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たださみしかっただけ  作者: 朝月
二章 レイ
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No.21 背中がびちょびちょ

 立っていた5人が席に座ると歓迎会の準備を進めていたミルとフィーが着々と飲み物や料理を運んでくる。

 ソルとキルが入ってきた時点でほとんど準備は終わっていたのですぐに2人も席につく。

 おいしそうないい匂いとアルコールの独特な匂いが混じり合い嗅覚を刺激する。

 酒はよく飲むが、こういう集まりは久しぶりかも知れない。

 レイが過去のパーティを思い起こしてみると、それはそれは酷いパーティばかりで、1人で苦笑いする。


「新しい仲間を祝して――かんぱーい!」


 ミルが立ち上がり号令をかけ、その場でジョッキを一気飲みする。

 案外いける口みたいだ。

 後で誘ってみよう。

 目に見えてニヤけた面を隠そうとする事なくジョッキに手をかけると、誰かに肩を叩かれた。

 隣に座っていたエンも同じ様で振り返る。


「せっかく乾杯したのにごめんなさい。新人さん達には話があるの」


 フォミはついてきてと言わんばりに歩き出す。

 ついていきたいのは山々だが酒に後ろ髪引かれる。

 同じ席に座っていたフィーとミルに手を振られるので手をふり返し、渋々ついていく。


 連れてこられた、と言っても大した移動はしてない。

 店内の端っこでリルが座って待っていた。

 そういえばこの人とちゃんと話すの初めてだな。

 隣を見るとエンが難しそうな顔をしているので、レイの肩にも少し力が入る。

 フォミがリルに目配せするとリルが話し出す。


「改めましてようこそ桃源郷へ。酔う前にここでの仕事内容とかを説明しておこうと思ってね。まず今いるのが食事処桃源郷。ここは今みたいに貸切で使ってる時以外は毎日営業してる普通の食事処だよ。その日何も用事が無い人が店番する事になってるから、店番になった時はよろしくね。細かい内容はその時一緒になった人が教えてくれるから」


――なんだ明日の朝から仕事して欲しいから説明するだけか。

 エンはまだ難しい顔のままだがレイにずっと気を張っておけというのは難しく、近くの椅子に勝手に座る。


「それでここからが本命、何でも屋桃源郷。一つ上の階を事務所にしてるんだけどここは文字通り何でもするよ。いなくなったペット探しに、畑仕事、浮気調査に、隠蔽工作、誘拐や窃盗、さらには殺しまで……って流石に殺しは受付してないけどね!」


 声を出して笑うリルに愛想笑いで返す。

 ソルならキルちゃんに何かあったら本当に殺しそうな気がするけど。

 でもさすがにこのご時世殺し屋家業は厳しいか。

……待って、殺しに気を取られてたけど最後の方は普通に犯罪行為が入ってなかった?

 もしかして犯罪組織に片足突っ込んでしまったのではないかと気づいたところで、動悸と大量の冷や汗をかきだす。


「まぁとにかくいろんな仕事がくるんだよ。でもフォミ君が内容を見て適任者を選んでくれるから安心して! あと、たまに指名付きの仕事があるからそれには適任とか関係なく強制で行ってもらうけどね」


 フォミの方をチラリと見ると可愛らしく微笑んでくれた。

 この子が空き巣してきてって言ったら空き巣してこなきゃいけないのか。

 勝手に想像を膨らませ、さらに冷や汗を流す。


「あ、大事な事を言い忘れてた。食事処は申請出して通ってるけど、何でも屋の方はそもそも申請出してないから。この事を口外するのはご法度だから気をつけてね」


 レイの焦りに気が付いていたのか、犯罪行為の依頼はまだ一回もないから安心してね、とリルが付け加える。

 それを聞いてほっと息をつく。

 このお喋りに踊らされただけだったが心底安心する。


「もう遅いし建物の案内はまた今度にしよう。貸し部屋は3階から5階、プレートが無い部屋だったらどこに入ってもいいからね。あ、無地のプレートがある部屋には絶対入っちゃダメだよ、病人がいるからね。あと何か質問ある?」


「はいはーい! 皆住み込みで働いてるの? オレは部屋借りるからお隣さんを選びたい!」


 元気を取り戻したレイはまるで子供のように手を挙げる。

 隣はもちろん可愛い女の子がいい。


「今のところ皆住み込みだよ。隣の部屋になった子とは仲良くしてね。全部屋完全防音だから何かあっても誰も助けてくれないよ」


 それは一体どういう意味……?

 怖いんだけど。


「エン君は何か質問ある?」


「いや無い」


「じゃあ僕から質問していい? エン君って『アングラの狂猫(モノクローム)』だよね?」

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