No.24 孤独を紛らわせるのはアルコール
これから寂しく一人酒を決め込もうと立ち上がった所、最初座ろうと思っていたテーブルから酒臭い声が飛んできた。
「おい悪魔! ちょっとこい」
「悪魔って……確かに悪魔型だけど、レイって名前がある――なにそれそっち行きたくない」
振り返るとそこはまるで海賊の酒場。
机に突っ伏している女の子二人とジョッキ片手に酔っ払う男一人。
少し前ならその男は間違いなくレイだっただろうが、最近はそんな事してない。
客観的に見ないとわからないことってあるんだな。
本当は近づきたく無いが、ヤクザを敵に回したくないのでしょうがなく言うことを聞く。
「うるせぇ、突っ立ってるなら酒注いでくれ。勝負してたらミルが潰れた」
――可哀想なミルちゃん。
うなされてるのか小さく呻き声をあげている。
フィーは机に項垂れてはいるものの起きてはいてまだ理性が残っているようだった。
「エン、もうそろそろやめた方がいいんじゃ」
「なんだよフィー、お前ももっと飲めよ。勝負するか?」
「エンやっぱり昔とそんなに変わってないわよ」
「俺は更生したって言ってるだろ! ほら飲め! レイお前は注げ!」
「就職初日からもう辞めたい……もう、こうなかったらヤケクソ! オレも飲んでやる!」
「勝負するか?!」
皆好き勝手しているのにセーブして飲むなんて馬鹿馬鹿しくなってきた。
飲みたい時に飲みたいだけ飲むのが性に合ってる。
急いで大きめのジョッキにお酒を注ぎ、エンの向かい、ミルの隣に座る。
少し離れたテーブル。
エンとレイを呼び出していたテーブルでは用意した酒は一ミリも減っておらず、フォミとリルは店内の様子を静観していた。
エンとレイの飲み比べが始まった所でフォミが控えめに笑う。
「たった二人増えただけなのに随分賑やかになったわね」
「そうだね。最初は三人だったのによくここまで増えてくれたよ」
「――リルくん、今楽しい?」
フォミがリルの目の前に回り込み、座っているリルと目を合わせるように前屈みになる。
予想外だったのかリルは少し肩を揺らす。
「何言ってるの。楽しいに決まってるじゃない」
「……本当に?」
潮らしく困ったような顔をするフォミから距離を取るようにテーブルに頬杖をつく。
「今ここでする話じゃないでしょ、それに本当に楽しいよ。そんな事より店長は忙しいんだから飲める時に飲んでおきなよ。ほら」
テーブルに置いてあったグラスをフォミに手渡す。
フォミはグラスを渋々受け取るが「自分は飲まないのに」と聞こえないように呟く。
「何か言った?」
「いいえ、何も」
いつもの澄ました笑顔になりグラスに注がれていたお酒に口をつける。




