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興味本位で潜った洞窟は思った以上に深く、真っ暗だった。そう思っていたら今度はだんだん空気が淀んできて、真っ暗な洞窟には白い靄がかかり始めた。
やっと明かりが見え、洞窟から出られたらしいが、靄が霧に変わり、視界が余計に悪くなった。
「任せて。」
ソフィアが言うと、杖をかざして風をおこした。霧が払われ、開けた視界の先には、奇妙な都市があった。
「・・・え」
疑問の声をあげるソフィアに、僕達3人は視線を向けた。
「ソフィア、どうした?」
カルルが訊ねると、ソフィアは振り返らずに、答えた。
「懐かしい感じがする・・・」
吸い寄せられるように都市へと歩みを進めるソフィアの後を、僕達は慌てて追った。
「人が来た!」
「本当だ、外から人が入って来たぞ!」
僕達を見て、都市の人々がざわざわと騒ぐ。一体どうしたんだろう。
「…あ、あなたは…!」
1人のお婆さんが、ソフィアに近づき、彼女をまじまじと見始めた。
「あの」
「やはり…!あんた達、早く彼処で、姫様にお会いしなされ!」
何が何だか分からないまま、僕達はお婆さんに急かされて、お姫様がいるという城に入った。
城門で見張りをしていた兵士も、城内の人々も、僕達を見て驚愕の表情を見せた。特に皆の視線を集めていたのは、ソフィアだ。そんな中、僕達はお姫様のいる場所に着く。
「外から人が入って来るなんて、何年ぶりでしょうか。」
お姫様はまずそう言った。
「ここは魔導士の故郷・・・魔導士が生まれ育つ場所。皆様、よくいらっしゃりました。私はこの城の主、ソーニャと申しますわ。」
言って微笑むソーニャさんは、ソフィアによく似ていた。
ブロンズレッドの髪、赤茶色の瞳、少女らしさの残る整った顔立ち・・・
よく似た顔の2人の視線が交わった。ソーニャさんが困ったような顔をしてそっと目を逸らす。ソフィアはそれに対し少し首を傾げていた。
暫くの沈黙の後、ソーニャさんは口を開く。
「あなた方は、今より強くなりたいですか?」
僕達が頷くと、彼女はそうですか、と言い、一呼吸置いてから言った。
「この都市には、魔法の腕を上げる為の修練場があります。まずはそこで魔法の力を高めると良いでしょう。」
その言葉に、魔法を使うジノヴィとソフィアが力強く頷いた。
「そして魔法の腕が上がったら、この都市の近くの神殿に行きなさい。そこで、あなた方の旅に役立つものが見つかるでしょう。」
「分かりました。ありがとうございます、ソーニャさん。」
言うと、ソーニャさんは再び微笑んだ。
お城を出てから、カルルはずっと何かを考えている。一体どうしたんだろう、と彼の横顔を見ていると、視線に気づいたカルルがこちらを向いた。
「アリョーシャ、どうした?」
「えっと・・・カルル、さっきからずっと何か考えてたみたいだから、どうしたのかなって。」
僕が言うと、カルルはあぁ、と言って苦笑いした。
「俺は魔法が使えないからな。その間、どうしようかと考えていた。」
成る程。
「だったらさ、ソーニャさんが言ってた神殿について調べたらいいんじゃないかな。」
「神殿の事を?」
「うん。何か良い情報が得られるかもしれないからね。」
「そうだな。じゃあそうするか。」
暫くの間、カルルは僕達と別行動をすることになった。




