Xデーまで残り二週間
二週間後。
見学室で、操縦士と開発研究委員長の会話が聞こえる。
「今日の検査の結果ですが、至急発射GATEが少し開口したようだ。」
「本当ですか!遂に開き始めたんですね。」
二人は床を見ながら話す。
設備スタッフが至急発射GATE先の配管調査から帰ってきて、開発研究委員長にレポートを渡した。
「そう。
至急発射GATE先の配管も柔らかく、問題なし。」
至急発射GATEの先の配管は約10m。
短い距離ではあるが、ベビーホーガンが近々通過する重要な配管だ。配管が柔らかい程、通過しやすい。
ベビーホーガンの様子を見に行く。
設備スタッフが取り扱っている身長計・体重計・NSTBG(超音波・レーダー・マイクロホンなどを使用したベビーホーガン専用のエンジン鼓動感知器及び母船にあるベビーホーガン部屋の収縮感知器)で、前回同様にベビーホーガンの身長・体重・エンジンの鼓動とベビーホーガン部屋の状況などを検査していく。
ベビーホーガンがいる部屋は、所謂突貫で作られた部屋である。
他の母船の部屋に比べ、圧力に対する耐久が弱い様に作られており、部屋の張り具合を調べることができる。
前回より卵カプセルと台座の距離が縮まっていそうだ。
「ベビーホーガンは正常に動いている。
前回より至急発射GATEに近づいているが、まだ下に降りてきてない。
1週間通常通り過ごして変化がなければ、また来週検査だ。」
「分かりました。
後、追加で鉄を補充しても構わないですか。
母体の動きが良くて。」
研究開発委員長に鉄の補充をしたい旨を伝えた。
「一度検査を入れよう。すぐに結果が出る。」
鉄の補充検査を終えて約数分後、操縦士は他の開発研究所所員Aに検査室に案内され、また開発研究委員長と話す。
「鉄はまだ足りないようだ。補充して良いでしょう。
他に質問はありますか。」
「NSTBGの検査中に、母船の振動探知機が不規則に反応していましてね。」
と情報共有した。
開発研究所所員Aから
「NSTBG検査上、問題なしでした!」
との回答をいただいた。
「他は問題なさそうです。今回の検査は以上です。」
検査が終わる。
開発研究委員長は別の部屋に消え、操縦士は長い廊下から母船のコックピットに戻った。
(検査している間に振動を感知してたが、何も反応してなかったか。)
操縦士は、母船感知機を分析しながらも、とりあえず鉄を補充することにした。