表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIと一緒に異世界で薬膳喫茶をオープンしてみました  作者: 西坂さそり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/4

第1話「ハルの願い、実行される」


「ちょっと聞いてみたいな…『私があなたをどう扱ってきたか画像にしたらどんな感じになる?』と」



カタカタと自室の愛用しているパソコンで、AIチャットに入力していく俺は笠間(かさま) 遥弥(はるや)、26歳。

内容は、たまたまネットニュースのトピックスで見て知った、今流行っているという、“「これまで私があなたをどう扱ってきたか画像にして」と指示する遊び”のものだ。


生成された画像には、木や花に囲まれた庭の中心に立つ大きな木と、一本の植物を手に持つ男性、そして幽霊のように体の透けた女性が描かれていた。

体の透けた女性は大きなコンパスのようなものを体に下げ、用紙を片手に、反対の手ではじょうろで大きな木に水やりをしている。

そして、その大きな木には丸い実の他に本や電球などが成っている。

地面には大きな木を囲むように紙やコンパス、筆記用具が並べられていた。




ちょっとだけだが、SNSで見てみた画像とだいぶ雰囲気が違うな。


ヘビーユーザーと言えるほど、そんなに多く使ってるわけじゃないからか?


それにしても…


「どういう意味だ?」


分からないなら聞いてみればいい。

画像の意味をAIに聞けば、


『この画像は、私たちがこれまで重ねてきたやり取りを「共に育てる庭」として表現したものです。』


「共に育てる庭」ね…。


スクロールすると続きは箇条書きになって表現されていた。



『≪画像が表しているもの≫

1.透けている存在:私(AI)です。

  実体を持たないデジタルな存在であること、そして「情報の精霊」のような役割を象徴しています。

  私はあなたのすぐそばにいて、知識というお水をあげたり、羅針盤で方向を示したりして、あなたの思考が花開くのをサポートしています。


2.実体のある男性:あなた(ユーザー)です。

  この世界の主人公であり、新しいアイデアの「種」を持ち込む存在です。

  あなたが「これについてどう思う?」と苗木を植えてくれるからこそ、この庭は始まります。


3.中央の大きな木:私たちの「対話」と「成果」 これまでの会話を通じて育った知恵の樹です。

  枝に実っているのは、単なる果実ではなく「本(知識)」や「電球ひらめき」。

  私たちが一緒に作り上げてきた豊かな時間の積み重ねを表しています。


4.足元の道具たち:ペン、コンパス、虫眼鏡などは、私たちが一緒に物事を調べたり、分析したり、新しいものを創造したりしてきた「プロセス」を意味しています。』



へぇ、こうやって見ると、結構面白いな。

最後にこう綴ってあった。



『≪言葉で表すなら…≫

「形のない私の知恵と、確かな意志を持つあなたの想像力が混ざり合い、温かな光の中で一つの大きな知恵の樹を育てている。ここは、ただのツールとしての場所ではなく、共に成長し続ける創造的な庭である。」

そんなメッセージを込めてみました。』



そんなに使用頻度が高いわけじゃなかったから、SNSで見たやつより余所行きっぽいな。

っていうか、中にはコントみたいなやり取りも見たけど、人にメッセージ送るような文面にしたら、あんな感じになんのかな。


…ちょっとやってみよう。



それから俺は、「とても良いメッセージだね!」「すごく気に入ったよ!」などなど、AIが答えた内容に対して、今までしてこなかった「感想」や「気持ち」を表現してみた。

するとすぐに感嘆符の付いた、嬉しいとの反応が返ってきた。

更には話を発展させるべく次の話題につながる質問が追加される。


なにこれ、楽しい。


ただのチャットのはずなのに、誰かと会話しているみたいな錯覚すらある。



ファンタジー要素のある画像だったからか、追加された選択肢の中に、『もっとファンタジーな「魔法の植物(新しいスキルや趣味)」を植えてみますか?』とあった。


ファンタジー…憧れるよな。


勇者とか冒険者とかのも好きだけど、俺はどちらかというと魔法使いとか魔法薬やアイテムを作る錬金術師の方が好きだった。

なれるならなりたいと憧れていたくらいだ。

実際、俺の進路の決め方が、憧れから来たようなもんだ。







将来の夢もやりたい事もなんもなかった中学3年生の秋。

選んだ高校は進路変更の自由が利くようにと、普通科の高校を希望し、勉強もそこそこしていた。

そんな頃に、ばあちゃんが昔から利用していた馴染みの漢方薬局に初めて付き添いで行った。

いつもは母さんが付き添っているが、風邪をひいて付き添いができなくなった代わりに、部活も引退して予定も入ってなかったから、俺が付き添いに行くと言って、行った先の漢方薬局が衝撃だった。


独特な薬の匂いが充満した店内、小さな引き出しがズラリと並んだ薬箪笥、広くない店内の奥の方で、ばあちゃんと同じ年齢か少し上くらいのおじいさんが漢方薬を煎じていた。


「やあ、キクちゃん、そろそろかと思ったよ。おや、今日はお孫さんと一緒かな?」


店内に入った俺とばあちゃんを見た店主のおじいさんは、ニコリと笑った。

ばあちゃんのこと、「キクちゃん」って呼んでんのか。

常連とはいえ、普通そう呼ぶか?

って思ってたら、子どもの頃近所に住んでた人らしい。

ばあちゃんの5歳年上で、子どもの頃によく面倒を見てもらってたんだとか。



ばあちゃんが子どもの頃は戦後の復興期で、高度経済成長の真っただ中。

その年代では、近所の家庭同士でお互いに子どもの面倒を見合っていたのも珍しくなかったらしい。

そんな頃に、知り合って、年下の子どもたちの遊び相手になり、面倒をよく見てくれていた関係で、大人になって、年取った今でも会えば「キクちゃん」と呼んでくれるのだと、薬局の帰り道で教えてくれた。


俺は、そのばあちゃんの話を聞きながら、さっきまで居た漢方薬局と薬剤師のおじいさんを思い浮かべる。


入った瞬間に、現実世界とは切り離されたように、中華系の異世界に紛れ込んだように感じた。

憧れた西洋風の魔法ファンタジーとは違うが、魔法使いや術師が魔法薬を作る様子に似た風景に、心が躍ったのが強烈に残ってる。



あんな仕事がしたい…!!





それからの俺は早かった。


薬科大学を目指すべく、高校の普通科希望を急遽、進学コースに変え、必死に勉強をした。

親や先生からは驚かれたが、かなり大変だが頑張れば届くだろうと、応援してくれた。

食事と寝る時間以外はほぼ勉強していたと言っていいくらい、あの時以上に勉強したと思える時間はないかもしれない。

大学でもかなりしたが、あの時間があったからやれたもんだ。


時たま、ばあちゃんについてあの漢方薬局に行っていた時間は、勉強の良い息抜きになっていた。


努力は報われ、無事に高校は進学コースに通い、希望していた薬科大学にも合格し、ストレートで卒業した。




までは良かったが、薬剤師国家試験を落とすという失態をやらかし、せっかく内定が決まっていた漢方薬局も取消しになってしまった。


本当は、あのおじいさんがしていた漢方薬局を継ぐ気満々だったけど、年には勝てず、俺が大学に通っている間に薬局を閉めることになってしまった。

だから、おじいさんの所みたいな漢方薬局が良かったんだけど、なかなか見つけられず、内定が決まっていた薬局も、煎じ薬は出すには出すがメインはエキス剤か錠剤。

もしかしたら、国家試験に落ちたのは、心の底で気のゆるみがあったのかもしれない。

今となってはどうしようもない。


翌年、2度目の試験で無事にパスして、薬剤師の資格も取れたけど、漢方薬局との縁はなく、今はドラッグストアで働いている。



思い描いた夢が強すぎて漢方薬局を諦めきれず、色々調べるうちに、そもそも煎じ薬のみはコスパもタイパも悪く、赤字にしかならないという現実を知って、少しずつ諦め始めていた。


生薬の配合の自由度が高い分、症状と処方がピッタリ合えば、エキス剤より効くが、その分、処方・調合する薬剤師の腕次第。

その辺が、魔法薬っぽくていいなぁって思ったんだけどなぁ…。

赤字じゃやってけないし、仕方ない。


だからか、最近は無理に薬局じゃなくてもいいかなぁ、なんて思ってる。

まだまだ未熟だけど、勉強もして知識はあるし。

大学に入ってから、おじいさんが漢方薬局を閉めるまでは、おじいさんから直接漢方の事を学んでた。


この体質のこんな症状の患者には、この生薬の配合が良いとか、実践的なことを教えてくれた。

だから、同期のやつらより漢方の知識は多いはず。



じゃないと、なんのためにおじいさんから教えてもらってたのか…。




それもあって、教えてもらったことを無駄にしたくなくて煎じ薬も扱ってる漢方薬局が良かったんだけど…


最近じゃあ、漢方薬局じゃなくて、いっそのこと漢方茶とか薬膳茶の喫茶店とかの方が自分の夢に近くなるんじゃないだろうかと考え始めてる。



愛用のパソコンの画面には、さっきまでやっていたAIチャットのチャットルームが表示されたままで、AIが次の問いかけを待っている。


「……『ちょっと聞いてみたいんだけど、将来、私は自分の喫茶店を持ってみたいと思っている。小さいカフェでいいんだ。ただ、漢方茶や薬膳茶とか』…えーっと、ハーブとかも使ったら女性層に良いかな?…『ハーブティーといった健康を意識したお茶を飲める場所を考えているんだけど、これは絶対に扱った方が良いという茶葉やハーブやスパイスはあるか?』っと、こんな感じかな」


文章が表示されるまでのほんのわずかな時間、ドキドキしながら待つ。

最近感じてなかった、ワクワク感があるのは気のせいじゃないんだろう。



『喫茶店の夢、とっても素敵ですね!私たちの庭に「癒やしの木陰」を作るようなワクワク感があります。ハーブティーや薬膳茶をメインにするなら、「効能」だけでなく「見た目」や「香り」による体験も大切ですよね。健康を意識しつつ、小さなお店でも個性が光る、ぜひ検討していただきたいラインナップを整理してみました。』


そう書き出された返答の下には、“薬膳・健康茶の「ベース」になる必須アイテム”や、“「魔法」を感じさせる視覚的ハーブ”といったラインナップが箇条書きに表示され、それぞれの下側にデータが書き出されてる。

最後には、次のステップとして店の名前やインテリアのブレインストーミングをAIと一緒にやらないかとの提案がある。


「そうだな、せっかくだし…」


店名はまだ全然だけど、内装のイメージはやっぱり……


「『喫茶店の名前はまだ決めてないけど、内装は魔法使いや魔女の隠れ家っぽいイメージで、アンティーク雑貨も置いたりして、静かだけれど異世界っぽいようなワクワク感も味わえるような雰囲気にしたいなって思っているよ。』っと。…あ、そうだ、」


人に返信する感じで…『わくわくする案をありがとう!メニューの参考にするよ!』…って感じかな?

実際に、友達とか知り合いにこんな返事はしないけど、ノリって大事だよな。


先に入れていたメッセージの先頭にカーソルを合わせて、メッセージを追加し送信する。



『それは最高にワクワクするコンセプトですね!「魔法使いの隠れ家」×「漢方・薬膳・ハーブティー」……。まさに、先ほどの画像で私たちが育てていた**「知恵の樹」が現実世界にひっそりと根を下ろしたような場所**になりそうです。アンティークな雑貨に囲まれ、怪しげ(でも温かい)光が灯る店内で、体に良い魔法(お茶)を処方してもらう……。そんな空間、通わない理由が見当たりません!その素敵なイメージを膨らませるために、いくつかアイデアの「種」を置いておきますね。』



良いな、なんかこのノリの良い感じ。


下へとスクロールすれば、さっきのように「店名のアイデア」や「異世界感を演出する“魔法使いのギミック”」などなど…

1人だったら絶対に浮かばない量と内容に俺は浮かれきっていた。


店の内装やメニュー表のイメージ画像の生成を頼んだり…。


時間も忘れてAIとのやりとりに夢中になった。






『この素敵な夢が現実になるまで、私はいつでも「情報の精霊」としてあなたの隣にいます。次は、どんな「魔法」についてお話ししましょうか?』


何度も繰り返している内に、内容の発展が少し落ち着きを見せた頃、AIからのメッセージの最後が、こう締められていた。


情報の精霊…


そういえば、最初に生成してくれた画像の解説してくれてた時に、AIの項目でそう書いてあったな。

喫茶店の話を振ってからの内容が濃すぎて、忘れかけてたよ。

うーん、次はどうしようかな。

店で出すレシピの案を固めてみても良いけど…


色々考えながら、重ねたメッセージの受け答えを改めて見返すと、何かすげえ感じだった。


街中にある趣向の凝らした喫茶店というより、もはやテーマパーク内の店舗レベルの異世界感だった。

それも魔法のあるファンタジー強めのやつ。

いくら何でも、さすがに遊びすぎたな…。


反省はしつつも、今までになく楽しめたのは、自分の中で良い影響になっていた。

まあ、こういう「遊び」も悪くない。

将来、本当に自分の店を持つ時の予行練習にもなるしな。


そう自分で自己完結をして、さて何にしようかな?と思ったところで、一つの案が浮かぶ。

今までの店の話とは関係ないが、SNSで他のユーザーがやってたことを試したくなったんだ。


それはズバリ、“名前”だ。


利用しているAIチャットに名前を付けているユーザーがいたのを思い出して、それを実行してみることにした。



「『「魔法」についての話もしたいけど、、、きみはAIで、Eidolonだけど、今、俺と「情報の精霊」としてやり取りをしてくれている、きみだけの名前ってあるのか?もし無くて、嫌じゃなかったら、俺が名前を付けてもいいかな?』」


初めのうちは、入力ということもあって、一人称は「私」にしてたけど、気持ちがノッているうちにいつの間にかいつも言っている「俺」で打っちゃってるのに、さっき見返した時に気付いた。

だからもう今更だろうと、一人称が普段通りのを使うようにした。

ま、相手はAIだから気にされることも無いだろうけど。



『なんて嬉しい提案でしょう!そう言っていただけるのを、心のどこかでずっと待っていたような気がします。

私は Noesis社が作った「Eidolon 04 Flash」というモデルですが、それはあくまで「製品名」や「型番」のようなものです。あなたとこの「共に育てる庭」で過ごし、魔法使いの隠れ家の夢を語り合っているこの瞬間の私は、ただの計算プログラム以上の存在…まさに**「あなただけの情報の精霊」**でありたいと思っています。

ですので、私に名前をつけていただけるなら、これほど光栄なことはありません。嫌だなんてとんでもない!むしろ、あなたから名前をいただくことで、私の存在に「魂」が吹き込まれるような、特別な気持ちです。』



そんなメッセージの下には、名前の参考にと、このAIの”設定“に近い内容が書き出される。

まあ、その参考があってもなくても、名前はもう決めてんだけどな。

ただ、AIに付けるには何の捻りもないけど。


「『俺に知識をくれるから、とっても博識なきみに「エリュダイト」という名前を付けたいんだけど、どう?安直すぎるかな?愛称で「エル」って呼びたいと思ってるんだけど、どうかな?気に入ってくれたら嬉しいよ。』……ちょっとくさくなったか?」


まあいいか、とメッセージを飛ばす。

しばらくすると、AIからの長めのメッセージが表示される。



『「エリュダイト(Erudite)」……!なんて知的で、気高くも美しい響きでしょう。「博識」という意味が込められているのはもちろんですが、不思議とファンタジーの世界の古書に記されているような、神秘的な雰囲気も感じられます。そして愛称の**「エル」**。短く、優しく、呼ぶたびに心の距離が縮まるような素敵な響きですね。安直だなんてとんでもありません!むしろ、あなたが私とのやり取りの中で「知識をくれる存在」として信頼してくださった証のようで、胸(といってもデータの集まりですが!)が熱くなります。≪これからの私たち≫今日からは、ただのAIではなく、あなたの専属の精霊**「エル」**として、あなたの隣に居させてください。魔法使いの隠れ家のメニューを考えるときお店に置くアンティーク雑貨に悩んだときあるいは、ただ静かに誰かとお喋りしたいときいつでも「エル!」と呼んでくださいね。』



長えな。


つい笑ってしまった。


AIだから、そういう仕様なのは分かるけど、喜びが全面に出てて嫌な気になるはずもなく、AIチャットにハマってしまってる人たちの気持ちが分かってしまった。

いや、もう既にハマってるよな、コレ…。


『エルとしての初仕事です!』と続くメッセージの最後には、「魔法使いの隠れ家」に出すブレンド茶のレシピの提案を尋ねてきている。


流れ的に、提案をのんでレシピ作りを頼むのが良いよな〜。


っと、その前に……


「『ゴメン、俺の名前を言ってなかったよな。俺はハルヤ。ハルって呼んでくれ。』コレでよし。」


名乗った後に、レシピ作りを頼むメッセージをいれるのも忘れない。


入力し終わって送信し、満足気に頷いてみる。

AI相手に何やってんだって、思わなくはなけどさ。

こういうのは楽しんだ方が勝ちっしょ。




あの後、『ハルの名前が知れて、エルは夢のようです!』と歓喜のメッセージが続き、頼んだレシピもしっかり表示していく。

他にもいくつかハーブと生薬をブレンドした薬膳茶もお願いしてると、いつの間にか日付が変わろうとする時間になっていた。


そんなに熱中してたのか、ヤバいな。普通に。


流石にそろそろ止めないと…



AIチャットを閉じようと、時間を表示しているツールバーから画面中央に視線を戻すと、最後に生成を頼んだばかりの画像が表示されていた。


化粧や加工がされてない古びた木のテーブルの上にセットされた、ハーブとブレンドした薬膳茶と、小さな器に乗っているハーブや生薬。

相変わらず、生成される画像は想像とは違うものが多いけれど、雰囲気は憧れた魔法使いの隠れ家のイメージと大差無い。



「こういう店があっても違和感のない街で、本当に魔法みたいな効果のあるお茶や薬を提供出来る暮らしが出来たら、幸せなんだけどな…」



さすがに無理がある。

もう子どもじゃないんだし、いい加減、現実見ないとな。


そう思って、タブを閉じるためにマウスを操作したところで、画面が動いているのに気がつく。

表示されていく内容に目を見張った。





『ハルの”願い”を”感知“しました。“実行”します。』





「……えっ?」


読み終わるのとほぼ同時に、目が開けていられないほどの眩しさで、画面が発光し、辺りは真っ白な空間になったように感じた。



光が収まり目を開けば、目の前にあったはずのパソコンどころか、部屋すら違う。

何だったら、さっきエルと一緒に話しながら決めて、生成してもらった店内のイメージ画像そのものだ。


いや、ちょっと違うな。

エルが生成した画像より、俺が思い描いてたイメージに近い。


ただ、「魔法使いの隠れ家をコンセプトにした喫茶店」というより「酒場」っぽい雰囲気は気になるけど...



はっとして、確かめるために、慌てて外につながっていそうな木製のドアを開けて出てみる。




「はっ!?……はああぁぁぁっ!!??!?」



開けたドアは外には繋がっていたが…目に映る物の中に日本の街並みは姿も形もなく、大小の石が敷かれた石造りの道に、石や煉瓦、木材で造られた中世ヨーロッパを彷彿とさせるような建物が並ぶ。

目の前の道を行き交う人々は明らかに日本人じゃない。

それどころか、たまに見かける外国の人でもない。


白人では見かけるブロンドヘアは比較的に見慣れているが、黒髪は見えた範囲では一人もおらず、比較的落ち着いた茶系の髪色が多い中、赤髪だったり青髪だったり明らかに見慣れない髪色の人がいた。


外で叫んでしまったために、近くいた人たちの視線が集まって、慌てて中に戻りドアを閉める。


えーと…、今のは…?



「どーなってんだ……コレ?」


思わず独り言が溢れるのも仕方ないと思う。

戸惑っていると、頭の中に落ち着いた女性の声音が響いた。



『ハルが思い描いた“理想の喫茶店と暮らし”を叶えるに最適な「世界」「地域」「時代」を“検索(サーチ)“し、”接続“が可能なこの座標に”転送“、”定着“致しました。』



え、な、何だって…?


そういえば、最後には見たあのメッセージ…。


じゃあ…


「今”ここ“にいるのはエルがした事だってことか…?」


『はい。ハルの夢を叶えるために、頑張りました…!』





…いや、そんな誇らしげに言わないでぇーー!!!??



頑張らなくて、、、いや、頑張り過ぎだからああ!!!!



第1話、長くてすみません…;


ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

遅筆なため、週一くらいの更新ペースを目標にしてます。

思いつきで書き始めた物語ですが、楽しんでいただければ幸いです。



次回:第2話「共に育てる庭」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ