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たださみしかっただけ  作者: 朝月
三章 警察
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No.14 呪いをかけたのは誰

――普通じゃない。

 桃源郷に来る前に散々言われた言葉。

 この喋り方も格好も、忌力が少ない事も、他にも色々な事で、お前は普通じゃないと。

 何でそんな事言われないといけないのか考えた事もあったが――


「それに関しては別になにも思ってないが……」


「……そう、ですか」


 望んでいた返答ではなかったのか、口を継ぐんだように段々声は小さくなっていく。

 何かまずい事を言ってしまったのだろうか。


「さっきから質問の意図がわからない。それを知った所でお前に何のメリットがあるんだ?」


「……僕と貴方が似ていると思ったからです。僕はただでさえ異質な存在、それにレーベンしかいない警察に所属しています。シャークさんはトートですが、僕はトートでもレーベンでもありません」


 あの制帽被ってた奴、トートだったのか。


 今度はハッキリと前を向いて話すヒガン。

 しかしこちらを見ているはずの目はどこか遠くを見ている。


「僕が異質な存在だから故郷を両親と共に追い出され、最後には両親にも捨てられました。僕は何で生まれてきたんでしょうか? 僕は一体何なんでしょうか。僕はレーベンもトートもこの世も何もかもが嫌いです。貴方は違うんですか? 貴方はこの地獄のような現実を嫌わない……呪わないんですか? ――僕が本当に聞きたかったのはこれです、貴方はどうして笑っていられるんですか?」


「……」


 ヒガンは眉間に皺を寄せ苦しそうに胸を押さえる。

 話を遮る隙も無いほど切羽詰まったその様に既視感を覚える。


「それとも笑いたくないのに無理やり笑っているんですかッ?!」


 怒号に近しい大声がどこまで続いているのかわからない空間に響く。

 この子が欲しいのは多分――境遇の似ている者からの同調。

 この現実が憎い、呪っているとキルに言って欲しいのだろう。


「俺は……昔はこの世を呪った事もあった」


 話の内容からは考えられないほど柔らかい物腰で少し八の字眉になりならがゆっくり話す。

 それと対照的にヒガンは再び声を荒げる。


「ッ! なら何故ッ!」


「それは……」


 怯んでしまいそうな程真剣な眼差しに誠心誠意答えたい。

 その為にはどこから思い返せばいいのだろうか。


 ソルと初めて会った時、違うもっと前。

 暴力を振るわれるようになった時、違うもっと前。

 妹が生まれた時、違うもっと前。

 男装しようと決意した時、違うもっと前。

――そうだな、覚えてる中で一番古い記憶からだな。

 キルはそっと目を閉じる。

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