mission4-水島容疑者に制裁を加える方法を考案せよ
「じゃ、長月。考えて」
「はっ……はぁああ!?なんで俺が!?」
「うるせぇ、もう少し声落とせ。大丈夫大丈夫、イケるって。お前、中間テスト学年一位の秀才だし」
「それは別に関係ないんじゃないんですか?」
ブツブツ呟きながらも、長月はアプローチの方法を考えてくれているようだ。いい後輩だ。
「じゃあ、こういうのはどうですか?」
早速思い付いたらしい。実にいい後輩だ。
「まず、俺と宮木がそこの体育館裏に通じる道を歩いてくるんですよ。そしたら俺はその道の脇の通路を進んで物陰に隠れときます。
宮木はそのまま体育館裏の道を歩いていく。そして、水島の前まで来て、そうだなー……水島に足引っかけて転ぶとかして水島と接触。そこで水島が暴力を振るえば間違いなくあいつはクロ。そこに香本さんが制裁を加えに行って任務完了。
もし『何すんだてめぇ』位のもんで済んだとしても、一応敷地に無断で侵入してるんで、やっぱり香本さんが、その、ボディーなんちゃらとかその辺を喰らわせに来て下さい」
……前言撤回。やっぱりいい後輩じゃない。
「あのなぁ、お前さらっと仲間危険に晒そうとしてんじゃねぇよ。それじゃあ俺と宮木だけデンジャラスルートじゃねーか。しかもお前がわざわざ向こうまで付いてくなんて、必要全くねえだろうが」
「え、だって俺だって活躍したいですよー」
「……そういう事か……それはまぁどーでも良いとして。俺はまだしも、宮木なんかもうバリバリの文化系だぞ。何かあってもどうもできないんだぞ」
実際、宮木の所属している部活は演劇部である。
「だからですよ。宮木小柄だし、そういう背格好の方が狙われやすいはずです。それに、こいつ演劇部だからそういうの向いてますよ。多分俺だったらできないし。そしたら俺はビデオカメラ係やりますよ。先輩、ビデオカメラ貸してください」
一見ごもっともに思える理屈には、蟻の立ち入る隙間もない。俺はしぶしぶ長月にビデオカメラを手渡した。可愛くない後輩だ。