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マスターの赤目です

どうも、こんばんは。

あぁ。まずは初めましてですね。

私、とある路地裏のBARのマスター、「赤目(あかめ) (れい)」といいます。ここのBARを二十歳に開業し、様々な方に支えられて早二年経ちます。最初の頃は色々と苦労しましたよ。

え?色々?

まぁここのバー、ちょっと特色なんですよ。

まぁこのお店、名前が「Monster」って言うんです。理由は先代やその知り合いの方々からアルコール濃度の高い凄い、いわゆる怪物なお酒を集めてるのがこのお店の特徴です。なのに・・・最初の頃は酷かったですよ。

2年前・・・

祖父の残してくれたこの物件、路地裏ってのもあるんで当時は大人の隠れ家って感じでしたよ。


「・・・よし、テーブルよし、イスよし、酒よし、食べ物よし、あとはお客がくるまでグラスを磨いてるか!」


確かその頃は開店が遅れてて、8時からだったんですよ。いやー満月の綺麗な夜でした。そこで自分はグラスを磨いてお客を待ってたんです。二つくらい磨き終わったらドアについてるベルが鳴ったんです。


「いらっしゃっ・・・」


え?挨拶がなってない?

仕方ないじゃないですか。私だって当時はまだひよっこですよ。でもそれだけじゃなかったんです。


「あっ、こんばんは。ここ開いてますよね?」


いいお客?

ええ、この人はいいひとで今の常連客です。まぁ・・・問題は・・・


「えっと・・・その顔どうしましたか?」

「ん?これ?ああ、日本じゃあまりいないよなー(笑)」


(笑)じゃないですよ!だってその人?顔が狼なんですから。日本どころかアメリカにもいませんよ!


「こ、コスプレってやつですか?」

「違う違うー。生れつきだよ。今日満月だから普通のバーに入れないんでね。ここ、モンスターでもオッケーですよね?」

「てことは貴方は・・・」

「そう、狼男だよ。」


まぁ自分はまず落ち着く事に専念しましたね。いきなり入口から光る目、毛深い犬顔、鋭いキバ、もうこの時点でスリーアウトです。バッターチェンジです。正直最初は怖かったです。


「ま、まぁどうぞ、お好きな席へ!」


なんで自分も「おかえり下さい」それか「おすわり!」って言わなかったのが不思議でしたね。いっそボール投げて「取ってこい!」がよかったですかね。まぁそんなんがあってその人は私の前に座りました。


「んじゃウイスキーある?」

「ありますよ。どのような飲み方で?」

「ストレートできる?」

「出来ますよ。ちょっと待って下さい。」


この時迷いましたね。つまみをウイスキー用にチョコレートを用意してあったのですがチョコレート食べるのかなって。見た目で生肉食系だからユッケの方がいいのかと思いました。まぁ自分にもお酒を美味しく頂いてもらいたいっていうプライドがあります。一様出してみてダメなら他のにしようと考えてると。


「あーお兄さん?チョコ用意してる?」

「え?ええ。ウイスキーにはチョコレートですからね。駄目ですか?」

「俺チョコレートアレルギーあるから駄目なんだよ。フルーツとかない?」

「あ、ああ。それなら・・・」


ちょっとまて、あんた狼だろ?肉じゃないの!女子かって心でツッコミ入れてましたよ。まぁでも用意します。ウイスキーのストレート、氷で冷やした炭酸水、パイナップルの輪切りを用意しました。初めて出すお酒ですからどきどきですよ。


「お待たせしました。」

「おーこりゃいいねー♪」

「当店自慢のウイスキーですからね。」

「いい香だ。あんた、いい鼻を持ってるね?」

「いえいえ、お客さんには負けますよ。」

「そうかい?実はあんた、狼の血が混ざってるんじゃないの?」

「違いますよ。正真正銘、人間ですよ。」

「あ、そうなの?てっきりなんかのモンスターかと思ってたよ。じゃなきゃこんな名前にしないって思ってたよ!」

「まぁ、名前は確かに間違えられるかも知れませんね。」

「そうなのか。あ、もう一杯お願い。」

「はい。わかりました。」


早っ!もう飲み終わったのかよ!普通なら炭酸水のチェイサーと一口ずつ呑むのが普通だぞ!なのにウイスキーだけ呑んで今はパイナップルを四当分にしてかじってる。狼男って酒に強いんだな。


「大丈夫ですか?一気に飲んだら喉が焼けますよ」

「大丈夫大丈夫!これがうまいんだからよー。このウイスキー美味いね。こりゃいいよ!」


正直嬉しいです。初めてのお客さんに高評価です。


「ありがとうございます。ところでお仕事は何をなさってるんですか?」

「俺?俺は今、食品メーカーで働いてるよ。」

「食品メーカー?どこの?」

「ド○ーマンだよ。」


ペットのご飯かよ!!


「いやー最近の犬は美食家だよなー。半生タイプのすき焼き味とかチキンライス味とかさ、贅沢だよなー。俺の小さい頃なんて食い物がありゃ幸せって時代だしな。」

「食べ物ですか。小さい頃はどのあたりにいたんですか?」

「イギリスにね。ちびっこのころだったからもー英語話せないかもなー。」

「イギリスですか。一度行ってみたいですね。」

「まぁ町は行ったことないんだけどさー」


自然だなオイ!!

まぁたわいのない話をして、こんなんで初のお客さんでしたね。

この人も気に入ってくれたのか、よく来てくれる方になってくれましたよ。

・・・できれば普通の人がよかったですけど。

いや、これからも普通の人がよかったです。

何故かここはモンスター達の集まるバーとなりましたよ。まぁ、文句は言えないです。お客さんですからね。そんなんで今日もここ、「Monster」は様々なお客さんで賑わってます。

そろそろ閉店です。

また明日。来て下さいね。

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