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三篠家離散日誌  作者: 三篠森・N
第3章 三篠家介護編
30/31

第30話 三篠森・N、迷宮入り。

 前回、誕生日かつ弟の新盆かつ帰省ラッシュの日にピンポイントで田舎に呼び出されたことを告げたが、当然行かなかった。

 父を通すと医療関係者の言葉が曲解されてしまい、さほど重要ではないただの診察の付き添いでさえさも大変なことのように伝わってしまう。その日もただの診察だった。

 ただ、田舎の人間はほぼ全員が俺を呼べば来ると思っている。俺には仕事もあるし、趣味もある。嫌味になるかもしれないが、拙作『Daughters of Guns』もランクインが続いていて重要な時期だ。くわえて呼ばれた時期は地元のお祭り、友人との花火、恩師との納涼会、ポケモン世界大会、ニンテンドーswitch2争奪戦といろいろあった。些細なことに思われるかもしれないが、俺はもう父の介護のために最速で片道三時間半かかる田舎までもう七回も行っている。

 それでもどうしても、というので先日も行ってきた。今度は退院であるが、退院は一人でも出来る。だが退院後に包括支援、ヘルパー、訪問看護師(今回はこういった方々の肩書については敬称略)との担当者会議なるものがあり、それにはどうしても、どうしても出席しなければならないとのことだったので行ってきた。

 退院した時は血糖値440だった入院時と比べてしゃっきりしており、話も記憶も明瞭で見た目も少しすっきりしていた。だが精神的な横暴さ等は改善されておらず、担当者会議でも基本話は聞いていない。


「飽きちまったよぉ!」


 と書類を投げだし、話を聞いているふりをしながら書類に落書きをしている。一通り終わった後で「結局どうするんだ?」と聞く。父はいつもこうで、基本話は聞いていないし、自分の興味がないことは人からの指示に従う。逆に自分がこだわることは絶対に譲らない。

 つまり父にとって食生活や服薬は興味のないことだったのだ。

 一方、その会議に出席していた全員から「来週の認知症の再検査まで運転はやめましょうね」と約束すると、父は「ハイハイ」と言っていた。それでも、口先だけでも了承したことに俺は安堵したのである。

 これは余談かつ些細なことであるが、この三か月での連続田舎行き、序盤は新幹線内では『モンスターハンターライズ:サンブレイク』をプレイしていたが、この時から友人で勉強会の主催者おさむらまき氏のオススメで『世界樹の迷宮Ⅲ』をやりながらの移動になっていた。どうでもよくはないか……。田舎では父の家があまりにも不衛生で父と話すのが苦痛のため、ビジネスホテルに泊まるのだがそこでもずっと『サンブレイク』か『世界樹Ⅲ』だ。新幹線も含めるとやっている時間はかなり長い。というかそれしかやることがない。

 だが、口約束とはいえ運転をやめるという言質はとった。それでも俺は念入りに、父の車の停めてある位置に透明なテープを張り、さらに車輪とボディにまたがるようにもテープを張った。次回……翌週に認知症検査のためにまた来なければならないことは確定だったので、その際に地面のテープの位置から停車位置がズレている、車輪とまたがるテープが剥がれている、などで車に乗ったかは判別出来る。

 だが、これは意味を持たなかったのである。

 週の明けた月曜日。その週の木曜日より再び新潟に行き、認知症の検査に立ち会う予定だった。これは本当に仕方なく、成年後見人を立ててもう父とのかかわりを断つにも認知症の診断が必要だった。包括支援担当者も「認知症の診断が出るまでの辛抱ですから」と言ったので行くしかない。そのために俺は月曜日から、上長に事情を話して今日は電話で離席することが多くなりますとは告げていた。

 この日俺が電話をかけたのは……

・メンタルクリニック→次の一回で認知症の診断は確定するのか? MRIの設備はそちらにありますか?→ない、と回答。ただし、別の病院でMRIを撮ることは可能。絶対に来いと言われる。

・包括支援→メンタルクリニックの医師からの指示を仰ぎ書類を貰う、MRIを撮る、その結果による最終的な診断の三連コンボが必要。MRIを最短で撮れる病院を探してくれる。絶対に来いと言われる。

・警察→父の危険運転(一般道で80キロ、高速で140キロ、急カーブ、急停止、急発進、急Uターン、車間距離を適切に保てない)について相談していた。この人には会わねばなかったのでしょうがない。

 三か所どころではなかった気がするのだが、纏めると「明日来い」ということだった。明日!? でも行くしかない。

 明日から行けば、火、水、木で診断が出るのだ。それを以て成年後見人を立て、もう本当に……。しばらく距離を置かせてくれ……。

 ということで、火曜日からのスケジュールを伝えるために父に電話をかけた。詳細を伝えると父は「今は運転中だからメモは取れない。文面で送れ」。

 ッッッ!!!???

 運転……してるのか……? 乗らないと約束したのに!? しかもスマホで通話運転だとォー!?

 スケジュールを伝えるLINEを送った瞬間、俺の中で本当に決定的な何かがブチきれた。もう、本当に今後一切父とはかかわりを持ちなくないと強く思った。

 自分に興味のないことはすべて人任せにし、他人の気持ちや心配や迷惑を顧みず、自分が執着する車については一切改めないし約束も守らない。

 俺はマジでキレた。

 LINEで何故約束したことが守れないのか、子供でも出来るのに何故約束を守れないのか、本当に落胆したと伝えたが、


「お前が車の運転が出来ないからって、お前に運転について危険だとかどうこう言われるのはむかつく。俺は安全に運転している」


 と返ってきた。問題はそこではない。車の運転のクオリティではなく、何故約束を守れないのかだ。

 安全だと思っているのは父の主観だけで、父の運転を安全だと客観的に思っている人はもう誰一人としていませんよ、と送ると父は既読無視して以降二度と返信が来ることはなかった。


 そのギスギスしたまま明日から田舎か……と思うと気が重くてしょうがなかったが、俺はまた『世界樹Ⅲ』をしながら新幹線に乗っていた。

 そしてメンタルクリニックに直行し、父、包括支援と合流したが、当然父は車で来ていた。

 再度長谷川式なる検査を受ける。前回は20点という中度認知症にあたるスコアだったが、今回は劇的に改善し28点と上昇した。

 この検査をした先生は、前回の結果的には良かった誤診や、後述のとおりにちょっと優柔不断で医師としての腕は頼りない先生ではあるが、一般論は非常にしっかりしている。

 父に席を外してもらい、医師、包括支援、俺の三人で話し、もう父とは関わりたくないから成年後見人を立てたいこと、運転を強く止めたいこと、危険な株の取引をしていることを伝えると、とりあえず認知症であることは確定なので、それらに関しては認知症であるという診断書が必要なら書きますよ、車も株も止めるべきですよ、今の父の軽度認知症だと成年後見人は難しそうなので、LINEをミュートしたり着信拒否したりと制度ではなく個人の範疇でかかわりを断つのもありですよ、とアドバイスしてくれた。

 ちなみに、前日あれだけギスギスバチバチにLINEでケンカしたのに父は「よっ、森! お疲れさん!」みたいな陽気な態度であった。父はいつもこうだった。すぐに激高するが、いったん別の部屋に行くとすぐに忘れて何事もなかったかのように接してくる。母もずっとそれに困っていたし、俺が小一の時に母は父とケンカして俺たち兄妹を連れて家出したが、金がなくて田舎に帰れなかったため屈辱的に帰宅した。すると父は何事もなかったかのように枝豆とビールでよろしくやりながら野球を見て、いつも通りに「おう、帰ったのか」ってな調子だった。あの空気や怒りは何だったんだ? こっちは……。俺が考えすぎなのか? ケンカやギスギスが続行しないのはいいが、今回の車の件に関しては空気が悪いままでもいいからちゃんと考えていてほしかった。


 父が取引をしている証券会社にも電話をかける。以前は詐欺師と断じてしまったが、詐欺ではないようだった。ここは訂正しなければならないが、グレーな部分も多くLINEでやりとりをしていることを認めた。父が今年だけでどれだけ損をしているか聞いたところ、200万円を超えていた。そして今まではトヨタや三菱系など大手の安定志向だった父は、最近担当者も「何故その会社買うの?」というようなマイナー株を買い始め、担当者曰く「お父様には最近、株のアドバイスをしているご友人がいるそうです」。……その人物が「株は実業界への貢献と関係を持つための行為」「絶対に損をしない仕組み」「今までの投資は間違った投資」と吹き込んだそうだ。ここについてはまだ不透明だが、怪しい人物に心当たりはある。


 その晩、ビジネスホテルに帰った俺は一人で焼肉を食べに行ったが、そこでうっかり肉を皿に落としてタレがシャツに飛散し、悲惨なハメになった。俺は父の家にそのシャツを預け、悪いが洗濯してくれと頼んだ。そして木曜日に取りに来ると伝えた。

 そして水曜日。この日は父にはMRIを撮る予定はあるが、俺には何もない。だから俺は少し足を延ばして観光に行く予定だった。しかし、朝の7時に父からLINEで電話が来る。俺はロングスリーパーで燃費が悪いため、長時間の睡眠を要する。そのためシカトしたら、今度は通常の電話で何度もかかってくる。眠っていたいし父とも話したくないのでその都度切っていたが、あまりにも何度もかかってくるのでとったところ、


「シャツは今日の何時ごろに取りに来るんだ?」


 とのことだった。覚えていない認知症の怖さ、そして普段から俺が休みの日は遅くまで寝ていることが多いのを知っているはずなのに、7時から7時半の間に俺が出るまでなんと7回も電話がかかってきていた。本当にいろいろ考えていないんだと思った。

 水曜日の件についてはまた別に。


 木曜日。午後にはメンタルクリニックでMRIの結果が出る。その前に、ようやく警察の交通課の方と会えることになっていた。包括の方も来てくれる。

 俺、包括、警察、父の四者面談だ。

 とりあえず警察の方は頼もしく、話も上手く、でもビシッと決めてくれる本当に頼もしい方だった。……繰り返しになるが本当に頼もしかった……。

 月曜日の約束を破って運転したことについて俺が話すと父は


「だから安全だって言ってるだろ!」


 と激高したが、警察は


「今話しているのは何故約束を守れなかったか、です」


 と俺が言いたいことを真っ先に代弁してくれた。父は


「そんな約束はしていない」


 と言い張った。警察の方は


「じゃあ今度は私と約束しましょう」


「え? あぁ、ハイハイ」


 父は面倒になると相手がどれだけシリアスであろうと「わかったわかった、ハイハイ」と言って逃げる。


「では、ご了承いただいたということで……。じゃあ息子さんに車のキーを預けてください」


 マジでもう……。本当にありがとうございます。俺はこの警察の方に最大限の敬意を表する。父はもう逃れることも出来ず、俺に車のカギを渡した。

 警察の方も一応は、次回の更新(年内)までは乗らない、更新でいろいろ検査してOK、医師からもOKが出れば乗っていいですよと父をなだめた。

 こうして、今までは母や妹に「もうカギを盗んで来い」とまで言われていた車のキーは、警察の方によって正面突破で奪取したのであった……。


「じゃあ車に乗れなくなって、どうやって移動しろっていうんですか」


「タクシーや、いつでも運転手をしてくれるご友人がいるんでしょう?」


「そうやって、アンタたち警察はねぇ、俺の経済的事情も考えずに身勝手なことばかり言うんですね!」


 俺はキレた。


「経済的事情って……。俺がお父さんの介護のために何度田舎に来てると思ってるんだ!!! 七回だぞ! 先週の金曜に帰ってもう今週の火曜に来てるんだぞ!」


「だからお前には金を払っただろうが!」


 ちなみに今回は往復の交通費だけもらっている。


「それだって六月の時点で病院との禁煙の約束守ってればあそこで手術してもう俺は来る必要なかったんだ! 結局そうだろ? 車もタバコも、簡単な約束さえ守れないところが問題なんだろうが!」


 まぁまぁまぁ、と警察の方になだめられ、「こんなに親身になってきてくれる息子さんもいないですよ」と肩を持ってもらったので矛は収めた。

 そしてその場は解散となった。


 この後、多分父は大逆鱗クラッシュを起こすと思われたので、俺は警察の人と一緒に外に出た。


「適性検査は十中八九通らないでしょうね。ああいうタイプの人は無免許でも乗りますし、キーの再発行をしないようにディーラーに連絡した方がいいですよ」


 と具体的なアドバイスまでしてくれた。警察の方と別れたのち、俺はすぐにディーラーに電話をしてキーの再発行をしないよう要請した。

 この時点で……

・株をストップ

・キーを没収

・キーの再発行をストップ

 と、父にとっては残酷だが俺は自分や家族、傷つかずに済む人を守ったという一定の達成感はあった。

 この地味でも徹底的に用意して詰めていく感覚は、どうも自分が『モンスターハンター』で一番得意としている武器“片手剣”でのプレイを思い出す。俺もやはり典型的な片手剣使いなようだ。


 父とはしばらく離れる。この後、メンタルクリニックで再集合し、最終的な診断結果を聞くことになるのだが、車を没収された父の大逆鱗クラッシュが怖かった俺は別で移動した。そして病院で集合すると、やはりケロッと


「よっ、ご苦労さん!」


 ってな具合で、


「昨日はどこに観光に行ったんだ?」


 とさっきまでのサツバツは一切覚えていない。これは認知症的に覚えていないのではなく、先述の通りに記憶に問題がなかったころからそうだ。

 そして診察を受ける。

 脳はやや委縮していたが、ごくごくわずかだった。致命的にはならない脳梗塞が脳全体で無数に起きているようだった。

 ここがこの先生の頼りないところで、「わからないんですよねぇ」を連発する。

 結局どうなんでしょう? という問いにも「わかりません」。

 だが一般論は超強い。


「原因はお酒です。お酒の飲み過ぎで脳は委縮していますので、今後一切お酒は断ってください」


「それは私のせいではありません。私は若い頃営業職だったので、毎日飲まされていたのです。今はそんなに飲んでいません」


 ウソだ。尋常じゃない量を飲み、椅子の上でいつも潰れている。


「でもお酒はもう飲まないでください」


「はいはい、わかったわかった」


 父には離席してもらい、包括、俺、医師の三人で話す。


「ああいうタイプの人はまた飲みますよ。車も今のディーラーから買えなくなったら別の車を買うでしょう。しかし適性検査は通らないはずです。血糖値もすぐに戻って入退院の繰り返しでしょうね。でも息子さんはもうやるべきことはもう全部やったので、個人的な無視でいいでしょう」


「成年後見人はつかないということですか?」


「現段階ではつかないと思うので、そこは弁護士さんに相談した方がいいです」


 そういうことで俺は個人的な無視を決め込むことにした。

 LINEはミュート、電話は着信拒否。

 月曜日に運転していると知った時の失望、水曜早朝の30分間で7回という尋常ならざる回数、俺はもう付き合いきれないし、今後は俺が株と車をストップさせたこともバレて大逆鱗クラッシュが来るだろう。ならもう通信をシャットアウトするしかねぇ。


 ああ、最後に。

 父は弟の命日を覚えていなかった。弟の命日がある週に、何があるか覚えているか? と聞いても「何もない」と断言した。それを母、妹に話すと二人が大逆鱗クラッシュを起こし、「お父さんの家の仏壇から弟の写真を盗んできて」と依頼を受けた。

 父はうつ病で死んだ弟を「なんであいつは死んだんだ? バカだから死んだのか?」と言ったり、それ以外の弟逝去時の失態は過去のエピソードを読んでもらいたい。

 父自身に弔う気もないだろう。それに今のところバレてもいない。


 そうして俺は、とりあえずは車と株という、俺がどこか固執しているようだった苦悩の迷宮から抜け出した。

 帰りの新幹線はもちろん、『世界樹の迷宮Ⅲ』だ。




 ……蛮害編(バンガイヘン)……

 レッツゴー! 三篠森・N! 地方の洗礼を浴びる!


 ↑のように水曜日は俺は何の予定もなかった。逆に俺が父の家にいてしまうと、ヘルパーさんは何もしてはいけないという仕組みであるため、俺は少し遠出で観光をすることにした。行くのはダン、富山県氷見市だ。

 藤子不二雄A先生の故郷である。藤子不二雄先生は藤子・F・不二雄先生はやっぱり『ドラえもん』という国民的存在、圧倒的なオーラを感じるのだが、俺はどちらかというとA先生の方が好みだ。確かに『ドラえもん』は素晴らしい……素晴らしすぎるのだが、あまりにも身近、あまりにも日本人の生活に根差し過ぎ、逆に距離感を測るのが難しい。

 だが俺は大人になってA先生の『まんが道』を読んであまりの面白さに頭がおかしくなりそうになった。そのまま『笑ゥセールスマン』『魔太郎がくる!』『ブラックユーモア集』など、A先生のダークな部分に触れていく。歯科医院であまり上手じゃない衛生士さん……歯石取りがとても痛いのだが、その人に施術してもらっている間の俺はおそらく魔太郎の顔になっていたと思う。

 陽のオーラではF先生には敵わないが、A先生にはA先生の陰の良さがある。俺も陰の作風なのでA先生が好きだ。ペンネームを現在のものに変える時、

三篠・N・森

三篠森・N

のどちらにするか迷い、A先生をリスペクトしてNを最後にすることにしたくらいだ。


 そういう訳でA先生の故郷氷見へレッツゴーだ。ちなみにF先生の故郷高岡のF先生ふるさとギャラリーには過去に三度ほど行っている。というのも、こちらのF先生のギャラリーは有名……特別に調べなくても知りえる情報だが、A先生のふるさとにもギャラリーがあるというのはしっかりと調べないと出てこない情報だったのである。

 これを火曜日の午後に父と包括さんに伝える。明日水曜日、私は富山観光に行っています、と。


「へぇー、いいですねぇ。じゃあ今日はこの後、富山に泊まられるんですか?」


 あ……あぁあ……。

 俺は……バカ真面目に、父の家の最寄のホテルをとっていた……。そこから翌朝早起きして氷見に行く予定だったのだが……。初めから富山にホテルをとればよかった!!!!!

 じゃあ今のホテルはキャンセルしてこれから富山に向かうか? ……当然キャンセル料がかかるためにこれは断念した。だがこれは痛恨の極みであった。一応、氷見に行くことにしたのはホテルの予約を取ってしまった後だったが、キャンセル料がかからないうちにどうにかすればよかった……。


 氷見へはかなり遠い。乗り継ぎ乗り継ぎ、二時間近くかかる。だがまぁなんとかなった。だが↑の通り、朝に父から七回も電話がかかってきていたので眠たく、電車の中ではほぼ睡眠。気が付いたら氷見についていたという印象だ。

 駅を降りるとパネルがお出迎え。商店街の各地には喪黒福造に怪物くんにと、びっちりと並ぶA先生キャラ。この密度はF先生の故郷高岡より濃い。

 ギャラリーは一度通り過ぎてしまうくらいで、ボリュームもイマイチ。展示されているパネルの情報も古く、A先生の他界という大きすぎる情報が反映されていないものも散見された。

 それより眠気、そして小雨。それでも氷見の港から眺めた小雨と曇天の向こうの空は東京では見られない程広かった。

 帰りの電車では、在来線が……。次に来るのが100分後だとォーッ!!!???

 来るときの乗り継ぎが神がかり的によかったと知る。氷見の時点で次の電車が来るまで100分待ち。

 氷見から高岡への在来線に何とか乗る。来るときは寝てしまったが、ほとんど波打ち際を走る電車は、演歌がお似合いな荒れ狂う日本海の灰色の海と空をロマンチックに演出する。

 次は往路と違ってバス移動。だが、バス移動先の駅からまた次の電車まで一時間以上あったため、夕食をとった。

 なんと、氷見駅から待ち始めた時間から計測開始すれば4時間40分という……。

 氷見観光が2時間くらいだったことを考えると、壮絶な帰路であった。

 これは父が地方では車必須と主張するのもわかるな。

 だがもう車には乗らせねぇぞ。

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