逆ナンされたと思ったら、担任の女性教師でした。
皆さんこんにちは!
一作品ボツったので悲しくなった抹茶風レモンティーです!
楽しんで頂けたら幸いです!
「ねぇねぇ、そこのお兄さん。今一人?良かったらちょっとお茶していかない?良いカフェ知ってるんだよね」
俺、時川咲耶は人生で初めて逆ナンされていた……担任の先生に…
………
時は遡って今日の学校の昼休み。
俺は友人達にババ抜きで5連敗していた。
「…なぁ、いくらなんでも咲耶弱すぎじゃない?」
「何でこんなに負けてるんだよ!?お前ら実はイカサマしてるんじゃないか!?それともドッキリか?!」
「咲耶顔に出過ぎなんだよ。…あっ、良いこと思い付いた!次負けたやつ罰ゲームな!」
「おいっ!明らかに狙ってるだろ!俺はそんなの認めないからな!」
このタイミングで罰ゲーム付きのババ抜きをするなんてそいつは紛れもないバカだろう。
俺は知的でクレバーだからそんな手には乗らんぞ!
「えっ、もしかして咲耶、ビビってんの?」
…
「始める前から負けた気で居るとかまじ!?」
……
「まぁでも咲耶は弱いし、仕方ないかぁ」
………
「良いだろう!受けてやろうじゃないか!一位抜けしてやるよ!!」
この俺を挑発するなんて…後悔させてやろう!
「…こいつバカか?…」
「っん、なんか言ったか?」
「いや何も?」
「じゃあ早く配ろうぜ!」
ふっふっふっ、次は圧勝してやる!
………
っとまあ、お察しのとおり連敗記録を更新して罰ゲームでショッピングモールで逆ナンされるまでぶらつく事になったのだった。
…まさか本当に逆ナンされるなんて思わなかったし、相手が担任とは、出来すぎじゃないだろうか?
俺のクラスの担任は新卒2年目で担任を持つことになった、出世街道まっしぐらの女性、若宮流華先生だ。
あだ名は若宮と流華から取って神るか先生。授業も分かりやすくて面白く、しかも美人だから生徒の間で特に慕われていてこのあだ名がついた。
…まさか逆ナンするようなタイプだとは思わなかったけど。
…神るか先生、俺が生徒だって気づいてないよな?生徒に手を出すなんて一発でアウトだし。
…ここで逃がして逆ナンの待ち直しになるのも嫌だし、生徒だってこと隠しちゃうか。万が一ばれても偶然出会っただけでやましい事がある訳でも無いし。
「今ちょうど一人で暇していたんですよ。実は友達との罰ゲームでこの辺をぶらぶらして逆ナン待ちしろって言われてたんですよね。それでも良かったら一緒にお茶しませんか?」
あいつらとも話し合って、罰ゲームで逆ナン待ちしていた事は話しても良いことになっている。隠しているのも不誠実だろうって結論になったからな。
「お兄さん逆ナン待ちだったんだ!じゃあ都合良いじゃん!一緒にお茶しよ!」
「はい!喜んで!」
…良かった。どうやら罰ゲーム相手でも神るか先生は問題ないらしい。…なんかイメージ崩れていくなぁ。
そして俺は神るか先生に連れられて近くの喫茶店に入った。
「ところでお兄さんはなんてお名前何ですか?私は若宮流華って言います!流華って呼んでください!」
知ってますし、何なら毎日会ってます。
「自分は時川咲耶と言います。流華さんは大学生ですか?」
「咲耶君ですね!大学生に見えます?」
「はい、大学生3年生くらいかと。違いました?」
「ふふっ、実はもう社会人なんですよ!とある高校で教師をしています!」
知ってます。俺そこの生徒です。おべっか使ってごめんなさい。後、生徒の名前くらい覚えて下さい。少し悲しみますよ?
「そうなんですか!とてもお若いのでてっきり大学生かと、申し訳ない。高校の先生は大変でしょう?高校生は何かと元気な時期ですからね」
「そうなんですよぉー!生徒達は良い子達なんですけど、元気がすごくてですねー!毎日騒がしいんですよ。まぁ、それが教師をする上で楽しいことでもあるんですけどね?」
…騒がしくてすみません。
「大学では単位取るのに忙しくて恋愛する暇もなかったし、教師になったら生徒達のいちゃいちゃを近くで見ることになるしで落差がひどくて、私も恋愛したいなぁって思ってたらすごいかっこいいお兄さんがいて、ついつい声かけちゃったんですよ!すみませんこんなのに付き合って貰っちゃって」
「いえいえ、こちらの方がひどいですから気にしないで下さい。それに流華さんは美人ですから役得ですよ。」
…それに教室でいちゃいちゃしてるの間違いなくあいつらが付き合ってる彼女だし。めっちゃ迷惑かけてて本気で申し訳なくなってきた。
「美人だなんてまたまたぁー。もしかして咲耶君女性経験豊富ですか?」
「いえ、彼女いない歴年齢の悲しい男ですよ。」
「嘘だぁー!絶対女性の扱い慣れてますよね?」
もちろん女性との話し方はあいつらに教わった。
「分かった!職場に女性が多いとか?お仕事何されてるんですか?」
…学生って仕事やってます。
「仕事は株トレードの方を少しだけさせて頂いてます。まぁ、まだまだ勉強中の側面もあるのですが」
嘘は言ってないよ?父親が投資家だからそれの手伝いをたまにするくらいだけど?
「株ですか!咲耶君って凄いんですねぇ。私は株の事なんてちんぷんかんぷんですよ」
「いえいえ、本当にまだまだですので。ところですみません、一緒に写真お願い出来ますか?友人に証拠取ってこいって言われてて。見せる時はきちんと顔隠しますので」
「あっ、確かに証拠が必要ですよね!良いですよぉ!一緒に撮りましょう!」
無事ノルマ達成出来ました。良かった良かった。
「これでご友人との罰ゲームは終わったんですかね?」
「ええ、本当にありがとうございます」
「じゃあここからは罰ゲームじゃなくて咲耶君の意思で私と一緒に居てくれますか?…それともここでお別れですか?」
罰ゲームは達成したけどここで「はい!さようなら!」は流石にひどいよな。
「まさか!迷惑でなければまだまだご一緒したいですよ!」
「良かったです!じゃあこの後、映画でも見に行きませんか?気になっている作品があるんですよ!これなんですけど!」
「良いですね!その作品、自分も気になっていたんですよ!」
「じゃあ一緒に行きましょうか!」
っん?これ本格的にデートになってない?ばれたらもしかしてまずい!?…気をつけよっ。
―映画館―
「咲耶君!楽しみですねぇ!」
「そうですね!…あっあの、すみません。少々お手洗いに行って来ても良いでしょうか?」
「あっ、全然大丈夫ですよ!待ってますね!」
…
「ねぇ、ちょっとくらい良いじゃん。一人で映画なんてつまらないよ」
「そうそう!俺たちと一緒に遊ぼうよ!とっても楽しい事してあげるからさ!」
「嫌です、触らないで下さい!」
「良いから一緒に来いよ!!!」
「っきゃあっ!!」
そして戻ってきたら神るか先生がナンパされてました。…逆ナンした人が普通のナンパされるとは、これ如何に。
…ってか流石に度が過ぎてるし助けないと!。
「おいっ!あんたら!神るか先生に何してくれてんだ!」
「なんだ、このガキ!邪魔すんなよ!!!おらぁ!!!」
俺一応、合気道経験者だから近距離で無傷で制圧するの得意なんだよね。
「はあっ!」
「痛っ!このクソガキィ!!」
いくら暴れようとしても力が入らないように押さえてるから無駄だぞ。高校生と大人なんて体格差もほとんどないしな。
「まだやるなら警察呼ぶぞ!」
「っく、覚えてろよ!」
…ずいぶん典型的なセリフを吐いて帰るんだな。
―若宮流華視点―
私は今日、人生で初めてのナンパで人生が終わりそうになっている。…どうしてこうなったんだろう?
……………
そろそろ結婚を視野に入れ始める26歳になった私は焦っていた。
大学では教員免許取得のために単位をたくさん取らなくちゃいけなくて恋愛なんて無縁の生活を送っていたし、教師になってからは授業やテストの準備で大忙し。もちろん彼氏なんて出来なかった。
…生徒達には付き合ってる子も居るのに。
そこで大学時代の友人に相談したところ、
「ショッピングモールでもふらふらして逆ナンしてくれば良いじゃん」
という助言を頂いて私はすぐさまショッピングモールへ出掛けた。
…今考えたらこれが良くなかった。何で逆ナンなんて成功すると思ったのだろう?…まぁ、成功はしたんだけど。
ショッピングモールに出掛けた私はすぐにかっこいい男性に出会ったので早速声をかけることにした。
「ねぇねぇ、そこのお兄さん。今一人?良かったらちょっとお茶していかない?良いカフェ知ってるんだよね」
いかにもチャラそうな発言だったけど、その男性は優しく私の話に乗ってくれた。どうやら罰ゲームで逆ナン待ちだったらしい。
自分から罰ゲームの事を話してくれたし、誠実そうな男性だったので私は罰ゲームでも気にしない事にした。
…そもそも社会人が罰ゲームなんてしない事に気づいていれば良かったのに。
そしてお互いの自己紹介や咲耶さんの罰ゲームの証明写真を撮り終わった私たちは一緒に映画を見に行くことになった。
…この時には私は咲耶さんに引かれてきていた。この人、とても優しいのだ。私が教師にあるまじき行為である、生徒の愚痴を言ってもなんだか申し訳なさそうに真剣に聞いてくれるし、罰ゲームが終わってそのまま解散でも良いはずなのに私のわがままに付き合ってくれた。
その後、映画館に入って私はナンパされた。
自分もナンパした癖にナンパ慣れなんてしていない私は、下品な男二人に絡まれて怖かった。強引に腕を掴んでくるし、周りの人達も我関せずと言った態度で誰も助けてくれなかった。
そんな時、咲耶さんが戻ってきて男二人の前に立って庇ってくれた。
…私はその時に恋に落ちた。
…でもそれは恋に堕ちたの間違いだったかも知れない。
……………
「おいっ!あんたら!神るか先生に何してくれてんだ!」
…っえ?神るか先生?咲耶さんは私の事を"流華さん"って呼んでいたはず。それに今の呼び方は生徒達が私を呼ぶ呼び方…。
…
「大丈夫ですか、流華さん?すみません。まさか少し離れている間に、あんなやつが来るなんて」
「ああああの!咲耶君ってもしかして私のクラスの生徒っ…!?」
「えっ?」
「さっき私の事を神るか先生って。…もしかして私の自分の生徒に手を出そうとしてた!?…っえ教師人生2年目で終了!?」
嘘だよね…私、自分の生徒に恋してないよね…?
「あっ、一応神るか先生の担任してるクラスの時川咲耶って言います」
「…時川君、そういえば教室でいちゃいちゃしてるカップルの近くに居た…」
「それです!その時川です!って言うか自分が担任持ってるクラスの生徒の名前くらい覚えていて下さいよ。少し傷つきましたよ」
…終わった。生徒に逆ナンした上に恋してしまうなんて…
「大丈夫ですよ、神るか先生!学校の誰かに見られた訳じゃないんだから!」
…そうだよね…誰にも見られてないし、明日からいつも通り無関係を装って貰えれば何も問題はないよね…?
「あのさ、時川君!お願いだから今日の事は内密に…」
「もちろん分かってますよ!神るか先生!」
…
「それと…また今度、一緒に出掛けてくれないかな?」
…私の気持ち以外…