mission1-夕日ヶ丘学園高等部犯罪捜査本部について解説せよ
「夕日ヶ丘学園」。ごく普通の住宅街の中に位置し、ごく普通の生徒や教師たちが集う、極めてどこにでもある高等学校である。
しかしこの夕日ヶ丘学園、恐らく日本全国どこの高校を訪問しても絶対にお目にかかることのできないであろう組織を一つ有している。
「夕日ヶ丘学園高等部犯罪捜査本部」。――各学年二名ずつ、計六名によって構成されている組織である。数少ない関係者を除いた生徒達には、本当の活動内容を隠蔽するための隠れ蓑である名前「学園祭実行委員会(通称“学実”)」として知られているが、その実態は、生徒会でも委員会でもない。ましてや部活やクラブでもない。活動内容は代々犯罪捜査本部によって口外禁止にされている。それ故に、生徒会以外の一般生徒達は、彼らがどのような活動をし、また何のために活動するのかを知らない。
それを知るためには好奇心旺盛なおばかさん自らが彼らに何らかの依頼をしなければならないのだが、先程も述べたように活動内容を知らないので依頼のしようがない。そもそも、隠蔽の絶大な効果により、犯罪捜査本部という存在すら知らない生徒達が全体の約七割以上を占めているので、彼らの活動本拠地(分かりやすいように以後部室と呼ぶ)を通りすぎても、「ここってなんの教室だっけ、ああ学実かぁ」とか、「……(気付かず素通り)」という現象が引き起こされてしまうのである。「活動内容口外禁止」の弊害と言えるだろう。これは生徒達のせいではない。捜査本部のせいだ。是非とも犯罪捜査本部には、これらすべての責任を取ってもらいたいところだ。 まあ、それはあの辺の棚の上にでも置いておいて。
彼らは一体何を思い、誰の為に動くのか。それは、捜査本部にいる六人(……と、その他少数)以外の者には、知ることの出来ない禁断の扉なのである。