油断していた。

 "合理的な判断"とも言い換えることのできる油断だ。

 不必要な事を行わないのが戦場での常。

 今もアルマはその法にしたがって冷静に判断を下していた。アルマ自身に油断したつもりなど無い。

 だが、"これだけで十分だ"と。

 態々銃を構える必要など無い、相手はいくら強化されていると言っても人間。機械化された自分の、更に限界間際の強化されている状態に対応できる人間が存在するはずないと。

 自分のスペックを正確に把握し、人間の身体能力の限界まで知り尽くしたアルマだからこそ判断したその判断は、油断と同義だった。



 ――アルマは、"人間の限界"を甘く見ていた。



「やっほ、"殺戮機械"」


 アルマの100メートルほど前方。ビルの屋上の淵に立つ真っ赤な髪の少女の口がそう"動く"。

 亜音速のアルマの耳に声は届かない。だが、唇の動きを読んで頭の中で言葉にする。

 しかし、その言葉を理解するよりもアルマの思考回路がエラーを吐きだす。


(なぜ、この人間はまっすぐに自分へ視線(・・・)銃口(・・・)を向けているのだ?)


 体を半身にし超電導ライフルを立ち撃ちのままで構えた少女。スコープを覗き込んで向けられた銃口は的確に自分を捉えている。

 理解不能な事象だ。

 アルマがE(エレクトリック)コートを限界駆動させてから2秒も経っていない。


(なぜ自分を捉えることが出来る?)


 人間では体どころか思考すら追いつかない領域の速度だ。

 補助電脳による高速演算が無ければ自分自身でさえ行動の制御が出来ない。

 なのに――なぜ?

 そんな思考は少女の手から放たれた超電導弾によって強制的に打ち切られる。

 電光を纏ったレーザービームの様な弾丸は、今のアルマ以上の速度で頭を吹き飛ばそうと迫る。

 まさに一瞬。

 雷同士がぶつかり合ったかのような轟音と衝撃が吹き荒れる。

 周囲に浮かんでいた瓦礫群が迸った電撃によって塵へと砕かれた。

 双方の速度が尋常でないモノが正面からぶつかり合ったのだ。周囲も、そしてそれら自身もタダで済む訳が無い。

 それは互いに人工物であっても同じこと。むしろ"機械人間"と"超電導弾"……"人"と"武器"という差が如実に現れた。


 弾丸はアルマの人工皮膚を破り、人工筋肉を引き千切り、その下の超合金製の骨格を砕き貫く。


 そのまま超電導弾はアルマの右腕を(・・・)指の先から木端微塵(・・・・・)にしつつ肩口から抜け、空の彼方へと消えていった。

 正確に頭を狙って放たれた弾丸。

 補助電脳のセーフティ機能によって反射的に右手を翳したおかげで、なんとか強引に軌道を逸らせた。

 そうでなければ脳が破壊されていたのは確実。

 代償に右手が完全に破壊されてしまったが、脳の損傷に比べれば軽微なものだ。

 だが、任務は失敗。

 左腕を接合部から破壊され、右腕を木端微塵にされてしまえば戦う術は無い。

 残った両足での格闘戦闘をすることは不可能ではないが、そもそもの前提として少女の元までたどり着く術がない。

 超電導弾を受け止めたことで先程までの勢いは消え、E・コートの限界駆動も解除されている。更に宙に浮かんでいた瓦礫(足場)も衝突の余波で吹き飛んでしまっている。

 打つ手は無い。

 このまま地上数十メートルから落ちていく以外にアルマに残された選択肢など無かった。

 重力に任せるがままに落ちていく中でアルマは思考を巡らし、そして気付いた。


 アルマを待ち構えていたかのようなあの狙撃手。まるでアルマがどうやって、どこから来るかがわかっていたかのようだった。

 そして不意打ち気味だったビルの崩壊に比べ、杜撰で統制がとれていなかった他のビルの崩壊。一斉に崩せば足場を無くすことが出来たのに、あまりにもアンバランスだ。

 これらのことが示しているのは――


(罠に嵌められた、ということか)


 心の中で淡々と事実のみを確認する。

 不意打ちの爆発によってE・コートの限界駆動の発動を誘導。

 爆発するタイミングをわざとズラすことでルートを限定。

 そこまですればあとはタイミングの問題。

 超高速で動くアルマへと当たるタイミングで引金を引くだけ。

 それも難しいことに変わりはないのだが――


(それくらいならば"人間"であっても出来るということか)


 アルマの認識していた人間の限界を軽く飛び越える動体視力と反射神経。

 それを見せつけられ、そして敗北した。


「――そうか、あれが『紅き魔弾(ロートフライクーゲル)』」


 アルマの口から無駄な言葉が漏れる。

 声に出す必要のない、ただの事実確認。

 今しがた対峙し、負けた相手が噂になっていた『自然(じねん)教』の特筆人物だったと今更ながらに気付いたのだ。


(なるほど、確かにあれは……強い)


 実際に戦ったうえでの実感を抱きつつ、アルマの体は燃え盛る町の中へと消えていった。



 ☆★☆



「うーん、あれは死んでないな多分」


 屋上の淵から下を見下ろしつつ、赤髪の少女はぼやく。

 同時に、胸ポケットに入れておいた携帯端末が震え、着信を知らせてきた。

 それを取り出し液晶に映った名前を見た途端、少女の顔が今までの厳しいものから柔らかなものへと変わった。


「やっほ、私だよ」


『あ、おねぇちゃん! だいじょうぶ? ケガしてない?』


 端末からはあどけない声が心配の言葉を掛けてくる。


「だーいじょぶだいじょぶ、心配ないって。おねえちゃんは強いから」


『そうだよね、おねえちゃんはさいきょうだもんね。ごはんつくってまってるからね。』


「ユカリがご飯作ってくれるんなら速攻帰んなきゃ!」


『それじゃまたあとでね』


「うん、すぐ帰るよ」


 優しげな表情と声のまま端末を切り――そのまま膝を突く。

 その額には弾のような汗が浮かび、目の下には不自然なクマが浮かんでいる。

 まるで死者の様な有様だ。


「クッ」


 短く呻き、片手で強く胸を抑える。

 吐き出す息も戦闘時にすら無かった程に荒く、全身がブルブルと細かく震える。

 少女は全身を苛む痛みを堪え、ジャケットの内ポケットから手の平ほどのケースを取り出す。

 震える手でなんとかそれを開けると、中には数十種類ものカプセル剤や錠剤が詰まっていた。

 少女はそれらの薬剤をザラザラと口に流し込み、嚥下していく。

 その途端、今までの苦しそうな様子がパタリと止み、平静を取り戻す。

 異常だった。

 薬の即効性も、そんな薬を飲むことを必要とする少女の体も。


「……こんなの飲んでて、本当に人間って言えるのかしらね」


 自分の所属する教団の教義を否定するかのような、誰にも言えない独白を呟きながら周囲の荷物を担ぎあげる少女。


「でもま、仕方ないか。ユカリが笑って暮らせるような世界を作るためだもんね」


 自分の体の変異と劣化。

 どんどん人間と言えなくなっていく自分の体とかわいい妹を天秤にかけ、自分の体については仕方ないと軽い調子で諦める。

 当然だ、彼女にとって妹よりも大切なものなど無いのだから。


「さて、それじゃ他の奴らが来ないうちに私もとっとと逃げますかね」


 少女はアルマにトドメを刺すために追うことなどしない。

 無理せず深追いしない、それが彼女の戦い方。

 彼女にとって戦いとは出て、帰ってくるものだ。

 常に戦場から帰還する事を考えている。

 その為に無理をすることは無いし、自分のフィールド(戦闘領域)から出ることはしない。

 そのルールに従い、最低限の荷物だけ持ち、残りの廃棄物は特殊な溶解液を振り掛け容滅処分する。

 そうして己のいた痕跡を消し去った少女は静かに屋上を去った。



 戦いは終わったが街を包む火は衰えず、その後4日間燃え続けた。



 ☆★☆



 西暦2365年。

 第五次世界大戦によって地球上の半分以上の国家が消え、総陸地面積は3割ほど海に沈んだ。

 多くの人々が帰る国を、土地を失った。

 それをまとめたのがかつての国家代表による評議員をトップとした地球統一連合国家――通称U2N。

 U2Nは様変わりしてしまった地球の環境に人々を適応させるため、人体の機械化を義務とした。

 しかし、それに反発した者たちがいた。

 人体の改造を拒否し、自然のままこそが美しく正しいと唱えた彼らはいつしか自分達を自然(じねん)教と呼ぶようになる。

 相反する2つの主張は折り合いがつかず、その対立はすぐに暴力へと変わっていった。

 こうして、地球上ではU2Nと自然教による争いが始まり、十数年たった今も続いている。



 終わりは、まだ見えない。

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