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たださみしかっただけ  作者: 朝月
三章 警察
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No.8 数百万の中の三番目

 ソルに言われるがままにゲートを通って桃源郷の事務所に移動した。

 ソルとハク、レイ、キルで三手に分かれて全ての階を探したがミルは見つからない。

 最上階で落ち合ってもう一度状況を整理する。


「そっちにはいたか?」


「いやいない」


「こっちにもいないよー」


 そんなに広くもない建物内で三人でミルを探すのはそんなに難しい事ではないと思っていた。

 しかしハクの鼻でもどこに行ったかわからないのは誤算だった。

 ハクは未だに床を匂って臭気追求しようとしているが、その仕草を見るに成果は得られそうにない。

 抱えたまま移動したか匂い消しを撒かれたか、はたまたその両方か、ハクが追ってくることを想定していたのか?


「建物内は粗方探した、あと探してないのは外だけだ。早く外に出ないと――」


「あっ! いたいた!」


 下へ降りる階段へと足を向けたと同時に茶髪の警察――ヒガンの声が最上階に響いた。

 意外と遅かったような気がするが、下から一つ一つの階を探してくれればいいと思って最上階を最後にしていたので、その策に運良く乗ってくれていたということだろう。


「あんまりチョロチョロしないでくださいよ。探すの面倒くさかったじゃないですか」


 そう言うと鞘から刀を抜き、ゆっくりとこちらに近づいてくる。


 話し合いは……無理そうだな。

 ソルがハクに隠れているように言い、ヒガンの出方を伺う。

 争い事はあまり好きではないが、トートに生まれた以上こういう事は避けられない。


「こうなる前にミルを見つけ出したかったんだが……」


「幸い三番手だからどうにかなるでしょ!」


 そう言ってレイがケイルを浮かび上がらせながら固有武器を構える。

 翼も広げて臨戦態勢だが、レイの長い武器と翼はこの場所では不利だ。

 ソルも固有武器を出す。

 しかしソルの固有武器も大きく小回りが効かない。

 やっぱり外に出ておきたかった。


「近い将来『副長』になるんであんまり舐められると気分良くないですね」


「そうだよ、警察が何人いると思ってるの? その中の三番目なんだから。言ってる意味わかる?」


「わかってるもん! 手を抜くとは言ってないし!」


 敵からも味方からも非難されて尻尾と翼をバタバタしながらむくれてる。

 準備はできた。


「……二人とも頼んだぞ」


 ソルとレイに目配せをすると、ヒガンもそれに気づいて刀を構える。

 普通の構え方とは違う。

 体勢を低くして刀は顔の横に構えている。


「それじゃあお互い準備もできてるようなんで『補佐』ヒガン、行きまーす」


 言い終わるより早くキルに向かって走り出す。

 下段から上段への斬撃を繰り出そうとした刀は二つの固有武器によってその軌道を止められる。


「おっと」


「やっぱりキルを狙ってきたね」


「そりゃー固有武器出してる人より丸腰の人狙いますよ」


 刀が固有武器に耐えられずミシミシと音を立てている。

 このままだと刀は折れてしまうだろう。

 ヒガンが一旦引こうと力を緩めた瞬間、ケイルを浮かび上がらせたレイの尻尾がヒガンの足に向かっていく。

 それに気づいたヒガンがジャンプして体を空中で回転させる。

 そしてそのまま足に向かってきていた尻尾を斬りつけようとする。

 しかし、レイが尻尾を引く方が一瞬早く刀は空を切る。


「こわッ!! 尻尾斬ろうとするなんてッ!!」


「無駄口叩いてないでやるよ」


 ソルが先陣を切ってヒガンを追撃する。

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