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たださみしかっただけ  作者: 朝月
三章 警察
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No.25 側から見れば殺人現場

 警察が去った後はそれはもう慌ただしいものだった。

 レイがヒガンの残した血溜まりを掃除している間にソルとキルは診療所に移動した。

 それは別にいいのだが、やっとの思いで綺麗にした床に満足して食事処に降りてみれば先程までの床なんて汚れとしてカウントされないんじゃないかと思えるような光景。

 血、壊れたテーブルや椅子、血、熊が来たのではないかと思うような大きな引っ掻き傷のある壁、そしてまた血。


「……掃除しましょうか」


 唖然と店内を見つめていると壊れていない椅子に座って苦笑いをしているフォミ。

 腕からは血が滴っている。


「そんな事より早く治してもらって?!」


 全然動こうとしないフォミを押してソルに預けて、残っているフィーとエン、いつの間にか店の前に立っていたリルとミルと一緒に掃除を始めた。


 掃除は案外早く終わった。

 終わったと言っても壁は今度ちゃんと直してもらうらしく、シートを被せただけで、家具だけは予備が沢山あるようで入れ替えるだけだった。

 しかし血は乾いてしまって中々取れずに残っている。

――床の血どうするの、これ。

 ある程度片付けが終わって見て見ぬ振りもできなくなってきた頃、リルが咳払いをして注意を集める。


「皆お疲れ様、今回は後処理も含めて色々大変だったね。それで僕から報告なんだけど礫君と話した結果、約束通りミル君は解放されて指名手配も取り下げだ! それに何でも屋の方も見て見ぬ振りしてくれる事になったよ! まあ、違法な仕事も普通に依頼されるから前と変わらず口外禁止だけどね!」


 そのままここで会議をするつもりみたいだ。

 血の匂いに慣れてしまった事に気づき悲しくなる。


「君付けするなよ……警察のトップだぞ……」


「リルはいい意味でも悪い意味でも皆に平等だから……」


「え、オレも女の子なら誰でも平等にちゃん付けするけど?」


 エンがまるで犯罪者を見るかのような目でリルを見ているので不思議だ。

 ミルの言う悪い意味での平等とはどういう意味なのだろうか。

 それがわからないからダメなんだろう。

 エンの呆れたような視線が今度はこちらに向けられる。


「お前らいつか消されるぞ」


 ヤクザの世界怖い。

 苦笑いで返しておこう。


「それで僕は礫君と話してたから知らないんだけど、後の二人の相手は大丈夫だったの?」


「……」


 礫の話が出るとミルが少し元気が無くなる気がする。

 連れ去られそうになったんだから当たり前か。


「オレ達が相手したポニーテールはキルちゃんが一人で説得してくれたからここみたいにボロボロになってないから大丈夫だよ」


 エンが肩をすくませる。

――そうだと思った。消されるとか言われたお返しだよーっだ。


「私とフォミが猫化してる間にエンが勝負をつけてくれたわ。最初から本気で戦ってくれればこんな掃除しなくてもよかったのに」


 そこまで言ったら可哀想だと思って言わないであげたのに、それを言ってしまうのがフィーだ。

 もちろん本人に悪気はない。


「……待て。猫になってた時の記憶あるのか?!」


「あるわよ? 猫だった時に人の時の記憶はなかったけどね。元に戻ったら記憶も全部戻ったわ」


 エンが耳も尻尾も垂らして分かりやすく気を落とす。

――そういえば猫化って何だ?

 これ以上エンが落ち込まないようにさりげなくリルの隣に移動して小声で話しかける。


「何があったの?」


「シャーク君のケイルは人を動物化させるらしいんだけどね。それでフィー君が猫になってた間の記憶は残らないと思って本気出したらしいよ」


「やっぱり壁の傷はエンの鉤爪だったんだね、店が血だらけなのも納得」


 シャークのケイルの効果には多少驚いたが、その他は思った通りだった。

 この店で唯一異名とやらを持ってるエンは相当強いのだろう。

 敵に回さなくてよかったと心底思う。

……待てよ、そういえばミルちゃんも異名持ってるんだっけ。もしかしてこの子、エンと同じくらい強いのかな。

 自分が店を襲撃した時のことを思い出すが、ミルは薬にやられて戦っていなかった。

 そして今日は攫われてた。

 戦っているのを見たことがない。


「そういえば上の血の処理はレイ君がしてくれたんだよね? ついでにここもよろしく」


「えっ」


 先程までとは打って変わって少し大きめの声で床の処理を依頼される。

 エンの話をしていた事を隠す為に、今まで掃除の話をしていたかのような口ぶりでわざと他の人に聞こえるようにしているのだろう。

 見た目の割に気遣いできる人なんだなーと感心していたら――しまった、指名されてるじゃないか。

 しかも今度は完全に乾ききったやつ。

 取れなかったらどうするんだろう。

 朝一のお客さんが店に入ってきて悲鳴をあげる所まで安易に想像できる。

 そうなると責任を取らされるのはきっとレイだろう。

 深くため息を吐く。


「あっ!そういえば礫君達、また今度別件で来るらしいよ」


 声量に違いはあるものの全員の「えっ」という声が重なった。

 そしてフラフラとエンが床に倒れ込む。

 「そういえば内臓と骨ヤってたんだった」と聞こえた気がしたが多分気のせいだろう。

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