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6

「きききっ!あいつが欲しけりゃ、おいらを倒すんだな!」

魔物はそう言って笑うと、呪文を唱え火の玉を沢山投げつけてきた。

幾つかが服を掠め、裾を焦がす。

「きききききっ!」

魔物は笑いながら、今度は魔法で尖った氷を投げつけてくる。

かわし損ねて、肩を掠め、腹に突き刺さった。

「アリョーシャ!」

「ぐっ・・・」

ジノヴィが咄嗟に回復魔法を唱えて傷を修復した。

思い切り矢を放つ。それは魔物の真横を飛んでいった。

「あ」

しっかり見据えようとしても。相手の輪郭がはっきりしない。・・・というか、視界自体が霧がかかったようにはっきりしていない。

「アリョーシャ、どうした?」

どうしたのか自分でも分からない。

できる限り狙いを定め、矢を射るが、当たった気配がしない。何故だ?

「・・・ん?」

カルルが疑問の声を上げた。見えないからよく分からないが、剣が空振りする音が聞こえる。

まさか、カルルも僕と同じように?

「ジノヴィ、この霧は何だ?」

やはり、カルルもそうなっていたようだ。

「霧?そんなのかかってないよ?」

・・・かかってない?

「きききっ!」

魔物の笑い声が聞こえる。火の玉が直撃した。

「うあっ!」

「アリョーシャ!」

「ちょっと、二人ともどうしたの!?さっきからおかしいよ!」

ジノヴィの声がする。

「ま、魔物が、どこにいるか分からない!」

「え?」

「見えないんだ!」

「視界がぼやけちまって魔物が見えねぇ!」

「・・・幻、術?」

魔物の高笑いが聞こえた。


魔物の幻術により、アリョーシャとカルルの視界が霧に包まれた。

アリョーシャの傷を癒しながら、ジノヴィは考える。二人の力なしで、兼つ、あの幻術にやられずあの魔物を倒すには、どうすればいいか。

「お前も惑わしてやるっ!」

魔物の幻術を何とかかわす。

ハッと、ジノヴィの頭にある考えが浮かんだ。

ジノヴィは魔法で鎖を操り、魔物を捕らえる。

「ききっ!?」

そのまま距離をつめ、魔物の懐に入った。鎌の刃を魔物の首にあてがう。

「これで、終わりだよ。」

彼は鎌を持つ手に力を入れた。


「・・・まさか、本当にエルフの涙を持ってくるとは思いませんでした。」

魔物を倒し、無事目当ての物を手に入れた僕達は、宿街に戻って来た。

主人に通され、魔道士が眠る部屋に来る。エルフの涙を振りかけると、魔道士は目を開け、起き上がった。

「・・・」

「!」

カルルが突然少し後ずさった。どうしたんだろう。何かいたのかな?

目が覚め、パッチリ目が開いたらしい魔道士を見る。

「可愛い女の子だなぁ・・・」

口をついて出たのはそんな言葉だった。魔道士の彼女は、少し照れて微笑む。すると、ジノヴィが言った。

「・・・僕の方が可愛いよ。」

彼女は少しムッとした。・・・まぁ、あんなことを言われたら仕方ないかもしれない。

「えっと」

彼女が口を開く。女の子らしい声だ。

「助けてくれた・・・と言っていいんですよね。有難うございます。」

「いやいや・・・」

カルルは今だに後ずさったままだ。一体どうしたんだろう?

「私、ソフィアっていうの。あとは何も覚えてないけど。」

それを聞いて僕達は驚く。記憶がない、ということか?

「あ。でもね、魔法が使えることは確かみたい。それで・・・」

女の子はううんと唸りながら、体を前後に揺らす。ピタ、と止まると、僕達をじっと見てきた。

「あなた達、旅をしてるのよね。」

「うん、まぁね。」

「・・・ねぇ、私も、あなた達の旅に連れてって!」

「え」

「私、自分が何だったのかとか、色々思い出したいの!そのためには、色々な場所へ行った方がいいと思う。・・・でも私の力だけじゃダメなの。あなた達、旅をしてるってことは、強いのよね?お願い、私も出来る限りの事をするから、私を旅に連れてって!」

「そ、そこまで言うなら・・・ね?」

二人に同意を求める。カルルは渋々という感じで頷いた。

「別にいいけど。やたらと煩くしなければね。」

ジノヴィも素っ気なくだか、肯定した。

「うん、一緒に行こう、ソフィア!」

女の子-ソフィア-は、パッと明るい表情になって、笑った。

「有難う!皆、よろしくね!」


ーこうして、魔道士ソフィアが仲間に加わった。

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