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mission2-夕日ヶ丘学園高等部犯罪捜査本部の活動内容について説明せよ

「こちら、香本(こうもと)より幹部へ。出足上々。ターゲットをおよそ三分前に発見しました」

「幹部より香本へ。分かった、追跡を続行してくれ。それから、一年は様子が見える場所で待機。香本、今どこだ?」

「こちら香本。今体育館裏側です」

「幹部より香本へ。了解。指示変更、一年、至急体育館裏側へ移動」

「こちら一年、長月(ながつき)より幹部へ。了解しました。現在一年、宮木(みやぎ)と体育館裏側へ移動中です」

「こちら幹部。了解、一旦無線を中断する。動きがあれば逐一報告すること。以上」

 その説明を聞き、俺はターゲットに見つからないよう、静かに楽な体勢をとった。

 少し註釈が必要だろう。

 俺の名は香本(こうもと)陵介(りょうすけ)。夕日ヶ丘学園高等学校二年。そして、犯罪捜査本部所属だ。

 この「犯罪捜査本部」について少し説明を加えるとするならば、まず、犯罪捜査本部は部活ではない。言ってみると、生徒会組織の裏にある「裏の生徒会」のようなものだ(まあ、基本的には学実として活動しているのだが)。活動内容は口外禁止で、一般の生徒はその活動内容を知らない。知っているのは校長、教頭、一部の先生方。あと、さわりの部分だけをその他の先生方と生徒会が知っている。

 ちなみに、捜査本部長である空影(そらかげ)大智(だいち)先輩が先代捜査本部長に聞いたところによると、「捜査本部の活動内容を口外した者には厳重な処罰が下される」らしいが、誰も処罰された者など見たことがないし、口外しようとする暇人もいないので、「厳重な処罰」が何なのか、未だに誰も知っている人はいない。

 ……というか、そもそも処罰があるのかどうかさえ怪しい。でも、皆一応本当にあった時の事を考えてはいて(流石に考えない程馬鹿ではない)、現在も捜査本部の活動内容はしっかりと機密事項として守られている。

 で、その謎に包まれた(?)活動内容の実態は、ざっくり言うと、「学園の様々なトラブルを出来る限りなかったことにする」というものだ。

 実はここ、夕日ヶ丘学園高等学校は、生徒達が気づいていないだけで、治安の方は悪い意味で物凄い事になっている。捜査本部は、そのあまりの治安の悪さに閉口して第うんちゃら代校長が秘密裏に創部したものなのだそうで。

その役割を、学園祭の前後以外は基本的に暇な「学園祭実行委員会」に振った適当さには拳を握りたくなるものがあるが、この秘密裏に創部を行った第うんちゃら代校長の判断は正しかったと言わざるを得ないだろう。ただでさえ少子化の煽りを受けて、学級の数も減らす方向へと検討していると聞く。その上治安も悪いとなったら、入学志望者が激減、という未来が待っているのは火を見るよりも明らかだ。第うんちゃら代校長もとんでもない英断を下したものである。

 でもまぁ、非道だ、外道だと言われてしまえばそれまでかもしれない。しかし、たとえ非道や外道であったとしても、俺達犯罪捜査本部は今日もただ学園の為に身を賭して様々なトラブルと戦うのみである。それが犯罪捜査本部の悲しい性であり、また宿命なのだそうだ。

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